手術や検査のための入院…何を準備する? あると便利な持ち物や生活習慣の見直しも【看護師に聞く】
手術や検査を受けるための入院。病院から入院に必要なものリストはもらえますが、あると便利なものを知っておくと、入院中も快適に過ごすことができます。そして、手術に備えて持ち物だけでなく生活習慣も整えることが重要ということをご存じでしょうか。今回は、急性期病院に勤務する看護師の吉田さんに、入院するときに必ず必要なものやあると便利なもの、手術日までの自宅での過ごし方について解説してもらいました。
監修看護師:
吉田真林(看護師)
入院するときに必ず準備しておくべきものは?
編集部
入院生活で必ず準備しておくべきものは何ですか?
吉田さん
・パジャマ
・下着
・洗面用具(歯ブラシ・歯磨き粉・シャンプー・石鹸・洗面器など)
・タオル・バスタオル
・服用中のお薬・お薬手帳
・お箸・スプーン・フォーク
・コップ
・ティッシュペーパー
・室内用靴(スリッパなど)
・ひげ剃り
病院からもらう「入院案内のパンフレット」にも記載されているので、参考にしてください。最近ではパジャマの貸し出しやアメニティを購入できる病院もありますよ。
編集部
手続きで必要なものはありますか?
吉田さん
入院手続きに必要なものは、診察券と健康保険証、そして事前に渡された書類(入院誓約書、緊急連絡先表、同意書など)です。必要なものは事前に説明してくれるので、確認しながら準備しましょう。
編集部
書類関係は前日準備でも間に合いますか?
吉田さん
限度額適用認定証や生命保険の申請書類(専用の診断書など)が必要な方は、事前に申請をしておく必要があります。どちらも申請は個人の自由です。限度額適用認定証は、申請することで高額な医療費の支払いを軽減することができますよ。
編集部
どんなパジャマを持っていけば良いですか?
吉田さん
前開きのパジャマを準備しておくと良いですよ。手術を受ける方は必ず点滴をしますが、点滴をしている時は前開きのパジャマであると着替えやすいです。また、お腹や背中の手術であれば、診察や傷の処置をスムーズに行えます。
編集部
パジャマや下着は何枚ぐらい準備が必要ですか?
吉田さん
1週間の入院であれば、目安は2〜3枚です。入院中は、あまり毎日着替えません。しかし、処置などで汚れることを考えて、余裕を持って準備しておくとよいでしょう。
編集部
現金は必要ですか?
吉田さん
売店や自動販売機を利用する方は、数百円から数千円持っておくと便利です。部屋に貴重品入れはありますが、手術や検査で病室を離れることがあります。紛失を防ぐために、現金の持ち込みは必要最小限にしておきましょう。
編集部
必要なものはどんなカバンに入れて持っていくのがおすすめですか?
吉田さん
荷物を入れるバッグはどんなものでも構いません。おすすめは、持ち運びしやすいスーツケースやボストンバッグです。紙袋は破れる心配があるので、避けましょう。
編集部
必要なものを忘れたときは、どうしたらいいですか?
吉田さん
基本的に、病院の売店で必要なものは揃えることができます。ただし、売店がない病院もあるので、忘れ物をしたときは看護師に相談しましょう。
編集部
持ち物に名前は書いておくべきですか?
吉田さん
名前はできる限り記入しておきましょう。病院の共有スペースに起き忘れる、などということもあります。名前を記入しておくと、紛失を防ぐことができます。
これがあると便利! 入院の際に準備しておくとよいものは?
編集部
入院生活で、あると便利なものは何ですか?
吉田さん
・イヤホン
・S字フック
・耳栓
・耳かき・綿棒
・ストロー など
たくさん持ち込むと荷物が多くなり、持ち帰るときに大変です。最小限に抑えながら、快適な入院生活を送れるように準備することをおすすめします。
編集部
枕の持ち込みはできますか?
吉田さん
病院の許可を得れば、枕やマットレスの持ち込みが可能です。療養上、感染などの理由により、枕やマットレスの持ち込みができないことがあります。持ち込みを希望する方は、病院に確認してみましょう。
編集部
パソコンは持って行ってもいいですか?
吉田さん
病院によっては禁止されているところもあるので、確認が必要です。パソコンの電波による医療機器への影響や盗難、キーボードの音や液晶の光による同室者への配慮などが理由で禁止されます。持ち込みを希望する方は、必ず病院に確認してください。
編集部
持っていけないものはありますか?
吉田さん
危険なものや同室者に迷惑をかけるようなものは持っていくことはできません。例えば、針やナイフなどの刃物類、お香などの匂いが出るもの、ライターなどの危険物、ガラス製品、アルコール類です。療養生活に支障が出る、周囲への迷惑が著しいなどの場合、強制的に退院してもらうこともあります。
入院前からはじめるべきこと(生活習慣など)はある?
編集部
入院まではいつも通りの生活でいいですか?
吉田さん
・口腔ケア
・筋肉量を維持するための食事
・禁煙
・体力や筋力の維持
・スキンケア
術後の合併症を予防するためにも、これらは大切なポイントです。
編集部
どうして、口腔ケアが必要なのですか?
吉田さん
感染と歯が抜けることを防ぐためです。口腔内に細菌が多いと、手術後に肺炎などの重篤な合併症を引き起こすことがあるからです。また、麻酔時の挿管(呼吸を補助するチューブ)によって、ぐらつく歯が抜ける可能性もあります。手術を受ける方は、事前に専門的な口腔ケアを行いましょう。
編集部
筋肉量を維持するためには、どのような食事を摂ればいいですか?
吉田さん
たんぱく質の多い食べ物(肉類、魚介類、卵類、大豆製品など)を中心に、三大栄養素のバランスの良い食事を摂りましょう。筋肉量を落とさない食事を摂ることが大切です。筋肉量が減ると、術後の入院期間を延ばす原因となります。
編集部
禁煙は何日前から行えばいいですか?
吉田さん
できる限り長い期間、禁煙することが理想です。喫煙している人は、痰が多く出ます。手術中や術後は、痰が原因で気管が塞がれる、肺炎になるなどの危険があります。手術を安全に受けるためにも、少しでも早く禁煙をすることが大切です。
編集部
スキンケアはどうしたらいいですか?
吉田さん
保湿をしっかり行い、清潔に保ちましょう。保湿は使い慣れているクリームや市販のもので構いません。スキンケアによって、皮膚のバリア機能を高めることができます。入院や手術による皮膚のトラブルを未然に防ぐために、スキンケアを生活の中に取り入れてください。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
吉田さん
入院や手術の準備は少なからず負担になると思います。なにより、気持ちの準備も大切です。不安や焦りによるストレスは、術後の回復に影響を及ぼします。気になることや心配なことがあれば、医師や看護師に遠慮なく相談してください。
編集部まとめ
手術を受ける方は、入院生活の準備だけでなく、生活習慣を整えることが大切です。順調な回復をするために、口腔ケアや禁煙、スキンケア、食事の改善を入院前に必ず行っておきましょう。自分だけで行うことが難しい場合は、歯科や禁煙外来、皮膚科など、専門の医療機関で相談することをおすすめします。