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「大腸カメラ」の前処置は何をするかご存じですか? 自宅と病院での違いも医師が解説!

 公開日:2024/08/27

大腸カメラ(大腸内視鏡検査)」は、大腸の内部をカメラで観察でき、必要に応じて病変を切除することもできる優れた検査方法です。しかし、大腸カメラを受けるためには、前処置が欠かせません。今回は、大腸カメラの検査の流れや前処置について、「かわぐち内科・内視鏡クリニック」の川口先生に解説していただきました。

川口 佑輔

監修医師
川口 佑輔(かわぐち内科・内視鏡クリニック)

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北里大学医学部卒業。その後、北里大学病院消化器内科、北里大学メディカルセンター、永寿総合病院などで経験を積む。2022年、東京都台東区に「かわぐち内科・内視鏡クリニック」を開院。医学博士。日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本内科学会認定医。日本消化器病学会、日本胆道学会の各会員。

大腸カメラとは?

大腸カメラとは?

編集部編集部

まず、大腸カメラについて教えてください。

川口 佑輔先生川口先生

大腸カメラは、お尻から内視鏡を挿入し、大腸の中を直接観察する検査で、大腸内視鏡検査とも呼ばれています。

編集部編集部

大腸カメラでは、どのような病気がわかるのでしょうか?

川口 佑輔先生川口先生

最も重要で身近なものとしては、「大腸がん」が挙げられます。大腸カメラは、大腸がんを組織学的に診断することができる非常に重要な検査です。また、「大腸ポリープ」「潰瘍性大腸炎」「クローン病」などの炎症性腸疾患や「大腸憩室症」などもわかります。

編集部編集部

大腸がんを放置するのは怖いですね……。

川口 佑輔先生川口先生

大腸がんは、血便などの症状を生じることもありますが、早期ではほとんどが無症状で、大腸カメラで初めて発見されることが多いのです。大腸がんの発症リスクは40~50歳から上昇するので、症状のある人はもちろんのこと、症状がなくても40歳を過ぎたら一度は大腸カメラを受けましょう。

大腸カメラの検査の流れ

大腸カメラの検査の流れ

編集部編集部

大腸カメラは、どのような流れでおこなわれるのですか?

川口 佑輔先生川口先生

まず、検査の前にやることがあります。糖尿病の薬や血液をサラサラにする薬を内服中の場合は、薬の休薬が必要となることがあるので、検査の予約時などに申し出てください。そして、最も大事な前処置として「大腸の中を空っぽにする」というのがあります。

編集部編集部

検査前日の注意点はありますか?

川口 佑輔先生川口先生

検査前日の夕食は、20時までに摂取していただきます。食事内容も低残渣な食事になるよう、食材などについてアドバイスがあると思います。また、多くの場合は就寝前に下剤の内服をしていただきます。

編集部編集部

検査当日の流れについても教えてください。

川口 佑輔先生川口先生

当日の朝食は食べず、腸管洗浄液を飲んでいただきます。腸管洗浄剤の種類によって飲み方が異なりますが、いずれも2~3リットルの水分を内服する必要があります。多くの人は3~4時間ほどで便が綺麗になります。決まった予約時間に検査が始まるか、「便が綺麗になり次第、検査をはじめましょう」という方法か、医療機関によって異なります。

編集部編集部

そこから検査に入るのですね。

川口 佑輔先生川口先生

そうですね。ここからは検査を受ける人のニーズや医療機関によって異なりますが、必要に応じて鎮痛薬や鎮静薬などを使用しながら検査をしていきます。

大腸カメラの前処置、自宅と病院で違う?

大腸カメラの前処置、自宅と病院で違う?

編集部編集部

大腸カメラを受けた人からは「検査よりも前処置が大変だった」という話を聞きます。

川口 佑輔先生川口先生

たしかにそうかもしれませんね。下剤をたくさん飲むのは、普段の生活ではあまり経験しないことですし、検査自体は鎮痛・鎮静剤を用いることも多くあるので、前処置の方がインパクトはあるのだと思います。

編集部編集部

前処置を自宅でおこなう場合と病院でおこなう場合では、どのような違いがありますか?

川口 佑輔先生川口先生

前処置を自宅でおこなう場合は、腸管洗浄剤を自分で作って自分で飲んでいただきます。メリットとしては、例えば家事やリモートワークなどの軽作業をおこないながらできる点です。さらに、普段過ごしている自宅で前処置をおこなえるため、病院よりもリラックスして腸管洗浄剤を飲み進められるという点もあります。一方、デメリットとしては、腸管洗浄剤の飲み方が覚えられない高齢者には不向きな点が挙げられます。また、自宅が医療機関から遠方である場合、腸管洗浄剤内服後、医療機関に向かうまでの間に便意を催してしまう可能性があります。

編集部編集部

病院でおこなう場合はいかがですか?

川口 佑輔先生川口先生

朝に病院を受診し、病院内の施設で前処置をおこないます。やり方が分からなくなってもスタッフが教えてくれる点や、便が綺麗になった後も医療機関までの移動がないため、途中で便意を催す心配がない点もメリットと言えるでしょう。反対に、デメリットとしては、普段と違う環境のため緊張により便意を催しにくかったり、自宅で軽作業をおこないたい場合にそれができなくなったりする点が挙げられます。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

川口 佑輔先生川口先生

大腸カメラの前処置は、下手をすると大腸カメラ自体よりも苦痛を伴うことがありますが、最近では下剤の種類も増えています。一人ひとりに合った方法を選ぶことで、前処置の負担軽減につながる可能性があります。以前に検査した際、前処置でつらい思いをした人でも、次はもう少し改善できる可能性があります。不安を抱えず適切な時期に医療機関へ相談いただけると幸いです。

編集部まとめ

大腸カメラの前処置を、自宅でおこなう場合と病院でおこなう場合の違いなどについて解説していただきました。大腸カメラの前処置は、検査の正確性を高めるために不可欠なステップです。それぞれにメリット・デメリットがあるので、どちらの方法でも事前に医師の指示をよく確認して適切に準備し、スムーズな検査と正確な診断につなげましょう。

医院情報

かわぐち内科・内視鏡クリニック

かわぐち内科・内視鏡クリニック
所在地 〒111-0032 東京都台東区浅草1-35-9
アクセス 東京メトロ「浅草駅」 徒歩1分
診療科目 内科、循環器内科、消化器内科

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