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「耳鼻科のCT検査」で何がわかる? 検査時間・費用・受けられる人の条件を医師が解説!

 公開日:2025/05/19

耳鼻科の診察では、画像診断が非常に重要な役割を果たします。特にCT検査をおこなうと、短時間で詳細な情報を得ることができます。今回は、耳鼻科用CTの特徴や検査の安全性について、「高田馬場みやの耳鼻咽喉科」の宮野先生に解説していただきました。

宮野 一樹

監修医師
宮野 一樹(高田馬場みやの耳鼻咽喉科)

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埼玉医科大学医学部医学科卒業。東京大学大学院医学系研究科外科学専攻博士課程修了。東京大学医学部附属病院と医局関連病院である地域中核総合病院に計18年間勤務し、手術入院症例を中心に研鑽を積む。2023年4月3日より「高田馬場みやの耳鼻咽喉科」開院、翌年には飯田橋みみ・はな・のどクリニックを開院する。医学博士。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定耳鼻咽喉科専門医、日本気管食道科学会認定気管食道科専門医。

耳鼻科でCT検査を受けるとどんな病気がわかる?

耳鼻科でCT検査を受けるとどんな病気がわかる?

編集部編集部

「耳鼻科でもCT検査をすることがある」というのは本当ですか?

宮野 一樹先生宮野先生

そうですね。鼻の奥の状態を確認し、診断や治療に役立てるために、CT検査をおこなうことがあります。撮影自体は約1〜2分で完了し、検査後、診察室ですぐに結果を確認できるため、診断から治療方針の決定までがスムーズに進みます。

編集部編集部

耳鼻科のCT検査はどんなときに必要ですか?

宮野 一樹先生宮野先生

「膿のような鼻水が続いている」「鼻づまりがひどい」「頬が痛い・上の歯が痛い」「鼻をぶつけた」「耳の聞こえが悪い」など、一般的な症状で受診された患者さんで、医師が必要と判断した場合におこなわれます。通常の治療で改善しない副鼻腔炎や、外傷による骨折の有無を確認する際に役立ちます。また、中耳炎、伝音性難聴の診断に有用です。ほかにも「真珠腫性中耳炎」という中耳炎の進展度判定にも使用されます。

編集部編集部

一般的なCTと耳鼻科用CTの違いはなんですか?

宮野 一樹先生宮野先生

総合病院などのCTは寝た状態で撮影するのに対し、耳鼻科用CTは座ったまま撮影できるのが特徴です。また、費用が安いというのも耳鼻科用CTの特徴です。

編集部編集部

被ばくについても気になります。

宮野 一樹先生宮野先生

耳鼻科用CTの被ばく線量は、一般的なCTの約1/8以下と低めに設計されています。そのため、必要最小限の被ばくで検査を受けることができます。

耳鼻科でCT検査が必要な理由

耳鼻科でCT検査が必要な理由

編集部編集部

副鼻腔炎の診断にCTが必要な理由は何ですか?

宮野 一樹先生宮野先生

通常の副鼻腔炎は細菌感染が原因ですが、カビ(真菌)やむし歯が原因の場合、通常の治療では改善しません。通常の治療でなかなか治らない副鼻腔炎に対してCT検査をすることで、より正確な診断、適切な治療が可能になる場合もあります。

編集部編集部

鼻骨骨折や顔面骨骨折はCT検査でしか診断できませんか?

宮野 一樹先生宮野先生

骨折の場所や程度にもよりますが、基本的に顔面の骨折はレントゲン検査だけではわかりにくいと思います。鼻骨骨折や頬骨骨折、眼窩壁骨折などはCTでないと正確に診断できません。3D画像で確認することで、骨折の詳細な状態を一目で把握できます。

編集部編集部

伝音性難聴の診断にもCTが使われるのですか?

宮野 一樹先生宮野先生

伝音性難聴は、鼓膜の奥にある耳小骨や中耳の異常が原因で起こる難聴です。耳小骨や中耳は外からは見えないため、CT検査を用いて詳しく調べることで正確な診断が可能になります。

編集部編集部

真珠腫性中耳炎とは何ですか?

宮野 一樹先生宮野先生

真珠腫性中耳炎は、周囲の骨を破壊していく特殊な中耳炎です。この疾患はCTを使うことで、その広がりや重症度を判断できます。

耳鼻科のCT検査は妊婦や子どもでも受けられる?

耳鼻科のCT検査は、妊婦や子どもも受けられる?

編集部編集部

子どもでもCT検査を受けても大丈夫ですか?

宮野 一樹先生宮野先生

検査中にじっと座っていられる子ども(目安は小学生以上)であれば、基本的に大丈夫です。耳鼻科用CTは被ばく量が少ないため、被ばくの心配はほとんどなく子どもでも安心して受けられます。CT検査は痛みが一切なく、短時間で撮影が終わるため負担も少なく済みます。

編集部編集部

妊娠中の場合はどうですか?

宮野 一樹先生宮野先生

基本的に妊娠中のCT検査は推奨されていません。ただし、緊急でどうしても診断のためにCT検査が必要な場合には、母体の命や健康を守るという観点から、CT検査が施行される場合もあります。

編集部編集部

費用も気になります。

宮野 一樹先生宮野先生

3割負担の場合は、約3400円程度です。ただし、CT撮影だけを単独でおこなうことは基本的になく、診察料などが費用に上乗せされます。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

宮野 一樹先生宮野先生

耳鼻科に通っていても症状が改善しない場合、根本的な原因を精査する必要があるかもしれません。特に、歯の痛みや黄色い鼻水、頻繁な鼻血がある場合は、内視鏡検査だけでなくCT検査もおこなうことをおすすめします。CTを撮ることで原因が明確になることもありますし、異常がないと確認できれば安心につながります。気になる症状がある人は、お近くの耳鼻科CT撮影が可能な医療機関を探してみてはいかがでしょうか。

編集部まとめ

耳鼻科CT検査は、様々な疾患の詳細な診断に役立つ有用な検査です。一般的なCT検査と比べて被ばく量が少なく、短時間で検査が完了するため、検査中にじっと座っていられる小学生以上の子どもや高齢者にも負担が少なく安心して受けられます。耳鼻科の症状が長引く場合などは、適切な診断を受けるためにCT検査を活用してみてはいかがでしょうか。

医院情報

高田馬場みやの耳鼻咽喉科

高田馬場みやの耳鼻咽喉科
所在地 〒169-0075 東京都新宿区高田馬場2-17-6
ゆう文ビル5F
アクセス JR「高田馬場駅」 徒歩1分
診療科目 耳鼻咽喉科、アレルギー科

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