つらいイメージがある「内視鏡検査」を楽に受けるコツを医師が解説! 知っておきたい注意点とは?

内視鏡検査を受けた方がいいことはわかっているけれど、苦しくて躊躇してしまう……。そう思う人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、内視鏡検査を楽に受けるためのコツについて、「街のクリニック」の土屋先生に解説していただきました。ぜひ次回の検査に役立ててください。

監修医師:
土屋 喜一(街のクリニック)
内視鏡検査を楽に受けるために患者側が注意すべきこと

編集部
内視鏡検査を楽に受けるために、患者側が事前に注意しておくことはありますか?
土屋先生
一番大切なのは「前日・当日の食事と下剤の準備」です。胃や腸に食べ物が残っていると、検査が長引いて苦しくなりやすいのです。指示通りに食事を制限し、下剤をしっかり飲むことが、楽な検査につながります。
編集部
普段から便秘気味な人が内視鏡検査を受けるときは、前日や当日の過ごし方に工夫が必要ですか?
土屋先生
はい。便秘の人は下剤の効きが悪くなることがあるため、医師から追加の下剤を指示されることもあります。前日から水分を多めにとり、消化の良いものを食べるよう心がけましょう。また、軽く体を動かして腸を刺激するなどの工夫も有効です。
編集部
検査前の緊張でお腹が痛くなる人もいると思います。精神面のケアも大事でしょうか?
土屋先生
とても大事です。不安や緊張はお腹のハリや痛みに直結するので、なるべくリラックスすることが大切。音楽を聴いたり、呼吸を整えたりして、意識的に緊張をほぐすのも有効です。
内視鏡検査を楽に受けるためのコツ

編集部
検査中、体の動かし方などで楽になる方法はありますか?
土屋先生
あります。例えば大腸内視鏡では、検査中に体の向きを変えるだけでスムーズにカメラが進むこともあります。スタッフの指示に従って体勢を変えるだけで、痛みや不快感が軽くなることもありますよ。
編集部
胃の内視鏡検査は特に苦手な人が多い印象ですが、少しでも楽にする方法はありますか?
土屋先生
一般に、口よりも鼻からカメラを入れる経鼻内視鏡の人が、楽に感じる人が多いようです。また、検査中はなるべく「力を抜く」「唾液は飲み込まず出す」ということも、検査を楽に受けるためのコツです。のどの力を抜いて深い腹式呼吸を意識するだけでも、かなり楽になります。
編集部
検査中に痛みがあったらどうしたらいいですか?
土屋先生
痛みを我慢することは、穿孔などの合併症を起こす原因になるので、遠慮せずに「痛い」と伝えてください。医師はその都度、内視鏡の動きを調整したり、空気の量を減らしたりできます。我慢せずに意思表示することで、結果的に検査がスムーズに進むことが多いように思います。
内視鏡検査がつらくて仕方ないときの対処法

編集部
以前につらい思いをしてトラウマになっています。どのように乗り越えればいいのでしょうか?
土屋先生
その経験は正直に医師に伝えてください。「前回はつらかった」と言っていただければ、鎮静剤の使用を検討したり、内視鏡の太さを選んだりと、対策を講じることができます。場合によっては、前日に安定剤を処方することもできます。医師に話すだけで気持ちが軽くなることもありますよ。
編集部
鎮静剤を使えば、痛みや苦しさを感じずに済むのでしょうか?
土屋先生
鎮静剤はあくまでも気持ちを落ち着かせるための薬剤なので、痛みを感じないようにすることはできません。また、鎮静剤の効果は個人差が大きく、当日の患者さんの体調によっても左右されます。もし、検査中の痛みが気になるなら鎮痛剤を使うこともできるので、気になる場合には医師に相談してみると良いと思います。
編集部
鎮静剤を使う場合、注意点はありますか?
土屋先生
鎮静剤を使用すると、場合によっては息が弱くなって処置が必要になることもあります。しかし、通常はそうした事故がないよう、医師が患者さんの様子をモニタリングしているので、安心して検査を受けてほしいと思います。また、薬のアレルギーによって使える鎮静剤が限られていることもあります。鎮静剤を希望する場合には、必ず医師にアレルギーや既往を伝えてください。
編集部
そのほか、鎮静剤を使うときの注意点はありますか?
土屋先生
鎮静剤を使う場合、車の運転が当日はできません。必ず公共交通機関を使うか、付き添いの人と来院してください。また、検査後に眠気やふらつきが残ることがあるため、検査後は安静に過ごす予定を立てておきましょう。
編集部
どうしても怖いときは、検査を受けなくてもいいのでしょうか?
土屋先生
もちろん、無理に受ける必要はありません。ただ、内視鏡検査は大腸がんや胃がんの早期発見にとって非常に重要です。どうしても不安なときは、医師に相談するだけでも大丈夫なので、ぜひ医療機関を訪れてみてください。不安や恐怖が強くて検査を受けたくないという場合には、「口からの内視鏡はつらかったけれど、鼻からだったら大丈夫なのでは?」「内視鏡検査の代わりに何ができるか?」「苦痛を和らげるためにどんな薬が使えるか?」などを医師と一緒に考えることもできます。まずは信頼できる医師や施設を見つけてほしいと思います。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
土屋先生
たしかに内視鏡検査は苦痛を伴うことがあり、一度受けたことがある人は「もう二度と受けたくない」と感じるかもしれません。しかし、大事なのは「そもそもなぜ、この検査が必要なのか」と考えることです。その理由を知れば、検査に対する恐怖や不安も多少は安らぐかもしれませんし、医師と一緒に不安を消すための解決策を講じることができるかもしれません。まずは検査の意義や価値をしっかり理解し、ぜひ信頼できる医療機関で内視鏡検査を受けてほしいと思います。
編集部まとめ
内視鏡検査を楽に受けるためには、前日・当日の食事制限や下剤の服用が重要です。便秘や緊張への対処、医師への不安の共有も大切。不安が強い場合はまず相談を。検査の意義を理解し、信頼できる医療機関で受けましょう。
医院情報
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アクセス | JR「保土ケ谷駅」 徒歩15分 |
診療科目 | 内科、外科、消化器内視鏡内科、胃腸内科 |