【女性のお悩み】笑ったりくしゃみをしたりすると「尿漏れ」が… 原因・対処法を女医が解説!
「笑ったりくしゃみをしたりすると尿漏れが……」その悩み、もしかしたらあなただけではないかもしれません。今回は、女性に多いと言われている「尿失禁」の改善策や病院での治療などについて、「レディースクリニックなみなみ」の叶谷先生に解説していただきました。
監修医師:
叶谷 愛弓(レディースクリニックなみなみ)
尿失禁とは? 女性に多い理由は?
編集部
尿漏れが気になる女性は多いのですか?
叶谷先生
はい。尿漏れのように、意図せず尿が流出する症状を尿失禁と言い、「女性の約20%が尿失禁の症状を経験する」とされています。特に中高年の女性に多い一方で、若年でも産後にはかなりの数がいます。
編集部
そんなに多いとは知りませんでした。
叶谷先生
尿失禁は、決して珍しい症状ではありません。ただ、外見ではわかりにくい症状であることや、病気の性質上なかなか人に言えず1人で抱えてしまうことが多いので、悩んでいる人が少ないというイメージがあるかもしれません。
編集部
尿失禁にも種類があると聞きました。
叶谷先生
尿失禁には「腹圧性尿失禁」と「切迫性尿失禁」があり、それぞれ原因や治療法も異なります。また、両者が合わさった「混合性尿失禁」も実際にはかなり多く存在すると言われています。
尿失禁の原因は? タイプ別に解説
編集部
それぞれのタイプについて、もう少し詳しく教えてください。
叶谷先生
腹圧性尿失禁は、くしゃみや笑い、重い物を持ち上げるなど腹圧が増加する際に、尿が流出する状態を指します。主な原因としては、加齢や出産、肥満、便秘、繰り返す激しい咳や過重労働、骨盤臓器が下がる(骨盤臓器脱)などが挙げられます。いずれも、骨盤周りの筋肉や靭帯が緩んだり、損傷したりしてしまうので、失禁しやすくなるというわけです。
編集部
切迫性尿失禁とはなんですか?
叶谷先生
切迫性尿失禁は、尿意が急に強くなり我慢できず(尿意切迫感)、トイレに間に合わないまま尿が漏れてしまう状態を指します。過活動膀胱が原因で起こることもあり、昼間頻尿や夜間頻尿を伴うこともあります。原因について、加齢や出産、骨盤臓器が下がる(骨盤臓器脱)などは腹圧性尿失禁と共通しています。ほかにも、生活習慣(アルコールやカフェインの過剰摂取、喫煙)や女性ホルモンの低下、脳血管障害や脊椎疾患などでも起こり得ます。しかし実際は、明らかな原因のわからない切迫性尿失禁が大半です。
編集部
原因がわかっているものは、それらを改善すれば尿失禁も改善されるのでしょうか?
叶谷先生
そうですね。「減量」「禁煙」「飲水制限」「カフェインやアルコール摂取を控える」「便秘の解消」「咳を誘引する疾患の治療」など、原因に対してアプローチすることで、ある程度の改善は期待できると思います。
尿失禁の治療法
編集部
尿失禁には、どのような治療法がありますか?
叶谷先生
基本的には、どちらのタイプの尿失禁も、生活指導と骨盤底筋訓練がメインです。それらに加えて、腹圧性尿失禁の場合はレーザー治療や磁気治療、手術などが検討されます。切迫性尿失禁であれば、薬物療法が選択されます。
編集部
失禁で受診するのは少しためらってしまいます……。
叶谷先生
お気持ちはよくわかります。尿失禁が気になる女性は、「女性泌尿器科」などの女性に特化した泌尿器科を探してみると安心かもしれません。周りの患者さんも当然ながら女性ですし、医師やスタッフも女性であることが多いはずです。また、妊娠中の尿失禁が気になるのであれば、産科と併設されている泌尿器科に相談すると連携が取りやすくなるためおすすめです。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
叶谷先生
尿失禁は「自分だけが悩んでいる」と思いがちですが、じつは多くの人が悩んでいる症状です。特に妊娠・出産に伴う尿失禁は、ほぼ全ての女性が経験すると言っても過言ではありません。尿失禁は早めの治療介入がポイントであり、治療開始が遅れると治療の選択肢が狭まってしまったり、生活指導や骨盤底筋訓練、治療などの効果が出るのに時間がかかったりしてしまいます。女性専門の泌尿器科も増えているので、早めの相談をおすすめします。
編集部まとめ
尿漏れが起こるという問題に悩む女性はとても多く、自分でできる改善策や病院での治療が大切とのことでした。具体的には、減量や禁煙、飲水制限、カフェインやアルコール摂取を控える、便秘の解消など日常生活の改善や、骨盤底筋を強化するための運動が効果的です。それでも気になるようであれば、薬物治療という選択肢もあります。症状に悩んでいる場合、決して1人で抱え込まず、医療機関に相談してみてはいかがでしょうか。
医院情報
所在地 | 〒153-0063 東京都目黒区目黒1-6-17 Daiwa目黒スクエア 1階 |
アクセス | JR「目黒駅」 徒歩4分 |
診療科目 | 産科、婦人科、女性泌尿器科、内科 |