【医師解説】辛いめまいは予防できる!? 解消・対処法と生活習慣の改善ポイントとは?
命を脅かすような病気ではないけれど、頻繁に起こるとQOLの低下につながるめまい。めまいと一口にいっても、実はさまざまな種類や症状があり、それぞれに原因が異なります。一体、めまいは予防することができるのでしょうか。めまいの解消や対処法などについて狭山ヶ丘駅前耳鼻咽喉科アレルギー科の丹羽先生にお聞きしました。
監修医師:
丹羽 克樹(狭山ヶ丘耳鼻咽喉科・アレルギー科)
目次 -INDEX-
視界がふわふわ・ぐるぐる・横になると起きるなど…めまいの種類と症状とは?
編集部
めまいにはいろいろな種類があると聞きました。
丹羽先生
・回転性めまい
目が回る、天井が回るなどのようなめまい。
・浮動性めまい
体がふわふわ浮いているように感じるめまい。
・失神性めまい
目の前が突然、真っ暗になるようなめまい。
編集部
それぞれに原因が異なるのですか?
丹羽先生
はい、回転性めまいは耳の奥にある三半規管などの異常で起こります。三半規管は平衡感覚を司る器官であるため、ここに異常が起きると体のバランスが崩れてしまうのです。
編集部
ほかのめまいはどうでしょうか?
丹羽先生
浮動性めまいの原因は内耳の異常によって起きることもあります。そのほか、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍など脳の疾患が疑われることもあります。一方、失神性めまいの原因としては、貧血、ストレス、自律神経の乱れなどが考えられます。
めまいは症状が起きる前に予防できる?医師が推奨する生活習慣(運動/睡眠/食事)について
編集部
めまいを起こさないようにするには、どうしたら良いのでしょうか?
丹羽先生
めまいの大半は、耳に原因があります。特に患者数が多い良性発作性頭位めまい症やメニエール病は内耳に原因があります。この場合には疾患の治療を行うことでめまいを解消することができます。
編集部
日常生活で気を付けることはありますか?
丹羽先生
睡眠不足やストレスなどが原因で自律神経が乱れると、脳が血流不足に陥り、めまいを起こしやすくなります。また、貧血や脱水症もめまいの原因になるため、適度に水分補給をしながらストレッチや軽い運動などで体を動かすとめまいの改善が期待できます。
編集部
ほかに気をつけることはありますか?
丹羽先生
カフェインを多く含む飲み物を過剰に摂取すると、内耳が興奮してめまいを起こしやすくなります。また、過度の飲酒や喫煙もめまいを悪化させます。それから、イヤフォンやヘッドフォンを長時間使ったり、携帯電話で長話をしたりすることもめまいや耳鳴りの原因になります。
編集部
めまいがどのくらいひどくなったら受診すれば良いのでしょうか?
丹羽先生
たとえばめまいが1時間続く場合は病院を受診しましょう。また頭痛を伴ったり、ろれつが回らなかったり、片側の手足が動きにくかったりする場合は脳の疾患が原因かもしれません。めまいに加えてそうした症状が見られる場合は早めに病院へ来てください。
編集部
めまいが日常的に起きている場合、受診せず、そのまま様子を見てしまうことも多くあります。
丹羽先生
めまいが頻繁に起きたり、長時間続いたりする場合には疾患が隠れているかもしれませんから、やはり一度受診することをおすすめします。もちろん患者さんの不安がどれくらい大きいかにもよりますから、必ずしも「1時間続かなければ受診してはいけない」というわけではありません。心配であれば、ぜひ一度受診してみてください。
編集部
はじめは耳鼻科を受診するのが良いのですか?
丹羽先生
最初は耳鼻科を受診することをおすすめします。ただし、めまいに伴って吐き気が強い場合は中枢の病変のことも多いので、まずは脳神経外科を受診してMRIなどで脳に異常がないか調べ、そのあとに耳鼻科を受診していただくケースもあります。
メニエール病・良性発作性頭位めまい症などめまいの治療法は?(薬物治療/頭位治療/リハビリ…)
編集部
メニエール病はどのようにして治療するのですか?
丹羽先生
メニエール病は内耳がむくむことで生じます。そのため、利尿薬を使ってむくみを改善するとともに、内耳循環改善薬、ビタミンB12、漢方薬などを使った薬物療法を行います。また、中耳加圧療法といって、耳の中の圧力を一時的に増加し、むくみを取る方法もあります。
編集部
なぜ、耳の中がむくむのですか?
丹羽先生
水分の摂取量が不足して、体のなかが脱水の状態になると、「水分を再吸収して体内に水を溜めなさい」というホルモンが心臓から分泌されます。これが耳をむくませる原因になるのです。そのため普段から水をたくさんとって脱水にならないようにし、水の循環を良くしておくことがめまいの予防には必要です。
編集部
良性発作性頭位めまい症はどのようにして治療するのですか?
丹羽先生
耳石置換法(頭位治療)といって、頭や体を動かすことで三半規管に入った耳石を耳石器に戻す治療を行います。
編集部
もう少し詳しく教えてください。
丹羽先生
そもそも良性発作性頭位めまい症の原因は、耳石器の中の耳石がはがれおちて、各半規管内を浮遊してしまうことにあります。一度はがれたものは、元の場所に戻して固定することができないので、ひとまず頭や体を動かして、めまいを起こさせない場所へ耳石を移動させることが必要です。
編集部
耳石がどこにあるかは、どうやってわかるのですか?
丹羽先生
フレンツェル眼鏡という特殊な眼鏡をかけて患者さんの目の動きを観察したり、小型のCCDカメラを使ったりすることでわかります。部位診断は患者さん自身が行えるものではありませんので、医師による診察が必要です。
編集部
治療後、めまいの再発を予防するためにどうしたら良いでしょうか?
丹羽先生
たとえば、頭をあまり動かさずにいると耳石が1カ所にたまりやすくなるため、寝返り運動を行うのがおすすめです。耳石の場所によっては、頭の位置を高くして眠るのも予防に効果的な場合があります。そのほか、エプリー法やブラントダロフ法などの運動療法もありますが、自己判断で行うとかえって悪化することもあるので、必ず医師の指示を仰いでください。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
丹羽先生
めまいは死に直結することは少ないものの、患者さんご自身の不安が非常に強くなる症状です。いつめまいの発作が起きるかわからないという不安から、一人で悩んでいる方も多いと思います。しかしめまいは適切な治療を行うことで改善が期待できますから、ぜひ医師に診てもらい、「心配がいるめまいなのか」「様子を見ても大丈夫なめまいなのか」を判断してもらいましょう。場合によっては抗うつ剤を使った治療を行うなど、めまいの治療法は非常に多彩です。信頼できる医師に、治療の方向づけをしてもらいましょう。現在ではインターネットでさまざまな情報が流布していますが、診断がついていないのに自己判断でいろいろ試すのはリスクがあります。効率よく治療するためにも、めまいに困っている方はぜひ、医師に相談してみてください。
編集部まとめ
いつ、どこでめまいが起きるかわからないことから不安に感じている人もいるでしょう。しかし日常生活の心がけでも頻度を軽減することができるかもしれません。ぜひ、めまいの予防に役立ててみましょう。
医院情報
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診療科目 | 耳鼻咽喉科 アレルギー科 |