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辛くない日常が目標。既存薬プラスを核とした「がん支持療法」とは

 公開日:2023/09/22

がんの治療といえば、きつい副作用や治療の後遺症を想像する人も少なくないのではないでしょうか。様々ながん治療の出現と同時に、治療の副作用を軽減するための「がん支持療法」と呼ばれる方法があるようです。「がん支持療法」とはどの様な人が適応になるのでしょうか。どの様な治療なのかも気になるところです。今回は、おおやまヒューマンクリニック院長の大山和一郎先生に詳しく教えていただきました。

大山 和一郎

監修医師
大山 和一郎(おおやまヒューマンクリニック)

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1984年東京医科大学大学院修了。1985年より国立がんセンター頭頸科医員、1990年栃木県立がんセンター頭頸科医長、1994年国立がんセンター中央病院頭頸部外科医長就任を経て、2007年杏雲堂病院頭頸部外科部長に就任。22年間に渡り国立がんセンターと関連病院で臨床に従事する。その後、耳鼻咽喉科に加え、頭頸部のがんについての悩みに対して気軽に答えることが出来るクリニックを目指し、2007年「おおやまヒューマンクリニック」を開院。医学博士。

身体に負担が少ないので、高齢者にふさわしい

身体に負担が少ないので、高齢者にふさわしい

編集部編集部

はじめにがん支持療法について教えてください。

大山先生大山先生

支持療法は、がん治療を進めていく上で、がんの治療を最後まで遂行するための総合的なアプローチのことです。患者さんの個別の状況やニーズに合わせて治療計画が立てられ、より穏やかで快適な治療と生活を送れるように、生活の質を向上させるための補助療法や心理的なケアを提供するものです。痛みや吐き気、疲労などがん治療の副作用の管理や心理的なサポートなどが含まれます。

編集部編集部

がん支持療法が提供されるのは、どのような方に対しておこなうのですか?

大山先生大山先生

現在がん治療を受ける患者さんが対象となります。特に、治化学療法や放射線療法などの治療によって生じる吐き気や疲労、痛みなどを管理するために支持療法が利用されます。がんの種類やステージ、年齢、治療計画に関わらず、患者さんがより快適な治療を受け、平穏な生活を送るための支援がおこなわれます。そのほか、がん治療を終えた後の患者さんも、身体的・精神的な回復や再発予防のためにがん支持療法が提供される場合もあります。

編集部編集部

がん支持療法を受けるための条件や制限はありますか?

大山先生大山先生

がん支持療法を受けるために特別な条件や制限は基本的にはありません。一般的にがん治療を受ける患者さんであれば、がん支持療法の対象になりうると考えます。一方で、患者さんごとの症状と副作用の程度、その方のニーズや診察する医師の判断にも影響される場合があります。また、患者さんの状態と治療目標に合わせたがん支持療法が選択されます。当院では、基本的に固形がんの患者さんに対して支持療法をおこなっていますので、血液のがんなどは対象とならない場合もあります。

術前・術後、いつからでも対応可能

術前・術後、いつからでも対応可能

編集部編集部

がん治療中にがん支持療法が必要となるのはどのような人なのでしょうか?

大山先生大山先生

がん支持療法は、がん治療中の患者さん全般に役立つものです。特に、がん治療の継続が難しい患者さんが対象となる場合が多いですね。化学療法や放射線療法などのがん治療によって副作用が強く出る患者さん、免疫力が低下している患者さんや、精神的な負担を大きく抱えている患者さん、その他、食欲の低下によって体力も低下している患者さんなどは、がん支持療法が必要なのではないかと考えています。

編集部編集部

がん治療中のがん支持療法にはどのようなアプローチが用いられるのですか?

大山先生大山先生

治療による症状の管理では、吐き気止めや鎮痛薬などが処方され、吐き気や疼痛の軽減を目指します。また、漢方薬や市販の薬剤を併用することで体力や身体の抵抗力の維持、向上を目指します。心理的なサポートが必要な場合には、カウンセリングや心理教育を通じてストレスの軽減がおこなわれる場合もあります。

編集部編集部

がん治療中のがん支持療法が効いた患者さんのお話を教えてください。

大山先生大山先生

中咽頭がんや下咽頭がんの患者さんが、放射線治療と抗がん剤治療により口腔内の痛みを訴える事が多々あります。具体的には、口腔粘膜炎や口腔乾燥が起こることが原因の1つなのですが、この痛みにより、食事や水分の摂取が困難になる場合があります。その際に、市販の漢方薬を組み合わせて処方し、うがいなどをおこなったことで、口腔内の環境が改善した患者さんが多くいらっしゃいました。

がん治療後でも「がん指示療法」は必要なのか 再発リスクを軽減するためにできることとは

がん治療後でも「がん指示療法」は必要なのか 再発リスクを軽減するためにできることとは

編集部編集部

がん治療後にがん支持療法が必要となるのはどのような人なのでしょうか?

大山先生大山先生

がん治療後の支持療法は、主にがん治療による後遺症や合併症を患った患者さんが対象となることが多いですね。例えば、放射線治療による皮膚の瘢痕化(はんこんか)や化学療法による手足の痺れ、痛み、骨粗しょう症などが後遺症として残る場合もあります。咽頭がんの治療後には味覚障害を訴える患者さんもいます。このように、がん治療後も多くの症状に悩まされる方がいますので、がん支持療法が必要となる可能性があります。

編集部編集部

がん治療後のがん支持療法にはどのような方法があるのですか?

大山先生大山先生

体力の維持・回復のためのリハビリテーションや栄養指導をおこなうことがあります。後遺症によりストレスを抱えている場合にはカウンセリングもお勧めします。また、がん治療後も定期的なフォローアップをおこない、再発・転移のリスク低減のため場合によっては薬物療法を取り入れ免疫支持をおこないます。さらに、患者さんごとの後遺症に合わせて、症状に適した漢方薬や市販の薬を併用し、症状とうまく付き合い生活する方法を検討します。

編集部編集部

その他、がん支持療法について知っておくべきことはありますか?

大山先生大山先生

現在の日本のがん罹患率は、男性約65%、女性約50%と非常に高い数字となっていますので、がんを患うことはある程度仕方ないと考えています。また、がん治療には3大治療(外科的治療、放射線治療、化学療法)をはじめ、免疫療法など様々な治療法があります。一方で、がん治療の様々な副作用に悩まされている方は多いのです。そのような方が、がん治療も継続でき、心身共に平穏な生活を送ることを目指すための方法ががん支持療法ですので、副作用を我慢せず、がん支持療法について医師に相談することをお勧めします。

編集部まとめ

がんが治る病気へと変遷を遂げている一方で、副作用に悩まされている患者さんも多くいらっしゃるとのことでした。がん支持療法を標準のがん治療と併せて受けることで、副作用や後遺症の軽減を期待でき、がん治療を受けながらも平穏な生活を送ることができる可能性について教えていただきました。読者の皆様にとって、がん支持療法について知るきっかけとなって頂けましたら幸いです。

医院情報

おおやまヒューマンクリニック

おおやまヒューマンクリニック
所在地 〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西1-32-14 Dear Ebisu5階
アクセス JR山手線「恵比寿駅」西口より徒歩7分
日比谷線「恵比寿駅」4番出口より徒歩4分
東急東横線「代官山駅」より徒歩6分
診療科目 耳鼻咽喉科・頭頸部外科

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