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「不妊検査」では何をするのかご存じですか? 検査内容や受ける際の注意点を医師が解説!

 公開日:2025/06/15

不妊に悩み、治療を受けたいカップルにとっての最初のステップが不妊検査を受けることです。しかし、会社勤めをしながらの不妊治療では、検査もなかなか大変かもしれません。そもそも、なぜ検査が必要なのでしょうか? そして、検査内容も気になるところです。 「田中レディスクリニック渋谷」の田中先生に解説していただきました。

田中 つるぎ

監修医師
田中 つるぎ(田中レディスクリニック渋谷)

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群馬大学医学部医学科卒業、東京大学大学院医学系研究科修了。関東労災病院、東京大学医学部附属病院、山梨大学医学部附属病院、国立国際医療研究センター病院、三井記念病院などで経験を積む。2024年より、東京都渋谷区に位置する「田中レディスクリニック渋谷」に勤務。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本産科婦人科遺伝診療学会認定医。日本生殖医学会、日本女性医学学会、日本抗加齢医学会、日本人類遺伝学会の各会員。

不妊治療に必要な検査

不妊治療に必要な検査

編集部編集部

不妊検査について教えてください。

田中 つるぎ先生田中先生

妊娠を希望するのになかなか妊娠しないカップルがその原因を調べ、治療につなげるための検査を指します。現在、子どもを希望するカップルの10~15%が不妊であり、健康な夫婦の10%以上が不妊に悩んでいることが判明しています。不妊検査は妊娠しにくい原因を調べ、適切な治療方針を立てるために有効です。

編集部編集部

不妊検査をすることで、治療方針を立てることができるのですね。

田中 つるぎ先生田中先生

そうですね。妊活を始めたけれどなかなか妊娠に至らない場合、妊娠しにくい根本的な原因があることが多いとされています。不妊検査では、妊娠が成立するまでの排卵、受精、着床などの各プロセスに問題がないかを調べます。ただ、残念ながら不妊検査をしても全ての原因がわかるわけではありません。統計によると、検査を受けたカップルのうち10〜30%は原因不明であることがわかっています。しかし、不妊検査は現在の体の状態を把握し、隠れた原因を探りながら早期に不妊治療をおこなうために重要なものです。ぜひ、不妊で困っている人は検討してほしいと思います。

編集部編集部

検査の対象は女性のみですか?

田中 つるぎ先生田中先生

いいえ、女性だけでなく男性も必ず一緒に受けましょう。2003年に日本受精着床学会がおこなった不妊治療患者へのアンケート調査によると、不妊原因の約30%は男性にあることが分かっています。また、男性両方ともに原因があるカップルは全体の約20%という報告もあります。つまり、不妊カップルの半数に、男性側の原因が関わっているのです。そのため、女性だけでなく、男性も必ず一緒に検査を受けてください。

不妊検査の内容

不妊検査の内容

編集部編集部

検査には、どのようなものがあるのでしょうか?

田中 つるぎ先生田中先生

検査には様々なものがあります。例えば、当院でおこなっている不妊検査には、以下のものがあります。
  • 経腟超音波検査
  • AMH(抗ミュラー管ホルモン)
  • クラミジア抗体検査
  • 風疹抗体検査
  • 感染症検査
  • 血液検査
  • 尿検査
  • 子宮卵管検査
  • 精子の検査
  • ヒューナーテスト

編集部編集部

多くの検査があるのですね。そのなかでも、特徴的なものについていくつか教えてください。

田中 つるぎ先生田中先生

まず、経腟超音波検査とは腟から超音波器具を挿入し、子宮や卵巣の状態を確認する検査です。子宮筋腫や卵巣のう腫などを診断したり、月経周期に応じて卵胞の発育状態を確認したりするほか、子宮内膜の厚さなどを評価することができます。

編集部編集部

子宮卵管検査についてはいかがでしょうか?

田中 つるぎ先生田中先生

子宮や卵管の状態をレントゲンや超音波で確認する検査が子宮卵管検査です。卵管は精子と卵子が出会う場所で、子宮卵管検査は不妊検査では非常に重要なものの1つです。

編集部編集部

どのようにして検査をするのですか?

田中 つるぎ先生田中先生

一般的におこなわれているのは子宮卵管造影検査(HSG)で、子宮内に造影剤を注入し、子宮内腔の状態や卵管の通過状態などを調べます。しかし、当院では造影剤の副作用やレントゲンによる被爆を避けるために、生理食塩水を用いて卵管の通過性を評価する「フェムビュー」という検査をおこなっています。

編集部編集部

男性がおこなう検査には、精子を調べる検査以外にもありますか?

田中 つるぎ先生田中先生

精子を調べる検査だけでなく、クラミジア抗体検査や風疹抗体検査、感染症検査はカップルで受けることが重要です。例えば、クラミジアは卵管性不妊の原因となりますが、性行為で感染しやすく、女性のほとんどのケースが無症状です。

不妊検査を受ける際の注意点

不妊検査を受ける際の注意点

編集部編集部

不妊検査を受ける上での注意点はありますか?

田中 つるぎ先生田中先生

検査の種類によっては、月経の影響を受けるものがあります。月経期間によって検査できるものが変わるため、医療機関のwebサイトなどで確認して受診することをおすすめします。

編集部編集部

不妊検査はいつ受けたらいいのでしょうか?

田中 つるぎ先生田中先生

「なかなか妊娠しない」と感じたら、早めに検査を受けましょう。不妊検査を受けることで、不妊の原因を把握したり、治療の方針を検討したりすることができます。

編集部編集部

不妊検査は痛いのでしょうか?

田中 つるぎ先生田中先生

子宮卵管検査は、人によっては痛みを感じることがあります。しかし、ほかの検査は基本的に痛みを伴わないので、安心して検査を受けてほしいと思います。

編集部編集部

全ての検査を1日でおこなうのですか?

田中 つるぎ先生田中先生

当院の場合は、2回に分けておこないます。初回の検査の結果を見てから、2回目に子宮卵管検査を実施します。全ての検査が終わるまで、2週間~1カ月かかると考えてもらえればと思います。

編集部編集部

不妊検査は保険が適用になるのですか?

田中 つるぎ先生田中先生

検査の種類によって保険診療と自由診療があります。また、自治体によっては不妊検査にかかる費用の一部を助成する制度もあります。詳しくは自治体の窓口にご相談ください。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

田中 つるぎ先生田中先生

一般的に、1年間妊娠しなかった場合は不妊症と診断されますが、1年を待たずとも妊娠を希望する場合には早めに不妊検査を受けることをおすすめします。不妊の原因と現在の自分の体の状態を知ることが妊娠に向けた第一歩です。ぜひ、信頼できる医療機関と出会い、妊娠や出産に関する不安をご相談いただければと思います。

編集部まとめ

不妊検査は妊娠出産に向けた第一歩。妊娠や出産は男女で協力することが不可欠なので、検査で受診する際には必ずカップルで医療機関へ出向き、2人で検査を受けることが大切ですね。

医院情報

田中レディスクリニック渋谷

田中レディスクリニック渋谷
所在地 〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町20-11 渋谷三葉ビル4F
アクセス JR・東京メトロ「渋谷駅」 徒歩2分
診療科目 婦人科、不妊治療

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