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【闘病】ほくろと思ったら「基底細胞がん」その数年後に「関節リウマチ」を発症…2つの病気で得た価値観とは

 更新日:2024/01/25
ほくろと思ったら「基底細胞がん」その数年後に「リウマチ」を発症。2度の告知を受け入れられた理由。

たまたま気になっていたほくろを除去してもらったら「基底細胞がん」であることが発覚。その数年後には「関節リウマチ」を発症したというMegさん。今では日々体調にも気遣いつつ、前向きに日々を過ごされています。前向きに治療へ取り組むことができた裏側には、Megさん自身の病気への向き合い方、周囲の人の協力、そして相性のよい医師との出会いがありました。そこでMegさんに病気が発覚するまでの経緯や治療、その後の生活について聞きました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2023年11月取材。

Megさん

体験者プロフィール
Megさん(仮称)

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夫と2人で暮らす40代の女性。2012年8月、顔にできたほくろが徐々に大きくなっているように感じ、買い物途中に美容整形クリニックで除去してもらった。その後、総合病院にてほくろを検査してもらったところ、基底細胞がんが判明した。また、2016年2月に左手人差し指の痛みと違和感があり、整形外科を受診したところ、関節リウマチとの診断を受けた。現在は紫外線対策や疲労に注意しながら、ヨガ・ピラティスインストラクターとして活動している。

副島 裕太郎

記事監修医師
副島 裕太郎(横浜市立大学医学部血液・免疫・感染症内科)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

森田 知世

記事監修医師
森田 知世(医師)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

たまたま取ってもらったほくろが基底細胞がんと判明

たまたま取ってもらったほくろが基底細胞がんと判明

編集部編集部

Megさんが罹患した「基底細胞がん」は、一般的にはあまり聞かない病名ですが、どのような経緯で発覚しましたか?

MegさんMegさん

基底細胞がんは皮膚がんの一種で、日本人に発生する皮膚がんの中でも最も多いそうです。私の場合は、目と目の間にあるほくろが徐々に大きくなっている気がしたのが最初のきっかけです。たまたま買い物途中に見かけた美容整形外科へ飛び込み、治療してもらってから発覚しました。

編集部編集部

美容整形外科で除去してもらい、すぐに判明したのでしょうか?

MegさんMegさん

いえ、美容整形外科で除去してもらったときはそのまま帰宅しました。ですが、担当した先生が「もしかして」と思い、検査に出してくれたそうです。そして後日、美容整形外科の先生から呼び出されて「基底細胞がん」と告知を受けました。それから大きな病院にも紹介していただき、改めて入院と手術を行いました。

編集部編集部

入院した病院の医師からはどのような説明がありましたか?

MegさんMegさん

先生は「もっと奥まで届いていたら、顔の形が変わっていた。美容整形の先生はよく発見してくれた。がん自体は転移の可能性が極めて低い種類だから、手術で取り除けば大丈夫」とのことでした。抗がん剤治療もなしと説明されました。

編集部編集部

最初に聞いた時はどんなお気持ちでしたか?

MegさんMegさん

まず最初に考えたことは母に迷惑をかけてしまうということ、次に抗がん剤治療のことです。皮膚がんとはいえ「がん」ですので、自分は死ぬのだろうかという不安でした。

編集部編集部

目と目の間にできたとのことですが、外見上の変化はどうでしたか?

MegさんMegさん

確かに見た目にはわかりにくいものの、手術の影響で目と目の間は1mmほど近くなっており、横から見るとわずかにくぼんでいます。ですが、先生がおでこ周辺から丁寧に皮膚移植をしてくれたおかげで、言われなければわからないくらいになっています。どうすれば綺麗にできるか、1週間考えてくださいました。

編集部編集部

では、手術後はどのように過ごしましたか?

MegさんMegさん

入院中から退院後まで、ずっと母が一緒にいてくれたおかげで、怖いものや困ることはありませんでした。ただ、手術後は交通事故に遭ったのかと思うほど顔が腫れあがっていたので、すれ違う人から目を逸らされることはありました。

触れただけで飛び起きるほどの痛みに関節リウマチを疑う

触れただけで飛び起きるほどの痛みに関節リウマチを疑う

編集部編集部

「基底細胞がん」と告知を受けた数年後、関節リウマチも発症されたそうですが、経緯を教えてください。

MegさんMegさん

2016年2月頃、左手の人差し指に痛みを感じて接骨院に通いました。しかし、痛みは日増しに強くなってとうとう寝ている時に触れただけで飛び起きるほどの激痛がありました。さすがにおかしいと思ってネットで調べると関節リウマチの症状が当てはまったため、整形外科を受診して血液検査をしてもらい、判明しました。

編集部編集部

医師からはどのような説明がありましたか?

MegさんMegさん

最初の病院の先生とは合わなかったこともあり、別の病院を受診しました。そこでは先生がとても丁寧で、薬の副作用のこと、仕事のこと、体を動かすことが良いことなど色々と教えてくださいました。私はヨガ・ピラティスのインストラクターをしているのですが、先生から「関節リウマチに効く、良い仕事をしていますね」という言葉をもらい、とても前向きな気持ちになれました。

編集部編集部

では、どのような治療をしましたか?

MegさんMegさん

先生からは、「リウマトレックス」という内服薬を週に1度飲んでほしいと説明されました。ただ、私は当時どうにかして薬を飲まずに治したいと無理をしてしまい、結局ひどくなってしまいました。先生からは「そろそろ限界です」と言われ、リウマトレックス5錠の内服を開始、その数カ月後に自己注射の生物学的製剤を週1回のペースで始めて今も継続しています。

編集部編集部

通院や検査はどのくらいの頻度なのでしょうか?

MegさんMegさん

通院は2・3カ月に一度で、半年に一度の血液検査、1年に一度は副作用の確認と肺のCT検査、変形の兆候を確認するためのレントゲン撮影、必要に応じてエコー検査による炎症の確認をしています。また、関節リウマチの合併症に肺炎があるのですが、なっていても気付きにくいそうです。そのため、定期的な検査で体調を確認するのはとても大事だと感じています。

編集部編集部

先生との相性が良いと聞きました。

MegさんMegさん

はい。検査結果の説明もそうですが、先生は毎回全身に触れながら可動域チェックを行ってくれます。大学病院のような大きな病院ではそれほど時間を取るのは難しいと思いますので、今の個人病院の先生に出会えて本当に良かったと思います。

支えてくれる家族とともに、前向きに生きていきたい

支えてくれる家族とともに、前向きに生きていきたい

編集部編集部

関節リウマチになってから生活でどのような変化があったか教えてください。

MegさんMegさん

趣味だったボルダリングができなくなり、バーベルトレーニングもやりづらくなったので、継続していたトレーニング全般がゆるくなりました。また手首が弱く、よく食器や物を落としてしまっていたので、意識して1つずつ慎重に両手で運ぶようにしています。また、薬から逃げていた時は2カ月間ほど鍼灸や食事療法も試したのですが、お箸が使いづらくなって結局フォークで食べられるうどんなどを選んでいましたね。しかし、フォークですら重いと感じるほどでした。

編集部編集部

現在の体調、注意していることを教えていただけますか?

MegさんMegさん

「基底細胞がん」は皮膚の弱さが原因であるそうなので、普段からUVケアをして膨らんでいるほくろがないか時々観察しています。関節リウマチに関しては、その日の体調によってまちまちです。内服薬と生物学的製剤のおかげで、前は毎日痛かったアキレス腱の辺りが楽になり、人差し指も曲がるようになっています。ですが、長く歩くと関節が痛くなり、物を持つと力が抜けて痛く辛いと感じる時もあります。冬は骨が凍っているのかと思うほど寒く、極端な冷え性と疲労感もあります。

編集部編集部

疲れた時や冷えなど症状が辛い時はどうしていますか?

MegさんMegさん

無理をせずに、しんどいと感じたら、迷わず寝ることです。関節を休ませれば、その分回復も早くなります。自分の体調に合わせて休むようにしていたら、次第に身体の扱いもうまくなりました。

編集部編集部

Megさんの心の支えになっているものは何ですか?

MegさんMegさん

主人に感謝しています。主人とは関節リウマチの告知を受けて4カ月ほど経ってから付き合い始め、関節リウマチのことを告げても「関節リウマチだから何?」といった感じで気にされることもなく、気持ちが楽になりました。私にできないことを全部やってくれますし、痛くて自己注射を自分ではできないので、毎回主人がやってくれています。

編集部編集部

もし過去の自分に声を掛けるとしたら、どのようなメッセージを伝えたいですか?

MegさんMegさん

色々あるけど、ちゃんと薬を飲めば今まで通り生活できるよ」と伝えたいです。

編集部編集部

2つの病気の経験を通して、Megさんから医療従事者に伝えたいこと、望むことはありますか?

MegさんMegさん

多くの医療従事者の方は、患者さんに親身になってくださって素晴らしいと思っています。闘病を続けるには、希望と安心感がないと心が保てないので、ぜひ患者さんとたくさん会話を欲しいと思います。幸いにも、私は自分に合った先生と巡り合うことができ、治療と向き合うことができています。

編集部編集部

最後にMegさんから記事の読者に向けてメッセージをお願いします。

MegさんMegさん

病気は他人事ではなく、いつか自分も病気になる可能性はあります。病気が発覚すると「なぜ自分が?」と思うのが自然かもしれません。ですが、そもそも体が何十年も正常に動き続けるわけないから、仕方ないのかもしれないと思いました。また、病気の告知はとても怖かったですが、自分も病気になり得ると認識していればその分気持ちの整理がつきやすくなって前に進むことができます。少しでもいつもと違うなと感じたらすぐ病院に行き、今ある最善の道を選んでほしいです。そして病気の人に限らず、身近な人や街中で困っている人を見かけたら助けてあげてほしいです。みんなが気軽に助け合える関係になり、それが病気を身近なものと理解できる機会になればいいと思います。

編集部まとめ

基底細胞がんは顔以外にも背中や足にもできる事があり、初期はほくろやシミと区別がつかず発見が遅れる場合もあるので定期的に全身を観察することが早期発見には重要です。関節リウマチは、今では早期発見で症状を抑制することも可能になり、変形が始まる前に症状を抑え込む治療方法も進んでいます。病気を他人事と思わず、多くの方が病気について知って早期発見・治療につながることを期待します。

なお、Medical DOCでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。