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「たんぱく質の摂りすぎ」は良くないことを知っていますか? 起こりうる不調や理想の摂取量【管理栄養士が解説】

 更新日:2023/12/08
「たんぱく質の摂りすぎ」は良くないことを知っていますか? 起こりうる不調や理想の摂取量【管理栄養士が解説】

健康のためにダイエットやトレーニングジムへ通うという方は、意識してたんぱく質の摂取を心がけられていると思います。ですが、たんぱく質は過剰に摂りすぎると体に負担をかけ、おなかの調子を乱してしまうということはご存知でしょうか。今回は、たんぱく質の摂りすぎが良くない理由、理想的な1日のたんぱく質摂取量、そして市販のプロテイン商品の活用法について、管理栄養士の藤井さんに詳しく聞きました。

藤井佑里子

監修管理栄養士
藤井佑里子(管理栄養士)

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大手食品メーカーでレシピ開発や料理講師を経験。現在は糖尿病性腎症の栄養相談、高齢者の栄養相談、記事監修、商品開発コンサル、自治体での講師活動等を幅広く行う。

たんぱく質はどのくらいだと摂りすぎ?

たんぱく質はどのくらいだと摂りすぎ?

編集部編集部

たんぱく質とはどんな栄養素ですか?

藤井 佑里子さん藤井さん

たんぱく質は、私たちの体の細胞・ホルモン・酵素など全身の材料となる栄養素です。また、体内のさまざまな反応や免疫系の機能にも関わっています。重要な栄養素なので食事からの摂取が欠かせず、おもに肉・魚・卵・大豆・乳製品から補います。

編集部編集部

たんぱく質の摂取量には適量があると聞きます。一日にどのくらいが適量なのでしょうか?

藤井 佑里子さん藤井さん

一日のたんぱく質の摂取量は、活動レベルや年齢、性別によって違います。一般的には、体重1kgあたり0.8~1.2gのたんぱく質を摂取するのがおすすめです。例えば体重60kgの人であれば、48〜72gのたんぱく質が必要です。目安としては、こぶし一つ分の主食(糖質)と、手のひら一枚分のおかず(たんぱく質)の組み合わせで3食しっかり食べると充足できる量です。

編集部編集部

運動量の多い人やトレーニングをしている人はたんぱく質を更に多く摂る必要がありますか?

藤井 佑里子さん藤井さん

運動量が増えた分のエネルギーは、糖質から摂ることをおすすめします。運動量が増えた、筋肉をはやくつけたいなどの理由でたんぱく質の摂取量を過剰に増やしてしまうと、身体への負担が大きくなってしまうためです。糖質からのエネルギーが十分摂れていれば、筋肉が減るリスクも低くなりますよ。

たんぱく質の摂りすぎ…体への影響は?

たんぱく質の摂りすぎ...体への影響は?

編集部編集部

たんぱく質を摂りすぎると、どのような問題が起きる可能性がありますか?

藤井 佑里子さん藤井さん

たんぱく質は、体の中で消化・吸収されてアミノ酸にまで分解され、肝臓で代謝されます。一方、過剰にたんぱく質を摂るとアンモニアや尿素といった老廃物が作り出されます。私たちの体は老廃物を体の外へ出そうとしますので、アンモニアや尿素を処理している肝臓や腎臓に大きな負担がかかり、消化器系にも影響が出る可能性があるのです。

編集部編集部

ダイエット目的でたんぱく質を摂っている方も多いと思います。たんぱく質の量を減らしても問題ないのでしょうか?

藤井 佑里子さん藤井さん

もちろんダイエット中は筋肉量を保ちながら体重を減らすため、適量のたんぱく質の摂取は必要です。ただ、摂りすぎた分のたんぱく質は、老廃物として処理されるか脂肪として蓄積されるかのどちらかです。また、お肉や魚の調理で必要以上に脂質や塩分摂取量も増えるので、むくみやすくなる、心疾患のリスクが高くなるなども考えられます。

編集部編集部

高たんぱく質の食生活のデメリットはほかにもありますか?

藤井 佑里子さん藤井さん

先ほどお話した以外には、経済的な面でもデメリットがあるでしょう。たんぱく質の多いお肉や魚、商品やサプリメントは、一般的にコストがかかります。

たんぱく質を摂るときの工夫は?

たんぱく質を摂るときの工夫は?

編集部編集部

たんぱく質を効率よく摂取する方法は何ですか?

藤井 佑里子さん藤井さん

たんぱく質は一度で大量に摂るのではなく、一日数回に分けて摂取するのがおすすめです。小分けにして摂ることで消化器官への負担も減り、たんぱく質が効率的に利用されるので筋肉の修復や生成に役立ちます。

編集部編集部

たんぱく質を摂るタイミングについて教えてください。

藤井 佑里子さん藤井さん

朝にたんぱく質を摂ると体の代謝が良くなるので、朝ごはんにたんぱく質の多い食材を取り入れるといいですね。朝、忙しくてたんぱく質豊富なおかずを準備できない時は、高たんぱく質な栄養補助食品やパン、ドリンクなどを活用しても良いでしょう。

編集部編集部

たんぱく質といえばプロテインを活用している人も多いですよね。自分に合ったプロテインの選び方を教えてください。

藤井 佑里子さん藤井さん

プロテインにはホエイ、カゼイン、ソイ、ヘンプなどいろいろな種類があります。これらの違いはアミノ酸の組成によるもので、効果もそれぞれ変わってきます。おなかとの相性やアレルギーなども関わってくるので、継続的に飲む場合は管理栄養士や医師に相談して、自分の体質や目的、予算に合ったものを選びましょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

藤井 佑里子さん藤井さん

たんぱく質は大事な栄養素ですが、摂りすぎると体に負担をかけてしまい、消化・吸収やおなかの調子にまで影響する可能性があります。まずはバランスの良い食事を心がけて、たんぱく質も1日を通してまんべんなく摂るようにしましょう。

編集部まとめ

「ダイエットやボディメイクにはたんぱく質が重要」と聞くと、思わずたくさん摂りたくなるところですが、過剰に摂取することで身体への負担が増えてしまい良くありません。自分の身長・体重にあった適切な量のたんぱく質を摂り、栄養バランスのよい食事を意識して健康的に体づくりをしていきましょう。

この記事の監修管理栄養士