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「胃の不調」の原因・対処法を医師が解説! 胃カメラを受けた方がいい理由とは?

 公開日:2024/09/30

胃もたれや胃痛の原因を特定するのに、胃カメラ(内視鏡検査)は非常に有効な方法です。しかし、必ずしも全ての胃もたれや胃痛が、カメラで観察できる胃の異常からくるわけではないようです。今回は、胃もたれや胃痛の原因を特定するために必要な検査や、胃カメラで異常がない場合に考えられることなどについて、「横浜内科おなかクリニック」の山田先生に伺いました。

山田 晃弘

監修医師
山田 晃弘(横浜内科おなかクリニック)

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新潟大学医学部卒業。その後、虎の門病院や国立国際医療研究センターなどで経験を積む。2018年より現職。一人ひとりに寄り添い、安心して受診できるクリニックを目指している。日本内科学会総合内科専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本消化器病学会専門医、日本ヘリコバクター学会認定医。

胃もたれ、胃痛の原因

胃もたれ、胃痛の原因

編集部編集部

加齢とともに、胃もたれや胃痛などの胃の不調が目立ち始めました……。

山田 晃弘先生山田先生

胃もたれは、正式な病名や症状名ではなく、食後に胃が重く感じたり、食べ物がうまく消化されずに胃に停滞しているように感じたりする状態のことを指します。一般的には「食事後、胃が膨れて苦しい感じが続く」「胃の不快感や満腹感がなかなか消えない」といった症状が挙げられます。

編集部編集部

なぜ、胃もたれになるのでしょうか?

山田 晃弘先生山田先生

胃もたれの主な原因は、「消化不良」と「胃酸過多」です。食べ過ぎや脂っこい食事、早食いなどが消化器官に負担をかけ、食べたものがうまく消化されないことで、胃もたれを引き起こします。また、ストレスや緊張、加齢による消化機能の低下も関与しています。

編集部編集部

次に、胃痛の原因についても教えてください。

山田 晃弘先生山田先生

胃痛の原因は多岐にわたり、胃炎や胃潰瘍、胃がんなどが一般的です。また、逆流性食道炎などでも、胃の入り口に痛みを感じる場合があります。これらは、胃酸が過剰に分泌されることや、胃の粘膜が傷つくことで発生します。加えて、ストレスや飲酒、喫煙なども胃の消化機能を低下させて胃痛を引き起こす要因となります。

胃もたれ、胃痛の場合、どんな検査で原因がわかるの?

胃もたれ、胃痛の場合、どんな検査で原因がわかるの?

編集部編集部

胃もたれや胃痛の原因は、どのようにして突き止めるのですか?

山田 晃弘先生山田先生

まず、具体的な症状や病歴を詳しく聞くための問診をおこないます。胃もたれや胃痛の具体的な症状、食事や生活習慣、既往歴、家族歴などが含まれます。問診によって発熱があるか、吐き気・嘔吐を伴っているか、痛みが急に出てきたものか、長い時間をかけて徐々に痛くなってきたものかなどによって、病状をある程度絞りこんでいきます。

編集部編集部

ほかには、どのようなことをおこないますか?

山田 晃弘先生山田先生

腹部の診察もおこなって、痛みの場所や程度を確認したり、腹部の緊張具合や消化音なども調べたりします。胃の粘膜などの様子を観察する必要があるとみなされた場合、胃カメラをおこないます。

編集部編集部

胃カメラについて教えてください。

山田 晃弘先生山田先生

胃もたれや胃痛の原因を直接確認するためにおこなわれる検査です。細長いチューブにカメラがついた内視鏡を口から挿入し、食道や胃の内部を観察します。胃カメラによって、胃炎、胃潰瘍、逆流性食道炎、胃がんなどの異常を発見することができます。また、異常が見つかった場合には、その場で組織を採取し(生検)、さらに詳しく調べることもできます。

編集部編集部

胃カメラ以外にも検査をすることはありますか?

山田 晃弘先生山田先生

胃そのものだけでなく、周辺にある肝臓や胆嚢、膵臓などの異常を確認するなどの目的で、腹部超音波検査(エコー)がおこなわれることもあります。また、必要に応じてCT検査をする場合もありますし、全身状態の把握や炎症の有無、感染症、貧血の確認などのためには血液検査が有用です。

炎症や潰瘍がなくても胃もたれや胃痛が起こることもある?

炎症や潰瘍がなくても胃もたれや胃痛が起こることもある?

編集部編集部

胃以外に原因がある場合も考えられるのですね。

山田 晃弘先生山田先生

そうですね。「胃が痛い」と感じても、じつは食道や肝臓など、別の臓器の問題である場合も多くあります。例えば「酸っぱい液体が口まで上がってくる」「胸が焼けるように痛む」といった症状がある場合、逆流性食道炎の可能性があります。逆流性食道炎は、症状が繰り返し表れることが多く、炎症が長引くと食道が狭くなって日常生活に支障が出ることもあります。

編集部編集部

そうなのですね。

山田 晃弘先生山田先生

最近、多くなっている疾患に「機能性ディスペプシア」があります。炎症や潰瘍などの目に見える異常がないにもかかわらず、機能の不調が原因で胃痛や胃もたれを引き起こす病態です。

編集部編集部

胃には異常がみられない胃痛も色々あるということですね。

山田 晃弘先生山田先生

そうですね。全ての胃痛の原因が胃カメラで特定できるわけではありませんが、「胃ではなく食道に炎症がある」「食道や胃に異常がない」と判明すれば、それも大事な情報となります。胃痛や胃もたれが気になっている人は、市販薬などで我慢せず、まずは一度検査を受けてみてください。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

山田 晃弘先生山田先生

胃がんをはじめとする胃の病気の中には、初期には症状のないものも多くあるので、病気の早期発見のためには、症状がなくても定期的に検査を受けることが大事です。また、胃もたれなど、普段と違う症状があれば、できるだけ早めに内科を受診して、必要な検査を受けていただきたいと思います。

編集部まとめ

胃もたれや胃痛の原因を特定するためには、胃カメラが非常に有用とのことでした。胃の内部を直接観察できるため、炎症や潰瘍、ポリープなどの異常を早期に発見することができます。症状が続く場合や心配な人は、ぜひ胃カメラの受診を検討してください。早めの検査が安心と適切な治療への第一歩です。

医院情報

横浜内科おなかクリニック

横浜内科おなかクリニック
所在地 〒225-0002 横浜市青葉区美しが丘2-14-4 KMビル2階
アクセス 東急田園都市線「たまプラーザ駅」 徒歩2分
診療科目 内科、消化器科

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