「眼瞼下垂」が保険適用になる条件はご存じですか? 自費治療との違いも医師が解説!

日下邊先生

まぶたが下がって目が開けづらくなる状態を眼瞼下垂と言います。眼瞼下垂には、瞼を開ける筋肉が伸びてしまうことによる「真性の眼瞼下垂」と、皮膚のたるみによる「偽性の眼瞼下垂」の2種類があります。真性の眼瞼下垂は加齢による影響のほか、ハードコンタクトレンズの使用や先天性のものもあります。その一方、偽性の眼瞼下垂は、コンタクトレンズの着脱やアイラインを引く際にまぶたが引っ張られることや、肌荒れや花粉症などで目を擦ってしまうことなどが関係しています。

日下邊先生

まぶたが下がることで、「視野が狭くなる」「額にしわが寄る」「頭痛や肩こりが起きる」といった症状がみられます。日常生活に支障が出るようなら、医療機関の受診を検討しましょう。

日下邊先生

問診で症状を確認し、瞳孔からまぶたのきわまでの距離やまぶたの上がり幅を測定します。医療機関によっては視野検査をおこなったり、まぶたを開く点眼薬を使用して効果を評価したりすることもあります。

日下邊先生

症状の程度や原因によって異なりますが、「挙筋前転術」が主な手術方法です。先天性の眼瞼下垂の場合は、「前頭筋つり上げ術」などもおこないます。また、軽度の眼瞼下垂には、切らずに糸でまぶたを引き上げる「埋没法」も選択肢となりますが、重度の眼瞼下垂には適応にならないことや、数年後には後戻りする点には注意が必要です。皮膚のたるみによる偽性眼瞼下垂では、眉下切開や軽度の場合は埋没法でも改善が可能です。このように、患者さんの状態や希望に合わせて最適な治療法を選択します。

日下邊先生

眼瞼下垂の治療は、全てのケースが保険適用になるわけではありません。保険が使えるのは、「視野障害があり、日常生活に支障をきたす」と医師が判断した場合です。保険適用とするためには、医師による診断で医学的根拠を確認する必要があります。なお、治療内容はあくまでも機能の改善を目的としているので、審美目的の治療はできません。

日下邊先生

そうですね。視野などに影響がなく、見た目の改善を目的とする場合は、美容目的として自費診療になります。

日下邊先生

保険診療では、機能改善を目的とした手術をおこないます。一方で、自費診療では、左右差の調整や二重のデザインまで細かく対応できるのが大きな違いです。

日下邊先生

機能的な部分を保険診療で治療し、審美的な部分の改善を自費診療でおこなうこともできます。ただし、自費診療による手術でトラブルが起こった場合、その修正を保険診療でおこなうことは法律上できません。また、自費診療を先におこない、その後に保険診療で受けるのも困難です。

日下邊先生

まずはホームページで、形成外科専門医が在籍しているかなどをチェックしましょう。また、特に審美面での改善を目指したい人は、過去の症例写真なども確認するのがおすすめです。

日下邊先生

しっかりと診察やカウンセリングなどで、納得してから決めることが大事です。また、良い面だけでなく、リスクや注意点についても説明してくれる医療機関で治療を受けましょう。ピンとこなかったり、不審感を抱いたりした場合は別の医療機関を受診するのもいいと思います。

日下邊先生

加齢に伴い、眼瞼下垂に悩む人は増えていきます。治療にあたっては、保険診療と自費診療のどちらを選ぶか迷うこともあるかもしれません。しかし、ご自身が何を優先したいのかを整理したうえで、納得のいく選択をすることが大切です。もし眼瞼下垂で悩んでいるものの、どこに相談すればいいかわからない場合は、まずは保険診療をおこなっている医療機関に相談することをおすすめします。見た目にこだわりたい場合や保険診療が適用されなかった場合は、信頼のおける美容外科に相談してみましょう。