【闘病】「トリプルネガディブ乳がん」 後悔はあの時もっと詳しく検査しなかったこと(2/2ページ)

受け身ではなく、自分から伝えよう

編集部
今までを振り返ってみて、後悔していることなどありますか?
みのりさん
後悔はあります。エコーやマンモグラフィでも確認できないほどの小さな異変を検診の先生が触診で見つけてくれたのに、その後別の先生から「経過観察」と言われ、1年も過ごしてしまいました。あの時、経過観察と言われて終わりではなく、もっと詳しく相談していれば良かったと思います。実は、最終的に診断の決め手となる検査になった時にも、エコーをしながら「乳腺炎だと思うから様子見でいいですね」と言われましたが、自分から「きちんと検査してください」と伝え、造影剤を使ったMRIをして診断へ繋がりました。
編集部
現在の体調や生活はどうですか?
みのりさん
化学療法の後遺症で指先の痺れだったり、ホルモンバランスの崩れがあったり、元の元気だったころのようにとまではいきませんが、仕事も病気前とあまり変わらずに働くことができています。
編集部
医療機関や医療従事者に望むことはありますか?
みのりさん
手術や治療をした病院はがんに特化した病院でしたので、半年ごとの検査以外は気軽に受診できませんでした。私は乳がんになる前から近くの血液内科にかかりつけの先生がいましたので、そちらでも化学療法中のフォローをしてもらいました。その先生は、私の不安にとても親身に寄り添い、いつも温かい言葉をかけてくださったので本当に心強かったです。診察の後はいつも心が軽くなったのを覚えています。私たちは、医療従事者の人達の一言や顔色一つで安心したり不安になったりします。検査の結果を聞く時の診察の待ち時間のあの緊張感は言葉では言い表せません。そんながん患者の不安や苦しみを少しでもイメージしながら接してもらえると、安心して治療へ取り組めると思います。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
みのりさん
検診の重要性はもちろんですが、「確定」できる方法があるのであれば、「経過観察」ではなく先生と相談しながら検査を検討してもらったほうが良いと思います。医療のことはわからないので、どうしても先生任せになってしまいがちですが、受け身ではなく、先生と相談しながら治療を進めていくことで、後悔が少ない治療を受けられるのではないかと思います。
編集部まとめ
最初の精密検査で「良性」と言われていたのには驚かされました。また、ご自身の経験が大切な友人の命を救ったというエピソードも印象的でした。今後の回復をお祈りします。
なお、Medical DOCでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。







監修医師からのコメント:
寺田先生
経過観察後に乳がんの診断がついた方は、「あの時にもっと詳しい検査を受けていれば……」と考える方は多いと思います。そこで、誤解が少なくなるよう、経過観察について少し補足説明をします。現実問題として、見つかった病変をすべて精査できるわけではなく、その背景には不必要な侵襲的な検査が増えてしまうという不利益があります。むしろ、そのようなケースが大多数です。そのために、侵襲の少ない検査でできるだけ良性らしいか悪性らしいかのあたりをつけています。また、病変が小さい場合はその病変の特徴が出にくいこともあります。そこで、「時間経過で大きくなるのか? 変わらないのか?」は非常に大きい情報量を持っています。仮に悪性だったとしても、この期間であれば、大事には至りにくい期間を置いて、戦略的に経過観察を選択して、「変化があるか・ないか」を診ることは非常に大切です。一方で、どの程度まで検査をしたいかは、個人の考えによるところが大きくなります。検査にもメリットとデメリットがありますので、そこを相談して検討するということが大切だと思います。