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「粉瘤」は放置するとどうなる? 臭い、ドロドロとした物質が出てくることも【医師解説】

 公開日:2025/10/17
「粉瘤」は放置するとどうなるかご存じですか? 悪性化することは?【医師解説】

粉瘤(ふんりゅう)は皮膚の下にできるしこりで、多くは良性ですが、放置すると炎症や感染を起こし、腫れや痛みにつながることがあります。再発を防ぐための治療法や注意点を、ほんだ皮フ科クリニックの本田先生にわかりやすく解説してもらいました。

本田 治樹

監修医師
本田 治樹(ほんだ皮フ科クリニック)

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2011年慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学病院皮膚科、帝京大学ちば総合医療センター皮膚科、北里大学北里研究所病院皮膚科、京都第一赤十字病院皮膚科、医療法人本田医院および京都府内の皮膚科・形成外科クリニックなどを経て2022年ほんだ皮フ科クリニックを開院。日本皮膚科学会認定専門医・指導医、難病指定医、VST認定医(ボツリヌストキシン注射認定医)、サーマクール認定医。日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会。

粉瘤とは? なぜできる?

粉瘤とは? なぜできる?

編集部編集部

粉瘤とは何ですか?

本田 先生本田 先生

粉瘤は、皮膚の下にできる袋状の良性腫瘍のことで、アテロームとも呼ばれます。皮膚の老廃物や角質、皮脂などが袋の中にたまり、徐々にふくらんでいくことで生じます。見た目はしこりやイボのようで、触ると少し弾力があるのが特徴です。

編集部編集部

なぜ粉瘤ができるのですか?

本田 先生本田 先生

原因はさまざまですが、皮膚の毛穴や汗腺の出口が詰まり、皮膚の一部が内側に入り込むことで袋が形成されると考えられています。傷やニキビの跡から発生することもありますし、イボウイルス、ヒトパピローマウイルスなどが関係していることもあります。それから、遺伝的な要素が関係していることもあります。また、特別な原因がなく、自然にできることもあります。

編集部編集部

どんな場所にできやすいですか?

本田 先生本田 先生

顔や首、背中、耳の裏、陰部など、皮脂分泌の多い場所にできやすい傾向がありますが、全身どこにでもできる可能性はあります。大きさは数mmから数cmまでさまざまで、気づかず放置されて徐々に大きくなることもあります。

編集部編集部

粉瘤とほかのしこりはどう見分けるのでしょうか?

本田 先生本田 先生

見た目だけではわかりにくいこともありますが、粉瘤は中央に小さな黒点(開口部)があることが多いという特徴があります。また、指で押すと動くようなしこり感があります。それから、基本的に粉瘤は痛みがないという特徴もあります。ただし、確実な診断には皮膚科の診察やエコー検査が必要なこともあります。

放置することのリスクは? 自然に治る?

放置することのリスクは? 自然に治る?

編集部編集部

粉瘤は放っておいても大丈夫ですか?

本田 先生本田 先生

小さいうちは症状がないため放置されがちですが、やがてボール大になることもあり、黒点状の開口部を強く押すと、臭い垢のようなものや、ドロドロした物質が出てくる場合もあります。また、放っておくと炎症や感染を起こす可能性もあります。

編集部編集部

どんどん大きくなっていくのですね。

本田 先生本田 先生

はい。粉瘤は基本的に皮膚と同じ構造を持っているので、時間の経過とともに袋が伸びて広がっていくという特徴があります。

編集部編集部

自然に治ることはないのですか?

本田 先生本田 先生

あまり大きくなる前に、自然に小さくなることはありますが、自然治癒は少ないとされています。また、袋(嚢胞)が皮膚の下に残っている限り、再発を繰り返す可能性が高いです。根本的に治すには、袋ごと取り除く処置が必要になります。

編集部編集部

炎症を起こすとどうなりますか?

本田 先生本田 先生

感染や外的な刺激など、なんらかのきっかけで炎症が起きると急に腫れて赤くなり、強い痛みや熱感が出ることがあります。内部で膿がたまって化膿性粉瘤になると、切開して膿を出す処置が必要になります。

編集部編集部

悪性化することはありますか?

本田 先生本田 先生

粉瘤自体は良性ですが、じつは悪性の腫瘍が紛れていたということもあり、治療を始める前に悪性との鑑別が大切です。特に何度も炎症を繰り返しているものや、急に大きくなったものは注意が必要です。また、何度も炎症を繰り返すと瘢痕(はんこん)化して悪性腫瘍の発生源になる可能性もあります。不安な場合は皮膚科で診てもらうと安心です。

粉瘤の治療法

粉瘤の治療法

編集部編集部

粉瘤の治療法にはどのようなものがありますか?

本田 先生本田 先生

治療の基本は、外科的処置によって袋ごと取り除くことです。炎症がない段階での手術が理想で、局所麻酔を使って袋をきれいに取り除くことで再発を防ぎます。小さいものであれば日帰りで対応可能なケースが多いと思います。

編集部編集部

炎症がある場合にはどのようにして治療するのですか?

本田 先生本田 先生

炎症が強い場合、まずは患部を切開して膿を出す処置をします。その後、炎症が落ち着いてから袋を取る二段階の手術が必要になります。炎症があるということは、袋が一部破れているということ。そのため、炎症がある状態で袋を無理に取ろうとすると完全な除去が難しく、また周辺の組織が傷つきやすいので、再発の原因になることがあります。

編集部編集部

手術後の傷跡は残りますか?

本田 先生本田 先生

袋を切開するため小さな傷跡は残りますが、粉瘤が大きくなる前や、炎症が起きる前に切除すれば傷跡は小さくて済みます。特に、化膿してから処置すると傷跡が大きく残りやすくなるため、早めの対処が大切です。

編集部編集部

再発の可能性はありますか?

本田 先生本田 先生

袋を完全に取り除けば再発の可能性は低くなりますが、不完全に除去されたり、炎症時に手術をしたりした場合は再発する可能性が高くなります。経験豊富な医師による適切な処置と、術後のケアが重要です。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

本田 先生本田 先生

粉瘤は基本的に強い症状が出ないため、そのまま放置されてしまうことが少なくありません。しかし、気になった場合には、自己判断せずにできるだけ早めに受診してください。まずは「本当に粉瘤なのか」を確認することが大切です。特に、超音波検査が可能な病院を受診すると、より正確に診断できます。もし粉瘤と診断された場合は、放置せずに早めに手術で取り除くことをおすすめします。手術に対応している病院であれば、傷跡も最小限に抑えることが可能です。早めの受診と適切な治療によって、不安を解消し、安心して日常生活を送れるようにしましょう。

編集部まとめ

粉瘤は自然に治ることはなく、放置すると炎症や腫れを起こすことがあります。気になるしこりを感じたら、まずは超音波検査が可能な病院を探して受診するのがおすすめですね。

医院情報

ほんだ皮フ科クリニック

ほんだ皮フ科クリニック
所在地 〒606-0053 京都市左京区上高野車地町139 宝ヶ池クリニックモール3階
アクセス 叡山電車『八幡前駅』より徒歩5分
叡山電車『宝ヶ池駅』より徒歩7分
地下鉄烏丸線『国際会館駅』より徒歩9分
診療科目 皮膚科、小児皮膚科、小児外科、形成外科、美容皮膚科

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