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「糖尿病」になりやすい・なりにくくなる“食べ物”はご存じですか? 医師が教える糖尿病予防

 更新日:2025/10/01

糖尿病」は、食生活と深く関わっています。血糖値を安定させる食べ物を知り、日々の食事を見直すことで糖尿病を防ぐことは可能です。では、一体どんな食べ物を摂るべきか、あるいは避けるべきでしょうか。「立川パークスクリニック」の久住先生に解説していただきました。

久住 英二

監修医師
久住 英二(立川パークスクリニック)

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新潟大学医学部医学科卒業。その後、虎の門病院血液内科勤務。2024年、「立川パークスクリニック」を開院。日本内科学会 総合内科専門医、日本血液学会 血液専門医。

糖尿病になりやすい食べ物

糖尿病になりやすい食べ物

編集部編集部

糖尿病の発症リスクを高める食べ物について教えてください。

久住 英二先生久住先生

代表的なのは、「精製された炭水化物」です。白米、白い食パン、うどんなどは消化が早いため血糖値を急激に上げやすく、インスリンの過剰な分泌を招きます。また、ジュースや甘いお菓子も同様で、日常的に摂ると血糖値が高くなり、ひいては糖尿病を発症するので注意が必要です。

編集部編集部

果物は糖尿病のリスクになるのでしょうか?

久住 英二先生久住先生

果物」も食べ過ぎには注意が必要です。特にバナナやぶどう、缶詰の果物などは糖質が高く、血糖値を上げやすい傾向にあります。「フルーツジュース」やフルーツが多く含まれる「野菜ジュース」は特に注意が必要です。果物は食物繊維も多いので、そのまま食べた場合は消化がゆっくりですが、ジュースでは急激に血糖値が上がります。また、果物に含まれる果糖は脂肪として貯蔵されやすいので、肥満につながりやすいです。果物には健康に良い栄養素も多く含まれているものの、1日あたりの摂取量は握りこぶし程度の大きさに留め、果汁よりは果物そのものを食べるようにしましょう。

編集部編集部

ほかにも、知らないうちに摂取している食品があれば教えてください。

久住 英二先生久住先生

砂糖入りの炭酸飲料」や「スポーツドリンク」には、角砂糖に換算して10個以上の糖質が含まれることもあります。知らず知らずのうちに大量の糖質を摂ってしまうため、血糖値の急上昇を引き起こしやすくなります。これを「ペットボトル症候群」とも言い、砂糖の入った清涼飲料水を飲み続けたことで糖尿病を発症する人は多い傾向にあります。

編集部編集部

お酒は糖尿病の発症と関係あるのでしょうか?

久住 英二先生久住先生

はい、お酒は代表的なリスク要因です。ビールや日本酒は糖質が多く、飲み過ぎると血糖値を上げます。一方で、焼酎やウイスキーなど糖質が少ないお酒もありますが、お酒に含まれているエタノールそのものがエネルギー源となります。直接的に血糖値を上げることはなくても摂取エネルギー量の増加につながり、内臓脂肪が増加して肥満となり、糖尿病のリスクを高めてしまいます。また、お酒を飲むと食欲も増してしまい、お酒+食事でエネルギー過多に陥りやすくなるため注意が必要です。

糖尿病を予防する食べ物

糖尿病を予防する食べ物

編集部編集部

では、糖尿病の予防に効果的な食べ物には、何がありますか?

久住 英二先生久住先生

食物繊維が豊富な食品は、血糖値の上昇を緩やかにする効果があります。例えば、野菜、きのこ、海藻、豆類などは積極的に摂りましょう。また、主食を選ぶ際は、白米よりも玄米や雑穀米の方が、血糖値を安定させやすいのでおすすめです。

編集部編集部

ほかにもあれば教えてください。

久住 英二先生久住先生

タンパク質を多く含む食品は、糖尿病になりにくいとされています。魚や鶏むね肉、大豆製品などの良質なタンパク質は、満腹感を高めて過食を防ぎます。ただし、タンパク質が多い食品でも油で揚げてカツや唐揚げなどにすると、衣に含まれる糖質により血糖値が上がるため、調理法を工夫しましょう。

編集部編集部

間食がやめられない人には、どんな食べ物がおすすめですか?

久住 英二先生久住先生

まずは、間食をやめるための工夫をしてみましょう。例えば、毎回の食事をゆっくりよく噛んで味わえば満腹感が増し、間食の必要性を減らすことにつながります。一般に、肥満や糖尿病の人は早食いの人が多いので、意識してゆっくり食べるようにすることが役立ちます。また、食後3時間くらいで空腹を感じる人は、食事のメニューに食物繊維を増やすと吸収が緩やかになり、間食への欲求が減るかもしれません。

編集部編集部

それでも間食したい場合はどうしたらいいですか?

久住 英二先生久住先生

ナッツ類ゆで卵チーズなどは血糖値を上げず、満足感が続きやすい間食です。ただし、間食をすればカロリーオーバーになることは間違いありません。できるだけ間食をしなくて済むような食事スタイルに変えていくのが理想的です。

編集部編集部

飲み物でおすすめのものはありますか?

久住 英二先生久住先生

炭酸水麦茶無糖の紅茶ルイボスティーなどが安心です。血糖値にほとんど影響せず、水分補給にも適しています。一方で、注意したいのは「糖質ゼロ」と書かれている飲み物です。糖質はゼロでも人工甘味料を大量に含んでいる場合が多く、研究では「人工甘味料を多く摂取することで2型糖尿病発症リスクが約1.7倍になる」と報告されています。糖質ゼロと書かれていても、飲み過ぎれば体重も増加するので注意が必要です。

編集部編集部

ほかに、飲み物を選ぶときに注意すべき点はありますか?

久住 英二先生久住先生

午後3時以降にカフェインを摂ると、眠りが浅くなったり寝つきが悪くなったりすることがあります。睡眠の質が落ちると睡眠不足になりやすく、食欲のコントロールもうまくいかなくなって、つい食べ過ぎてしまうことも少なくありません。そのため、午後はなるべくカフェインを避けて、カフェインフリーの飲み物を選ぶのがおすすめです。

糖尿病を予防するために食事で注意すべきこと

糖尿病を予防するために食事で注意すべきこと

編集部編集部

日々の食事で、糖尿病予防のために心がけるべきことはなんですか?

久住 英二先生久住先生

「一度に食べすぎない」「ゆっくり噛んで食べる」が基本です。また、野菜→タンパク質→炭水化物の順で食べるなど、「食べる順番に気をつける」ということも血糖コントロールに有効です。小さな習慣の積み重ねが予防につながります。

編集部編集部

ほかにも食事で気をつけることがあれば教えてください。

久住 英二先生久住先生

外食で出てくる野菜は、レタスが少し乗っている程度のことも多く、それだけでは「野菜をしっかり食べた」とは言えません。健康のためには、ブロッコリーやキャベツなどの栄養価の高い緑黄色野菜を意識して摂りましょう。

編集部編集部

炭水化物は控えた方がいいのですか?

久住 英二先生久住先生

完全に避ける必要はなく、むしろ全く摂らない極端な糖質制限はリバウンドや栄養バランスの乱れを招くこともあります。「低糖質ダイエット」が話題になることもありますが、炭水化物の割合を極端に減らし過ぎると、逆に動脈硬化が進みやすくなることが判明しています。炭水化物を完全に避けるのではなく、バランスよく適量を摂ることが大切です。

編集部編集部

外食が多い人は、どのように対策すればいいでしょうか?

久住 英二先生久住先生

まずはメニュー選びを工夫しましょう。ご飯を半分にしてもらったり、野菜を豊富に使ったメニューを選択したり、揚げ物より蒸し物や焼き物を選んだりするだけでも違います。また、丼ものより定食スタイルにすることで、栄養バランスがとりやすくなります。

編集部編集部

コンビニで食べ物を購入するときには、どんなことに気をつければいいでしょうか?

久住 英二先生久住先生

コンビニで買うときも、ちょっとした工夫で栄養バランスを整えることができます。最近は、小さなカップ入りの野菜惣菜も売られているので、そうした商品をプラスするのがおすすめです。また、タンパク質を摂ることも忘れないでいただきたいですね。ゆで卵や鶏むね肉のサラダチキンなどが手軽で便利です。「今日はコンビニだからおにぎりだけでいいや」と済ませるのではなく、1回1回の食事を大切にしましょう。

編集部編集部

コンビニでも、選び方次第で健康的な食事ができるのですね。

久住 英二先生久住先生

はい。それから、お弁当を選ぶときは、ご飯の量が多かったり揚げ物が多かったりするので注意が必要です。例えば、もち麦入りのおにぎりに、サラダとチキンやゆで卵を組み合わせるなど、ちょっとした選び方で体に優しい食事になります。

編集部編集部

糖尿病の家族歴がある人は、何を意識すべきでしょうか?

久住 英二先生久住先生

糖尿病を発症した家族がいる場合、体質的に発症リスクが高いため、食習慣の見直しは早いほど効果的です。若い頃から野菜を多く、甘い物は控えめにして、適度な運動を継続することで、発症リスクを下げることができます。また、定期的に血糖値を測定し、異変が見つかれば早めに対策を講じましょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

久住 英二先生久住先生

東洋医学では昔から「医食同源(食と医は同じ)」という考え方がありますが、最近では西洋医学の世界でも「Food is Medicine(食は薬)」という考え方が広がってきています。毎日の食事や生活習慣が、病気を引き起こすこともあれば、予防につながることもあります。とはいえ、完璧を目指し過ぎなくても大丈夫です。たまには外食を楽しんだり、好きなものを食べたりするチートデイがあってもいいと思います。その場合は、3日間で帳尻合わせができるように食事や生活リズムを整えるなど、無理なく続けていきましょう。

編集部まとめ

食事は日々の体づくりに直結する大切な習慣です。完璧を目指すより、無理なく続けられる工夫が大切とのことでした。外食やご褒美も楽しみながら、上手にバランスをとっていきましょう。

医院情報

立川パークスクリニック

立川パークスクリニック
所在地 〒190-8507 東京都立川市曙町2丁目39-3 立川髙島屋S.C.10階
アクセス JR「立川駅」 徒歩3分
診療科目 内科、小児科、皮膚科

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