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「ICL」と「レーシック」の違いはご存じですか? それぞれのメリット・デメリットを眼科医が解説!

 公開日:2024/12/02

近視などの治療選択肢として、「ICL」や「レーシック」という方法が挙げられます。一体、どのような違いがあるのかご存じですか? それぞれのメリット・デメリットや安全性などを、「水天宮藤田眼科」の藤田先生に解説していただきました。

藤田 浩司

監修医師
藤田 浩司(水天宮藤田眼科)

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獨協医科大学卒業。東京医科大学眼科入局。その後、船橋市立医療センター眼科医長、日本通運健康保険組合東京病院眼科部長などを務める。2000年、東京都中央区に「水天宮藤田眼科」を開院。医学博士。日本眼科学会認定眼科専門医、公益社団法人日本眼科医会代議員。日本眼科手術学会、日本白内障学会、日本白内障屈折矯正手術学会、日本コンタクトレンズ学会、日本眼感染症学会。

ICLとは?

ICLとは?

編集部編集部

まず、ICLについて教えてください。

藤田浩司先生藤田先生

ICLとは眼内コンタクトレンズとも言われ、目の中にコンタクトレンズを挿入して、視力を矯正する治療法です。国内外で多くの実績があり、現在ではたくさんの人が治療を受けています。

編集部編集部

もう少し詳しく教えてください。

藤田浩司先生藤田先生

目の中に特殊なコンタクトレンズを挿入することで近視や乱視などを矯正し、視力の回復を目指します。同じく、視力を矯正する治療法にレーシックがありますが、じつはレーシックが初めて報告されるよりも早くに、ICLは開発されています。

編集部編集部

ICLはレーシックとどう違うのですか?

藤田浩司先生藤田先生

レーシックの場合は、角膜を削って視力を矯正します。その一方、ICLは角膜を削る必要がありません。そのため、一度コンタクトレンズを埋め込んでも、将来的に老眼や白内障が出て度数が合わなくなった場合などにはレンズを取り出し、元の状態に戻すことができます。

編集部編集部

レーシックとは異なるメリットがあるのですね。

藤田浩司先生藤田先生

はい。そのほか、将来的により優れた手術法が出た場合には、コンタクトレンズを取り外して元の状態に戻すことができるのもICLの利点です。

ICLとレーシックの違い

ICLとレーシックの違い

編集部編集部

角膜を削らないこと以外で、ICLとレーシックにはどのような違いがあるのでしょうか?

藤田浩司先生藤田先生

レーシックだと角膜が非常に薄い場合には手術ができないなど、角膜の厚さによって治療の可否が左右されます。また、強度近視や強度乱視の場合、レーシックは不適応とされています。しかし、ICLにはそうした制限がなく、強度近視や強度乱視でも受けることができます。

編集部編集部

そのほかにも、違いはありますか?

藤田浩司先生藤田先生

ICLは角膜を削らないため、角膜の歪みが増えることがなく、鮮やかでクリアな見え方が期待できます。また、レーシックは夜間に見えづらくなったり、光が滲んだりギラギラして見えたりする「ハロー・グレア」という現象が起きることもありますが、ICLの場合にはそうした心配が少ないとされています。

編集部編集部

ICLには様々なメリットがあるのですね。

藤田浩司先生藤田先生

そのほかにも、ICLは角膜の知覚神経を傷つけることが少なく、ほとんどドライアイにならなかったり、ICL治療は近視のリバウンドが起こらなかったりするメリットがあります。

編集部編集部

目の中に入れたコンタクトレンズは、手入れが必要なのですか?

藤田浩司先生藤田先生

いったん目の中に入れたレンズは汚れがつくことはなく、日々の手入れやメンテナンスは不要です。コンタクトレンズがゴロゴロするといった違和感もありません。特に、災害が起こった際も、メガネやコンタクトレンズが不要で裸眼で生活をすることができるため安心です。

ICLとレーシックの安全性や費用の違い

ICLとレーシックの安全性や費用の違い

編集部編集部

ICL治療とレーシック治療は、どちらが安全なのですか?

藤田浩司先生藤田先生

角膜を削らなくて済み、ハロー・グレアなどが出現しなかったり、ドライアイになりにくかったり、合併症が少ない点から言えば、レーシックよりもICLが優れていると考えていいと思います。

編集部編集部

ICLという治療の立ち位置は、世界的に見るとどうなのでしょうか?

藤田浩司先生藤田先生

日本では、ICLよりレーシックの方が知られているかもしれません。しかし、世界的に見るとICLは80カ国で承認されており、約150万人の人が治療を受けています。また、安全性も担保されており、欧米ではレーシックよりもICLの方がメジャーになっています。

編集部編集部

ICLは、どのような人に適していますか?

藤田浩司先生藤田先生

強度の近視や乱視に悩んでいる人や、左右の視力が大きく異なる人は、メガネやコンタクトレンズでの矯正が難しくなるため、ICLが向いているかもしれません。また、ドライアイがひどい人や、アレルギーが強くてコンタクトレンズができない人にもICLは適しています。そのほか、マリンスポーツをおこなっている人もICLを受けることで、快適にスポーツが楽しめると思います。

編集部編集部

ICLに年齢制限はあるのですか?

藤田浩司先生藤田先生

白内障や老眼などの加齢による目の疾患を発症すると視力が不安定になるため、できれば45歳前に治療を受けることを推奨しています。ただし、医療機関によって年齢の上限は異なるので、興味があれば医師に相談してみましょう。

編集部編集部

保険適用ですか?

藤田浩司先生藤田先生

いいえ、ICLはレーシック同様、保険適用外です。費用は使用するレンズや乱視があるかなどによっても異なりますが、両目で60〜80万円程度です。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

藤田浩司先生藤田先生

ICLは副作用が少なく、安全な屈折矯正手術として確立されています。興味がれば、ぜひ眼科へご相談ください。ただし最近では、ICLをおこなう医療機関も増加しているため、患者側がクリニックを見極めることが大切です。治療を検討する際は、安全面を考慮して、厚生労働省認可のコンタクトレンズを使用しているクリニックがおすすめです。

編集部まとめ

日本では、ICLを受けた人はあまり多くありませんが、世界ではすでにメジャーな治療法として定着しています。角膜を削らなくて済み、いざとなれば元の状態に戻せる点がメリットとのことでした。強度の近視で困っている人は、ぜひ一度医師に相談してみてはいかがでしょうか。

医院情報

水天宮藤田眼科

水天宮藤田眼科
所在地 〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町 1-39-5 水天宮北辰ビル7階
アクセス 東京メトロ「水天宮前駅」 徒歩0分
東京メトロ「人形町駅」 徒歩2分
都営浅草線「人形町駅」 徒歩5分
診療科目 眼科

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