スポーツで怪我をしたときの対処法をご存じですか? 復帰を目指すためのリハビリも整形外科医が解説!

スポーツに怪我はつきものですが、できるだけ早く、安全に復帰するためには適切なリハビリが欠かせません。特にサッカーやラグビーのような激しい接触や切り返し動作の多い競技では、競技復帰に向けて焦らずリハビリしていくことが重要です。今回は、スポーツの怪我からの復帰を目指すリハビリについて、「武蔵野アトラスターズ整形外科スポーツクリニック」の田島先生に解説していただきました。

監修医師:
田島 祐基(武蔵野アトラスターズ整形外科スポーツクリニック)
スポーツで怪我したときの対処法

編集部
スポーツで怪我をしたら、まず何をすべきでしょうか?
田島先生
まずは「RICE処置」を実施しましょう。特に捻挫や打撲は、すぐにアイシングをすることで腫れや痛みを抑えられます。その後、できるだけ速やかに整形外科を受診してください。初期対応をしっかりおこなうことで、回復がスムーズになります。
編集部
RICE処置とは?
田島先生
安静(Rest)・冷却(Ice)・圧迫(Compression)・挙上(Elevation)の頭文字をとって「RICE」です。怪我をしたら、まずは競技を中断し、冷やしながら患部を強めに押さえ、可能であれば心臓よりも高く上げるという処置です。特別な技術を要さず誰でもおこなえる処置なので、ぜひ覚えておいてください。
編集部
応急処置後、医療機関ではどのようなことをするのですか?
田島先生
まずはレントゲンやエコー検査で、骨折や靭帯断裂などがないか確認します。状態によっては追加でCTやMRIなどの画像検査をおこないます。骨折や膝の靱帯断裂などがあった場合は手術が必要になることもあるので、できるだけ早く受診して検査を受けましょう。
編集部
骨折や膝の靱帯断裂以外では、どのような処置をおこなうのでしょうか?
田島先生
「脱臼などの整復処置が必要な場合」「何らかの固定が必要な場合」「経過観察しながら回復を待つ場合」などが考えられます。経過観察と言っても、ただ回復を待つのではなく、リハビリをしながらより早期の回復や競技復帰を図っていきます。
整形外科で受けられるリハビリ

編集部
整形外科で受けられるリハビリについて教えてください。
田島先生
医師による診断・指示のもとに、理学療法士などの専門職がおこないます。「超急性期」と呼ばれる、炎症反応が強い数日間が過ぎたら、できるだけ早急にリハビリを開始することをおすすめします。
編集部
具体的には、どのようなことをするのでしょうか?
田島先生
それぞれの診断名や回復段階によって異なります。最初は、ご自身で力をかけることなく、他動的に関節を動かすことなどから始める場合が多いと思います。そこから徐々にご自分で動かしたり、負荷をかけて筋肉を鍛えたりするといった内容になっていきます。医療機関によっては、それぞれのスポーツ特性を踏まえた動作確認などもしていきます。
編集部
怪我のリハビリには、どのくらいの期間がかかるのですか?
田島先生
怪我の種類や重症度によりますが、軽い捻挫なら数週間、靭帯損傷や骨折なら数カ月かかることもあります。特に競技復帰を目指す場合は、完全に回復するまで焦らず段階的にリハビリを進めることが重要です。無理に復帰を急ぐと、再発のリスクが高まります。
編集部
痛みがなくなれば、すぐにスポーツ復帰したくなってしまいます。
田島先生
気持ちはよくわかりますが、痛みがなくなったからといって、すぐにプレーを再開すると再発のリスクがあります。筋力や柔軟性、バランス感覚が十分に回復しているかを確認し、さらには再発しにくい体の使い方なども習得しながら、怪我をする前よりもいいパフォーマンスでの競技復帰を目指すことが大切です。
怪我を繰り返さないためには?

編集部
再発予防のことも考えなければならないのですね。
田島先生
そうですね。相手との接触などによる予測不能な怪我も多くありますが、ご自身の体の使い方のクセや筋肉のアンバランス、安定性の不足などが要因になっているケースも多くあります。怪我の再発を防ぐには、ストレッチや筋力トレーニングを継続し、正しいフォームを意識することが大切です。特にサッカーやラグビーは接触が多いため、体幹を鍛えることや柔軟性を向上させることも重要です。
編集部
怪我をしないために、ほかにも対策はありますか?
田島先生
競技前にしっかりとしたウォーミングアップをしたり、シューズなど道具のメンテナンスをしたりすることも大事です。また、焦って無理をしたり、我を忘れて突っ込んでしまったりするのは、メンタルが保てていないことが考えられます。メンタルケアを疎かにしないことも、怪我予防には大切です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
田島先生
電気などの物理療法で痛みや動かしにくさを軽減するだけがリハビリではありません。競技に復帰した際のパフォーマンスや、後の再発予防のことまで考えてリハビリをおこなっている整形外科も多くあります。スポーツで怪我をしてしまった際はリハビリを疎かにせず、可能であればスポーツリハビリを専門的におこなっている医療機関を選ぶことが、今後のパフォーマンスのためにも大事だと思います。
編集部まとめ
スポーツの怪我からの復帰には、焦らず計画的にリハビリを進めることが大切とのことでした。無理をせず、自分の体と向き合いながら、最適な方法で回復を目指しましょう。今後のためにも、整形外科で競技特性などを踏まえたリハビリをしっかりと継続することがおすすめです。
医院情報
所在地 | 〒180-0006 東京都武蔵野市中町2-8-11横河診療センター1階 |
アクセス | JR「三鷹駅」 徒歩7分 |
診療科目 | 整形外科、スポーツ整形外科 |