「顔の赤み」が出る原因はご存じですか? 「赤ら顔」の対策や治療法も医師が解説!

青木先生

顔の赤みの原因は多岐にわたります。アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎、酒さ、ステロイドの長期使用によって起こるステロイド酒さなど、疾患によって症状や対応が異なります。一目見ただけでは判断が難しいケースもあり、適切な診断と治療が必要になります。

青木先生

はい、アトピー性皮膚炎で顔に赤みが出ることはよくあります。特に皮膚のバリア機能が低下していると、外的刺激に敏感になり、炎症やかゆみによって赤みが出やすくなるのです。

青木先生

脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が多い部位に炎症が起きる慢性的な皮膚疾患です。顔では特に小鼻の周りや額、眉間、頭皮に赤みやかゆみ、かさつきがみられます。皮脂を好むマラセチアという常在菌が関与していると言われています。

青木先生

酒さは、顔の中心部を中心に赤みや毛細血管の拡張、小さなブツブツができる慢性的な皮膚疾患です。見た目がにきびと似ていますが、にきびとは異なるため、自己判断でのスキンケアが逆効果になることもあります。診断されずにそのまま放置されるケースも多いのですが、進行性の疾患なので、気になる症状がある場合は早めに医療機関で治療を受けることをおすすめします。

青木先生

辛い食べ物やコーヒーなどの熱い飲み物・アルコールの摂取、急激な温度変化、強い紫外線、精神的ストレスなどは、赤みを強くする要因になると言われています。血管が拡張しやすい人や皮膚が敏感な人は、日常のちょっとした刺激にも注意が必要です。

青木先生

紫外線対策や保湿を中心としたスキンケア、ストレスのコントロール、バランスのとれた食生活などが基本となります。ほかにも、メイク用品やヘアスタイリング剤などによる肌への刺激を最小限に抑えることも重要です。ただし、症状によっては自己判断での対処が難しいこともあるため、早めに医師に相談することをおすすめします。

青木先生

例えば当院では、改善が見込める赤みの症状に対してIPL（Intense Pulsed Light）という光治療機器を用いています。IPLは拡張した毛細血管を徐々に消退させていく治療で、回数を重ねることで徐々に赤みが改善していきます。また、酒さや脂漏性皮膚炎などの場合は、抗菌薬やイソトレチノインの内服を併用して治療をおこなうこともあります。

青木先生

IPLは、広範囲の波長をもつ光を照射し、皮膚の浅い部分にある毛細血管の拡張を穏やかに改善する治療です。1回で劇的な効果を得るのは難しいですが、複数回繰り返すことで確実に改善が期待できます。ダウンタイムも少なく、比較的受けやすい治療法です。

青木先生

脂漏性皮膚炎や酒さの患者さんでは、内服や外用の抗菌薬や抗炎症薬、脂漏性皮膚炎の重症例ではイソトレチノインの内服を併用することもあります。これらは皮脂の分泌を抑えたり、炎症を鎮めたりする効果があります。皮膚の状態を丁寧に見極め、個々に適した処方をおこないます。

青木先生

赤ら顔の治療は、基本的には美容目的の自費診療となるため保険適用外ですが、アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎などの疾患に基づく赤ら顔の治療は保険適用になるケースもあります。疾患がある場合は、まず保険診療で治療し、さらなる改善を求める場合は自費診療で対応という形になると思います。しかし、治療内容や回数によって費用は異なるので、詳しくは受診する医療機関で確認するのが確実です。自費診療に関わるカウンセリングは無料という医療機関もあるので、まずは気軽に相談してみてください。

青木先生

赤ら顔は、命に関わる病気ではありませんが、人前で顔が赤くなってしまうことに悩み、日常生活に不安やストレスを感じている人も少なくありません。見た目の印象にも関わるため、コンプレックスにつながってしまうこともあります。当院にも「メイクで隠すのが大変」「何をしても良くならない」といったご相談が多く寄せられています。赤ら顔は、正しく対応すれば改善が期待できる症状ですが、赤ら顔の原因は1つではなく、様々な疾患が背景にあることもあるため、正しい診断と原因に応じた適切な治療が必要です。赤みが気になる人はぜひ、ご自身にとって通いやすく、気軽に相談できる医療機関を見つけてほしいと思います。