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【医師に聞く】「“膠原病”は遺伝しますか?」 症状や原因など疑問を解説

 公開日:2024/03/16

「膠原病(こうげんびょう)」という名前は聞いたことがあるけれど、どんな病気かはよく知らないという方は多いのではないでしょうか? そこで今回は膠原病の症状や原因、家族が膠原病のとき遺伝するのかどうかについて、リウマチ専門医の上原 武晃先生(湘南リウマチ膠原病内科院長)にお聞きしました。

上原 武晃

監修医師
上原 武晃(湘南リウマチ膠原病内科)

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2006年 福島県立医科大学医学部卒業後、横浜市立大学附属病院や横浜市立大学附属市民総合医療センター、茅ヶ崎市立病院リウマチ膠原病内科部長などを経て、2019年 神奈川県茅ヶ崎市に湘南リウマチ膠原病内科を開院、院長となる。1000例を超えるリウマチ・膠原病診療の経験を通し、早期発見・早期治療、そしてメディカルスタッフとチームになった専門ケアに注力した総合診療を行う。

膠原病って? どんな症状が出るの?

膠原病って? どんな症状が出るの?

編集部編集部

膠原病とはどんな病気ですか?

上原 武晃先生上原先生

膠原病は免疫の異常で生じる病気です。免疫とは、普通は外のウイルスや細菌に対して体を守るように働くのですが、何らかのきっかけで誤って自分の体を攻撃してしまいます。こうした病気を「自己免疫性疾患」といい、大きなくくりで「膠原病」とよんでいます。膠原病にはたくさんの病名があり、例えば関節リウマチなども膠原病のひとつです。

編集部編集部

どんな症状がでるのでしょうか?

上原 武晃先生上原先生

膠原病は長引く微熱や関節痛、筋肉痛、皮疹、手足のしびれなどが特徴です。発熱や倦怠感、体重減少といった一見軽いように思える症状から、歩行障害、皮膚の硬化、筋力の低下のほか、指先が白くなるレイノー現象など、さまざまな症状が見られます。進行すると肺や心臓、腎臓、消化器官など重要な臓器に合併症をおこし、重症化することがあります。

編集部編集部

どうして膠原病になるのですか?

上原 武晃先生上原先生

自分を守るはずの免疫システムが何らかの原因により異常を起こし、自分の体を攻撃することで発症します。なぜ免疫システムが異常をきたすのかのメカニズムははっきりと解明されていませんが、ストレスや感染症なども要因と言われています。過労や妊娠・出産、ケガなどがきっかけで発症する人もいますし、喫煙、女性ホルモン、腸内細菌などが関連するものもあり、さらにこれらの複数の因子が絡み合って発症につながることも多くあります。

編集部編集部

膠原病は遺伝しますか?

上原 武晃先生上原先生

膠原病といってもさまざまな疾患があり、病名によって多少は変わってくるのですが、いずれも遺伝の確率についての明確な数値は出ておらず、一概には言えません。例えば、一卵性双生児(双子)を対象にしたいくつかの研究では、片側が膠原病の場合はもう片側の子が発症する確率は「20~30%未満」や「10%未満」というさまざまな報告があります。親子などで遺伝する確率は、いずれの研究結果でも数%未満であり、そこまで高くはないでしょう。先ほども言った通り、膠原病は複数の因子が絡み合って発症していることが多いため、遺伝に関してもいくつかの要因の一部に過ぎません。

膠原病の治療法は? 薬の副作用も心配!

膠原病の治療法は? 薬の副作用も心配!

編集部編集部

膠原病の治療について教えてください。

上原 武晃先生上原先生

主な治療法は飲み薬による治療です。膠原病は免疫システムの異常により引き起こされますので、免疫の異常と、起こっている炎症を抑える必要があります。処方される薬として、免疫抑制作用と抗炎作用を併せ持つステロイド薬や、免疫の反応を抑える様々な種類の免疫抑制薬などがあります。

編集部編集部

薬で治るのですか?

上原 武晃先生上原先生

残念ながら、現在の薬で膠原病を完治させる効果までは期待できず、日常生活に影響が出ないように良い状態を保っていくことなどを目標に治療を続けていくことになります。これらの治療薬は長期間にわたり内服していく必要があるため、薬の効果を確認するだけでなく、その副作用についても知っておくことや定期的な確認が必要となってきます。

編集部編集部

副作用は確かに心配です。

上原 武晃先生上原先生

お気持ちはよく分かります。飲み続ける期間が長いということもあり、どうしても薬の副作用に意識が向いてしまう方も多いのですが、膠原病の治療にはこのステロイドや免疫抑制薬の使用が欠かせません。実際に、副作用への不安から、本当に必要な薬を自己判断で中断してしまい、病気が重症化してしまったケースもあります。病気への効果と副作用のバランスを個別に評価していくことが必要となるため、専門医と相談しながら、安全に調整していくことをお勧めしています。

膠原病の種類は? 専門医が解説!

膠原病の種類は? 専門医が解説!

編集部編集部

代表的な膠原病には、どんなものがあるでしょうか?

上原 武晃先生上原先生

先程の関節リウマチのほか、皮膚や関節の炎症などが現れる「全身性エリテマトーデス(SLE)」や、皮膚が硬くなる「強皮症」、筋肉が炎症を起こし、筋力が低下する「皮膚筋炎・多発性筋炎」が、比較的多くみられる膠原病です。また、この3つの特徴のうち2つ以上が現れる「混合性結合組織病」という疾患もあります。

編集部編集部

たくさんの種類があるのですね。

上原 武晃先生上原先生

はい。ほかにも涙や唾液の分泌腺に炎症が起こり、ドライアイやドライマウスといった症状が出る「シェーグレン症候群」や、血管に炎症が起こり、臓器の機能障害を引き起こす「血管炎症候群」、口内炎や皮疹などが現れる「ベーチェット病」なども膠原病です。また、50歳以上の方で、体に近い部分の筋肉(肩甲骨~二の腕、太ももなど)に長引く筋肉痛や関節痛を起こす「リウマチ性多発筋痛症」という膠原病もあります。膠原病の可能性がある場合は、身体所見や血液検査、尿検査で免疫や炎症に関連する項目を確認し、内臓などの臓器障害を起こしていないかなどをレントゲンや超音波などの画像検査をあわせて行い、これらの結果を総合的に判断し、それぞれの病気に関する国際的な診断基準や分類基準にあてはめて診断を行っていきます。

編集部編集部

最後に、MedicalDOC読者へのメッセージをお願いします。

上原 武晃先生上原先生

基本的に、膠原病で起こる発熱、関節痛、頭痛、湿疹などの症状は、膠原病に限らずさまざまな病気で起こりうるもので、症状だけでは膠原病かどうかを判断するのは難しいと思います。早期に診断され・早期治療を開始するためには、気になる症状が会った際、すぐに専門医療機関を受診することが重要です。とくに家族に膠原病の方がいる人は、様子見をしないで、まずは検査してもらってください。

編集部まとめ

膠原病の症状や原因などについて、医師に解説していただきました。膠原病には本当に色々な種類があり、症状もさまざまなのですね。しかしながら、症状だけでは膠原病かどうかを判断するのは難しいとのこと、気になる症状のある方は、まずは専門の医療機関に相談してみることをお勧めします。

医院情報

湘南リウマチ膠原病内科

湘南リウマチ膠原病内科
所在地 〒253-0023 神奈川県茅ヶ崎市美住町5-4
アクセス バス停:美住町、松浪小学校前
診療科目 アレルギー科、リウマチ科、内科

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