夏~秋も要注意の「花粉症」 発症を防ぐ方法・治療スケジュールを医師が解説!

「毎年つらい花粉症、そもそも発症しない方法はないの?」と疑問に思う人も多いはず。じつは、花粉症は体質だけでなく生活習慣や環境によっても発症リスクが変わります。一体、どのようなことに気をつければいいのかについて、「目黒本町耳鼻咽喉科」の小松﨑先生に解説していただきました。

監修医師:
小松﨑 敏光(目黒本町耳鼻咽喉科)
花粉症が発症する原因

編集部
そもそも、どうして花粉症は起きるのでしょうか?
小松﨑先生
花粉症は、アレルギー反応の一種です。体が花粉という異物に対して過剰に反応し、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどの症状を引き起こします。特にスギやヒノキの花粉は粒子が細かく、鼻や目の粘膜に付着しやすいため、アレルギー体質の人は免疫機能が過敏に反応して症状が出やすくなるのです。
編集部
なぜ、アレルギー体質の人とそうでない人がいるのですか?
小松﨑先生
遺伝的な要因が大きいですが、生活環境も関係しています。例えば、親がアレルギー体質だと、子どもも同じ体質になりやすいですし、ほかにも大気汚染や住環境、食生活も関係しています。また、乳幼児期に免疫機能が発達する過程でも、アレルギー体質が形成されることがあります。つまり、まずは生まれつきなりやすい体質があり、そこに環境要因などが加わることで花粉症を発症するのです。
編集部
花粉症は、一度発症したら治らないのですか?
小松﨑先生
完全に治すことは困難ですが、年齢とともに症状が軽くなるケースもあります。また、適切な治療や予防策を講じることで、症状をコントロールすることも可能です。最近では、舌下免疫療法などの体質そのものを改善する方法もあるので、我慢するよりは早めに対策を取ることが重要です。
花粉症を発症しないための対策

編集部
そもそも、花粉症を発症させないことは可能なのでしょうか?
小松﨑先生
完全に防ぐのは難しいですが、発症を遅らせたり、症状の重症化を防いだりすることは可能です。例えば、小児期から生活環境に配慮したり、花粉を避ける習慣をつけたりすることで、免疫機能が過敏にならないよう管理することができます。
編集部
日常生活で気をつけるべきことはありますか?
小松﨑先生
花粉が多く飛ぶ時期には、できるだけ外出を避ける、あるいは外出をする際にはマスクやメガネで花粉の侵入を防ぎましょう。帰宅後はすぐに洗顔・うがい・鼻うがいをし、衣服についた花粉も払って室内に持ち込まないことが大切です。また、「空気清浄機や加湿器を使用する」「洗濯物を外に干さない」といった工夫も予防に効果があります。
編集部
最近では、子どもの花粉症も増えていると聞きます。子どもが花粉症を発症しないようにするにはどうしたらいいのでしょうか?
小松﨑先生
乳幼児期からの環境づくりが重要です。例えば、室内のハウスダストや花粉対策をしっかりおこない、清潔で適度に湿度を保った環境を整えるといいでしょう。食事面では、腸内環境を意識したメニューを取り入れ、免疫力を向上させましょう。
花粉症シーズンを乗り切るための治療スケジュール

編集部
花粉症と聞くと春のイメージがありますが、じつはそれだけではないのですよね。
小松﨑先生
はい、そのとおりです。花粉症は春のスギやヒノキだけではありません。夏から秋にかけてはイネ科やブタクサなどの植物が原因となり、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった症状を引き起こすこともあります。春には症状がないのにこの季節に体調が悪くなる人は、秋の花粉症の可能性があります。季節を問わず、症状には注意しましょう。
編集部
花粉症の治療は、いつから始めればいいのでしょうか?
小松﨑先生
花粉が飛び始める2週間〜1カ月前から治療を始めるのが効果的です。これを初期療法と言い、そうすることで体が花粉に過剰に反応するのを抑えてくれます。症状が出てから薬を飲み始めるよりも炎症を予防しておいた方が、軽い症状でシーズンを乗り切りやすくなります。
編集部
具体的に、どのような薬が使われるのですか?
小松﨑先生
代表的なのは抗ヒスタミン薬で、くしゃみや鼻水、目のかゆみを抑える効果があります。ほかにも、点鼻薬や目薬、ステロイド薬など、症状に応じて複数の薬を組み合わせることもあります。最近では眠気の出にくいタイプの薬も登場しており、仕事や運転などに支障なく使える選択肢が増えています。そのほか、根本的に体質を改善したい人には舌下免疫療法も適しています。
編集部
舌下免疫療法は、いつ始めるのがおすすめですか?
小松﨑先生
舌下免疫療法は、花粉が飛散しているシーズン中ではなく、花粉の飛んでいない時期に始める必要があります。スギ花粉を例に挙げると、6〜12月の間に開始するのが一般的です。最低でも3~5年は継続する必要がありますが、根本的な体質改善が期待できる治療です。興味がある場合は、できるだけ早く医師に相談しましょう。
編集部
途中で舌下免疫療法をやめたらどうなりますか?
小松﨑先生
自己判断で薬を中断すると、症状がぶり返したり、より強く出たりする可能性があります。特に、治療を始めて間もないうちに治療を中止してしまうのは危険です。医師の指示に従い、シーズンを通じて薬を使い続けることで、症状を安定させることができます。必ず医師の指示に従い、治療を継続しましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
小松﨑先生
花粉症は、免疫のバランスが崩れることで発症したり、症状が悪化したりすることがあります。症状を軽くするには、普段から栄養バランスの取れた食事や規則正しい生活を心がけ、体調を整えておくことが大切です。あわせて、症状を軽く済ませるためにぜひ、花粉が飛び始める前から耳鼻咽喉科を受診してほしいと思います。
編集部まとめ
鼻水や鼻づまりなどつらい症状が続く花粉症は春だけでなく、夏や秋にも症状が出ることもあるとのことでした。季節を問わず体調不良が続く場合は、花粉症の可能性も考えて、早めに医師に相談をするようにしましょう。
医院情報

| 所在地 | 〒152-0002 東京都目黒区目黒本町2-5-4 ウェルスクエアプラザ目黒本町3F |
| アクセス | 東急東横線「学芸大学駅」 徒歩13分 |
| 診療科目 | 耳鼻咽喉科、アレルギー科 |




