動きを鍛える。70 代男性が糖尿病予防のため本気トレーニングに挑む
Medical DOCでは、都内のパーソナルジム「T-Fitness」とコラボ企画を始めました。今回の記事は「糖尿病にならない健康な体をつくりたい」という岡田さん(74歳)の第2弾として、パーソナルジムで実際に行われたトレーニングの内容と食事指導の内容を中心にお伝えします。
体験者プロフィール:
岡田さん
都内在住の74歳。妻と二人暮らし。趣味スキーやゴルフ、ピアノなど。
手指の痛みがあり「リウマチ」と診断されているのと「糖尿病予備軍かも」と言われたことがある。
トレーナー:
笹森 大生(T-Fitnessトレーナー)
T-Fitnessジム事業責任者・トップパーソナルトレーナー・NSCA-CPT(全米ストレングス&コンディショニング協会認定パーソナルトレーナー)・Animal Flow®︎ Lv.1インストラクター
大手フィットネスジムにて実績を積み2023年よりT-Fitnessジム事業責任者へ就任。
管理栄養士:
河原 あい(管理栄養士)
管理栄養士免許取得後、環境共生学の博士号取得。 米国コーネル大学の菜食栄養学(e-learningコース)で栄養学や健康について学びを深めながら、ライティングやweb編集の仕事も行う。現在はweb編集者として、主に栄養系やヘルスケアに関する領域を担当。
トレーニング~運動編~
編集部
この企画に参加しパーソナルジムに通おうと思ったきっかけを教えてください。
岡田さん
「このままだと糖尿病になるよ」と言われたことがあり、運動の必要性を感じていたところに、今回このような機会があったので参加してみようと思いました。
それぞれのトレーニングの目的や効果をトレーナーの笹森さんに解説していただきました。
笹森さん
高齢者や運動習慣のない方は運動前にまずはしっかりとストレッチを行います。最初にストレッチをすることで、怪我の予防はもちろん、トレーニング中に筋肉や関節を活動させやすくしていきます。
笹森さん
こちらも運動習慣のない方には取り入れやすいと思います。全身を動かすことや自重(自分の手や足の重さ)を使ってトレーニングすること、バランスを取ることなど、さまざまな効果があります。また「右手と左足の対角線を交互に動作する」ことは脳トレにもなりますよ。
笹森さん
こちらは体幹とくに大胸筋がしっかり鍛えられる運動です。
笹森さん
背中全体を鍛える運動です。背中を鍛える運動はいくつかありますが、初心者でも取り入れやすいのがこのラットプルダウンです。
笹森さん
下半身全体を使いますが、今回は特に股関節の後ろ側を中心に刺激を入れていきます。
笹森さん
ふくらはぎの運動です。ふくらはぎは「第二の心臓」と言われており、ここの筋肉を使うことで血流を改善させます。
笹森さん
こちらも背中の運動です。④のラットプルダウンよりも肩を動かしやすいのですが、しっかりやると結構きつく、効いていることが分かります。
笹森さん
使った筋肉を伸ばして終わることで、筋肉が硬くなったり翌日の筋肉痛などを防ぎます。筋肉を使いっぱなしで終わってしまうと逆に筋肉が拘縮してしまい、血流が滞ってしまうことも考えられます。
笹森さん
岡田さんの場合はまだ細かくフォームは見ていません。高齢であまり運動習慣がないこともあり「まずは動かす」ことにフォーカスしています。運動しながらフォームにも気をつけながら……となると、どうしても情報量が多くなりますよね。指示が多く、細かくなると疲れてしまうので、まずは運動してもらうことが大事です。運動に慣れ、呼吸も安定して筋肉がついてきたら、少しずつフォームも直していこうと思っています。
編集部
初めてのパーソナルトレーニングはどうでしたか?
岡田さん
最初にストレッチを行ったのが良かったです。トータルであれだけ動いたのに、そこまでだるい感じがありません。まだ分かりませんが、明日に疲れが残らない感じがします。スクワットなども自分でやったことがありますが、その時はもっときつかった記憶があります。今回はトレーナーさんに指導してもらいながら行ったからか、自己流でトレーニングした時よりもたくさんできました。
編集部
今後の目標を教えてください。
岡田さん
感覚ですが2ヵ月くらい続けるとすごく効果がある気がします。目標は今回休憩を挟んで20回だったスクワットを連続50回できるようになりたいですね。あとは、日常生活での疲れが軽くなってほしいのと、年齢とともにバランスを崩して転びやすくなったので、それも減らしたいですね。
編集部
笹森さん、次回以降はどのようにしていきますか?
笹森さん
岡田さんの場合は、筋肉を鍛えることはもちろんですが「動きを鍛える」つまり、一つ一つの動きをしっかりできるようにしていこうと思っています。動きを鍛えることで体幹が安定し、関節の可動域も拡大していくので、その後の運動プログラムもやりやすくなって効果がアップします。動くことで脳も使いますしね。今回の負荷量は中等度くらいでしたが、しばらくはこの負荷量のまま回数を上げていくことを意識し、ある程度までいったら負荷量を上げて大きな筋肉を鍛えていくようにします。安全で効果的に負荷をかけることができるのがマシントレーニングの良いところですね。
トレーニング~食事指導編~
管理栄養士の河原さんに解説してもらいました。
岡田さん
バナナ、ヨーグルト、トマトジュース&黒酢
昼:
コンビニでパスタとチキン(ささみの揚げたもの)
夜:
妻の手料理
【お酒】
ビール1杯
河原さん
血糖値を気にされる場合は、精製された炭水化物より未精製に近いもの(パスタ→全粒粉パスタ、白米→玄米や雑穀米、もち麦、うどん→そば粉の割合が高いそば)がおすすめです。ですが、むずかしい場合は一緒に食物繊維量の高い食材や料理を食べるなど工夫はできます。卯の花やひじきの煮物、サラダ、煮物、具沢山のお味噌汁などを意識して加えてみましょう。
(※T-Fitnessでは、運動指導と同様に食事指導も行っています)
笹森さん
「糖尿病を気にされている」とのことですが、基本的には炭水化物OKです。トレーニングがある日は特に意識して摂ってください。ただ、精製された炭水化物は血糖値が特に上がりやすいため、白米や精白した小麦などは避け、できるだけ玄米や全粒粉などを選ぶようにしましょう。炭水化物を摂る際は食物繊維も一緒に摂ると血糖値が上がりにくくなるので、ちょっと意識してみてください。サラダなどをプラスするのがおすすめですが、ドレッシングにも油が多いものがあるので今後一緒に考えていきましょう。揚げ物もNGですね。特に販売されている揚げ物は、油の質がよくない可能性が高いようです。夕食については、炭水化物ではなく魚やお肉などのタンパク質も積極的に摂るようにしてください。EBHS(※第1弾記事参照) の数値を改善していくためには、まずは精製された炭水化物と質のよくない油を控えていきましょう。
編集部
食事指導を受けてみていかがでしたか?
岡田さん
妻がいない時はどうしようと心配になりました。
編集部
奥様がいない時の食事はどうしているのですか?
岡田さん
料理はあまりしないので、市販の焼きそばにカット野菜を加えて炒めるといった簡単なものを食べています。
編集部
今後の目標を教えてください。
岡田さん
まずは夕飯の炭水化物をお肉に変えることから取り入れていこうと思います。豚肉が好きなので、焼きそばをやめて豚肉を食べます!
パーソナルトレーニングについて
編集部
岡田さんがパーソナルトレーニングを行うことで、どんなメリットがありますか?
笹森さん
筋力トレーニングは、糖質をエネルギーに変えることで血糖値が上がりづらくなるだけでなく、インスリンの感受性を高めるので、血糖値が下がりやすい体になることも期待できます。それぞれのお体によってエクササイズの強度を変えることができるので、パーソナルトレーニングは糖尿病などのリスクがある方にも安心して取り入れられる運動方法です。
編集部
トレーニングを行う上で意識してほしいことを教えてください。
笹森さん
呼吸がとても大事です。力を入れた時、無意識に呼吸を止めてしまう人も多いのですが、しっかり呼吸を続け、特に吐く時に時間をかけるように意識してほしいです。あとは、筋肉の柔軟性も意識しながら行なっていただきたいですね。
編集部
パーソナルトレーニングはどんな人に向いていますか?
笹森さん
モチベーションが維持できない人や、何をどうして良いか全く分からない人には、まずパーソナルトレーニングから取り入れていただきたいです。これまで自分でトレーニングしていたという人も、フォームが不安だとか、今やっているトレーニングの効果が分からないまま続けている人にはおすすめしたいですね。
編集部
では逆に、向いていない人は?
笹森さん
ある程度トレーニングのことが分かった上で、自分で続けられている人には必要ないかもしれません。
編集部
パーソナルジム「T-Fitness」のコンセプトで大切にしていることを教えてください。
笹森さん
パーソナルというと、本格的にやっている人だけが通うイメージがあるかもしれませんが、20~80代の高齢者まで幅広く健康をお届けしたいと思っています。当施設ではダイエットだけではなく「ダイエット+健康」をコンセプトに指導しており、健康寿命を伸ばし、体重や体脂肪率だけでなく、トータルでのボディメイクのサポートを大切にしています。
編集後記
71歳の岡田さんのパーソナルトレーニングや食事指導に密着しました。
筋肉や体重だけでなく、血糖値のことまで考えてトレーニングをサポートしてくれるのは嬉しいですね。食事面でも、まずはクリアできそうな目標に絞って設定されているので、これからの変化が楽しみです。次回の記事もご期待ください!