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丸岡いずみ、まさか私が「うつ病」に。元気な自分を見失ったあの頃(3/3ページ)

 更新日:2024/07/12

丸岡いずみが発症した「うつ病」が、決して他人事ではない理由

丸岡いずみが発症した「うつ病」が、決して他人事ではない理由

吉岡鉱平先生吉岡先生

一般的には、うつ病は5年で半数くらいの人が再発しますが、再発予防には「自分のストレス状況に気づけること」が大切だと考えています。もうひとつ大切なのは睡眠です。睡眠時間が短いと、ストレスがなくてもBDNFが減ると言われています。また、近年の研究では腸内環境との関連も示唆されています。その他、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素を十分に摂取することも必要です。
丸岡さんは、何か気をつけていることはありますか?

※BDNF:脳由来神経栄養因子。最近は「うつ病の原因はBDNFの不足」という説が有力となっている。

丸岡いずみさん丸岡さん

高速道路を爆走するような仕事の仕方はしないようにしています。仕事は今でも大好きですし、メディア以外に新たな分野の仕事も増えて忙しい毎日ですが、法定速度は守ろうと思っています。

吉岡鉱平先生吉岡先生

すごくいい表現ですね。私も患者さんに使わせていただきます(笑)。
うつ病の人が、うつ病であることを周りに知らせることについてはどう考えていますか?

丸岡いずみさん丸岡さん

私の場合は、週刊誌などに色々な憶測記事が出てしまったのでやむを得ず公表という形を取りました。でも「公表すべき」とは思いません。人それぞれ考え方があると思います。

吉岡鉱平先生吉岡先生

まさに同じ考えです。
「うつ病は心の病だから公表しない方が良い」というわけではなく、公表した方が生活しやすい人は公表し、したくない人はしなくて良い、というだけのことです。

丸岡いずみさん丸岡さん

「心が弱い人がなる病気」というわけではないですからね。言い方は良くないですが、時代遅れな認識だと思います。日本でもやっと、これまでの4大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)に「精神疾患」が加わり、5大疾病となりました。色々な条件が重なれば誰にでも起こり得る病気だと、もっと認知されてほしいです。

吉岡鉱平先生吉岡先生

そうですよね。
「うつ病の人にどう接するか」は人によって異なりますが、あえて述べるのであれば、定型うつ病の人にはあまり「大丈夫?」と気にかけたり「頑張ってね」と励ましたりせず、付かず離れずの距離で見守るほうが向いています。一方、非定型うつ病の人には、ある程度のタイミングが来たら「◯◯さんならできるんじゃない? お願いしていいかな」と背中を押すような関わり方をしても良いと思います。

丸岡いずみさん丸岡さん

本当に一人ひとり違いますよね。うつ病は十人十色で、誰かと比べるものではないと感じます。
「この人は2週間薬を飲んで治ったのに、私は何年も飲んでいる」という声を聞いたこともありますが、原因も病態も一人ひとり違うので、そういった物差しで測れる概念ではないともっと伝わるといいな、と思います。

吉岡鉱平先生吉岡先生

我々医師が診断する時も同じです。うつ病は画像や検査数値で判定されるものではなく、色々な病態を総合的にみて判断する必要がありますし「うつ病ですね」とお伝えするタイミングも、その人の様子や価値観を鑑みて、どのタイミングが適切かをかなり考えます。
これがほかの病気と異なるところで、治療が難しいところでもありますね。

丸岡いずみさん丸岡さん

「うつ病は心の風邪」などと言われますが風邪を治すのとは全く違うと思います。

吉岡鉱平先生吉岡先生

そうですよね。うつ病は単一の病態ではないので、例えばAさんとBさんの病態は全く違います。丸岡さんが、うつ病を経験されて気づいたことや学んだことは?

丸岡いずみさん丸岡さん

父が教えてくれた「休むことも生きること」です。休むことって皆さんが思っている以上に大事なことです。私も当初はそうでしたが休めない理由を挙げるときりがないと思います。「休まないと次のステージには行けない」というくらい大切にしてほしいと思います。

吉岡鉱平先生吉岡先生

では、丸岡さんが現在取り組んでいる活動などについてお聞かせください。

丸岡いずみさん丸岡さん

メディアの仕事も続けながら、うつ病についての講演会やラジオ番組で相談にお答えもしています。また、うつ病をきっかけにカウンセラーの資格も取りました。不登校などの子どもたちに自分の知識や経験が役に立てばと思い、今は学校法人の顧問もさせていただいています。

吉岡鉱平先生吉岡先生

これまでの経験を活かして活動されていて、素晴らしいですね。うつ病は、誰にでも起こりうる病気で、体や心のストレスが要因となりますので、少しでも無理をしないようにやりくりしていくことが大事です。そうやってストレスマネージメントをしていくことが、うつ病予防だけでなく、より良い人生に繋がっていくのかと思います。

丸岡いずみさん丸岡さん

うつ病は決して心の弱い人がなる病気ではなく、条件が重なれば誰でもなる病気だともっと多くの人に知ってほしいです。人生は、休むことも生きることなので、今闘病中の人も焦らずに治療していただけたらと思います。今日はありがとうございました。

編集部まとめ

うつ病は誰にとっても起こり得る脳の病気であり、適切な治療やサポート、そして理解が必要です。今回のインタビューを通じて、休むことの大切さを再認識した人も多いのではないでしょうか。頑張ることが苦ではない人や休むことを躊躇っているすべての人に「休むことも生きること」という丸岡さんの言葉が届くことを願います。

この記事の監修医師