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【闘病】トイレで意識を失うことも…「全身性エリテマトーデス(SLE)」発症とステロイド治療の乗り越え方

 更新日:2024/02/29

全身性エリテマトーデス(SLE)は20~40代の女性に多く発症し、初期症状として発熱・関節の痛みがあるので風邪やインフルエンザと間違えられることもあるそうです。今回お話を聞いたちぃさん(仮称)も、最初の異変からインフルエンザと思っていたところ、症状が悪化してからSLEと診断されたそうです。発症から診断までの経緯や治療のためのステロイド治療の乗り越え方、病気の方へのメッセージをお聞きしました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2023年11月取材。

ちぃさん

体験者プロフィール
ちぃさん(仮称)

プロフィールをもっと見る

1983年生まれの静岡県在住。高校を卒業した2002年の3月頃から体調不良が続き、4月に入院、5月に「全身性エリテマトーデス(SLE)」と診断される。

副島 裕太郎

記事監修医師
副島 裕太郎(横浜市立大学医学部血液・免疫・感染症内科)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

原因不明の体調不良が続く…トイレで意識を無くして転倒することも

原因不明の体調不良が続く...トイレで意識を無くして転倒することも

編集部編集部

最初に不調や違和感があった時のことについて教えてください。

ちぃさんちぃさん

高校を卒業して新卒で会社に入るまでの期間に、38℃を超える高熱が続くようになりました。横になることが多くなり、トイレに行きたくて起き上がっても気づけば意識を無くして倒れるということが頻繁に起こるようになりました。

編集部編集部

それは大変でしたね。では、そこから病院を受診しましたか?

ちぃさんちぃさん

はい。初めは近くの開業医を受診し、インフルエンザと言われて薬を処方されました。しばらく経っても変わらなかったので大きい病院に行きましたが、診断は変わらず。自宅療養を続けていましたが、熱で身体が辛すぎて救急に駆け込んだところ、採血検査で「CRP(炎症反応)が高すぎる。これはまずい」と言われ、その場で入院が決まりました。

編集部編集部

どんな病気だったのでしょうか?

ちぃさんちぃさん

全身性エリテマトーデス(SLE)」という、細菌やウイルスから自分の体を守るための免疫が、自分の体を攻撃してしまう自己免疫疾患でした。このSLEは基本的に完治することはなく、厚生労働省により難病指定されています。

編集部編集部

そのときの心境について教えてください。

ちぃさんちぃさん

全く知らない病名が出てきて、医師の説明は正直理解できなくてあまり覚えていません。ステロイドを内服して様子を見る」と言われたことは覚えています。今だったら調べたり、SNSなどで同じ病気の人を探したりしたかもしれませんが、そんな時代でもなかったので、当時は治る病気だとさえ思っていました。

入院中に恋人に振られ、病室で泣く日々

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編集部編集部

実際の治療はどのようにすすめられましたか?

ちぃさんちぃさん

ステロイドの錠剤を60mgからスタートしました。

編集部編集部

受診から手術、現在に至るまで、何か印象的なエピソードなどあれば教えてください。

ちぃさんちぃさん

1番の出来事は、当時付き合っていた彼に入院中振られたことです。闘病中の心の支えだったので、ご飯も食べられないほど落ち込み、大部屋でしたが毎日病室で泣いてました。ですが、同じ病室の患者さんがそばで励ましてくれて、時には屋上などに連れ出してくれました。病棟の看護師さんも親身になってくれて、今でも感謝しています。

編集部編集部

病気の前後で変化したことを教えてください。

ちぃさんちぃさん

元々明るい性格ですが、前にも増して明るくなりました。ですが、それは難病になったことで「かわいそう」とよく言われるようになったのが嫌で、無理して明るくしているのかもしれません。いいことなのかは分からないですが……。「強いね」とよく言われますが、本当は全然強くないので病気になってから強がっているのかもしれません。意外とそういう方は多いんじゃないかなと思います。

「辛いけど諦めないで」と伝えたい

「辛いけど諦めないで」と伝えたい

編集部編集部

今までを振り返ってみて、後悔していることなどありますか?

ちぃさんちぃさん

息子がいるのですが、私に身体的な制限がたくさんあったので、抱っこはあまりしてあげられず、体を動かすような遊びを一緒に出来ませんでした。病気にかかって1番の後悔です。

編集部編集部

現在の体調や生活はどうですか?

ちぃさんちぃさん

SLEの症状をみながら、薬を減らしたり新しい薬を始めたりして過ごしています。薬の影響で免疫が弱くなっているので、感染症になれば重症化してしまい、入退院を繰り返すことはありました。また、薬の影響で骨が脆くなるとのことで、1年半くらい前に骨密度検査をしたら「推定年齢82歳」でした。なので、そちらの治療もしています。

編集部編集部

医療機関や医療従事者に望むことはありますか?

ちぃさんちぃさん

私は主治医や看護師さんに恵まれているなと感じています。大変なお仕事ですので、感謝の気持ちでいっぱいです。

編集部編集部

最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。

ちぃさんちぃさん

SLEで内服するステロイドは「魔法の薬」といわれているくらい、効果の高いお薬だと思います。しかしその反面、長期服用や使う量で副作用が凄く出るのが辛いです。ムーンフェイスや脱毛、中心性肥満や野牛肩、大腿骨頭壊死など、見た目で変化が分かるものが多く、SNSによくDMをいただきます。私も薬や病気の影響で髪が抜け、鏡を見るのも髪を触るのも洗うのも辛い時期がありました。毎日泣きそうでしたが、ちゃんと髪が生えました。だから「辛いけどあきらめないで乗り越えて」と伝えたいです。病気が落ち着いてお薬が減れば、ちゃんと見た目も気持ちも落ち着きます。

編集部まとめ

これから社会人という希望にあふれた時期に、トイレで倒れるほどの体調不良や高熱が続いたのは、本当に大変だったと思います。入院中も、薬の副作用や恋人との別れなど辛いことも多かった中、看護師さんや同室の患者さんへの感謝を忘れない姿勢が印象的でした。体に異変を感じ、治療してもなかなか治らないという場合は、セカンドオピニオンなどで納得いくまで検査することをおすすめします。

なお、Medical DOCでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。

この記事の監修医師