「スポーツドリンクの飲み過ぎ」が危険な理由をご存知ですか? 死に至る可能性も?
「熱中症対策にスポーツドリンクは欠かせない」と聞いたことがある方は多いと思います。しかし、スポーツドリンクの摂り過ぎは健康に悪影響を与える可能性があります。健康に深刻な影響を及ぼす可能性があるので、飲み過ぎには注意が必要です。今回は、1日に必要な糖分摂取量とスポーツドリンクの糖分の量を比較し、スポーツドリンクを飲み過ぎると健康に与える影響について、管理栄養士の高木さんに解説していただきました。
監修管理栄養士:
高木 美奈子(管理栄養士)
目次 -INDEX-
スポーツドリンクや経口補水液には実はたくさんの糖分が含まれている!
編集部
スポーツドリンクにはどのくらいの糖分が含まれているのでしょうか?
高木さん
※「WHOガイドラインで成人および小児に推奨されている糖分の摂取に関する情報」
https://www.who.int/publications/i/item/WHO-NMH-NHD-15.3
編集部
なぜ、糖分を摂り過ぎるとよくないのでしょうか?
高木さん
※「インスリン | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-011.html
編集部
多くの子どもがスポーツドリンクを持っているのを見かけます。むし歯の原因にもなると思うのですが、いかがでしょうか?
高木さん
スポーツドリンクを飲み過ぎると、スポーツドリンクに含まれる糖分がむし歯の原因になります。スポーツドリンクは清涼飲料水なので、炭酸飲料やジュースと同じく、糖分が多く含まれます。スポーツドリンクを飲む頻度が多いと、歯に付着しているむし歯菌が糖分を摂取し、酸を作って歯を溶かします。口の中が酸性に傾くと、歯が溶かされやすくなり、むし歯ができてしまうのです。スポーツドリンクを飲んだあとは、水やお茶で口をゆすぐだけでも、むし歯予防になります。
スポーツドリンクを飲み過ぎると引き起こす「ペットボトル症候群」とは
編集部
スポーツドリンクの飲み過ぎについて調べると「ペットボトル症候群」という言葉が出てきました。ペットボトル症候群について教えてください。
高木さん
ペットボトル症候群とは、糖分を過剰摂取したときに現れる症状です。具体的な症状として、喉の渇きや倦怠感、吐き気、多量の尿が現れるといわれています。ペットボトル症候群は別名「糖尿病性ケトアシドーシス」「清涼飲料水ケトーシス」と呼ばれます。
編集部
ペットボトル症候群は、糖尿病の人に起こるものでしょうか?
高木さん
ペットボトル症候群の症状は、急性の糖尿病で起こるものです。糖尿病でない人でも、スポーツドリンクや炭酸水、ジュースなどの清涼飲料水を大量に飲み続けると「ペットボトル症候群」の可能性が高くなります。清涼飲料水を大量に飲むと、血糖値が急上昇して、血糖値を下げるために喉が渇いてしまいます。そこでさらに清涼飲料水を摂取し、喉の渇きを感じてさらに飲むという悪循環に陥る可能性があるのです。
編集部
高血糖が続くと、なぜ危険なのでしょうか?
高木さん
高血糖状態が続くと、健康リスクが増加し、最悪の場合深刻な状態も考えておかなければなりません。日常的に清涼飲料水を飲み続けると、糖分過剰摂取となり、高血糖の状態が続きます。高血糖の状態が続くと、インスリンの分泌が減少したり働きも悪くなったりします。体内の糖分をエネルギー源として効率的に利用できなくなるため、代わりにタンパク質や脂肪がエネルギー源として利用されてしまうのです。脂肪がエネルギー源として利用されるときに出る物質が「ケトン体」です。ケトン体が増えると、喉の渇きや倦怠感、吐き気、多量の尿といった症状が出始め、ひどくなると意識がもうろうとしたり、昏睡状態になったりと、危険な状態も考えられます。
スポーツドリンクの代わりに、水やノンカフェインのお茶を飲もう
編集部
スポーツドリンクの代わりに、何の飲み物を飲むといいのでしょうか?
高木さん
※「水は1日どれくらい飲めば良いか | 健康長寿ネット」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shokuhin-seibun/water.html
編集部
スポーツドリンクはどういうときに飲むのがいいのでしょうか?
高木さん
スポーツドリンクを日常的な水分補給の代わりに飲むのはひかえましょう。激しいスポーツをしているときや、発熱や嘔吐の症状があって食事が摂れないときに飲むことを推奨します。体調不良で食事が摂れないときは、スポーツドリンクのほか経口補水液もおすすめです。
編集部
スーパーやコンビニで、さまざまなスポーツドリンクが売られています。どのように表示を見て、確認するといいでしょうか?
高木さん
- 無糖・ゼロ・ノン・レス:100mlあたり糖類が0.5g未満
- 低糖・微糖・控えめ・少・ライト・ダイエット・オフ:100mlあたり糖類が2.5g未満</li>
- 甘さひかえめ:法律の定めなし
「無糖」や「ゼロ」と表示されていても、少量の糖分が含まれています。「ゼロ」と表示されているからといって、何度も飲んでもいいわけでないので、注意することが大切です。
編集部まとめ
スポーツドリンクを飲み過ぎると、糖分を摂り過ぎてしまい、健康被害を起こしてしまいます。水分補給をする際は、なるべく水を選択することが大切です。スポーツドリンクを買う際は成分表示にも注意し、糖分の摂取量を守って、水分を補給しましょう。糖尿病や高血圧、腎疾患などがある方は、医師に相談してください。