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陥没乳頭(乳首)の治し方を医師が解説 保険適用や切らない治療法もあるって本当?

 公開日:2023/12/23
陥没乳頭(乳首)の治し方を医師が解説 保険適用・手術以外に切らない治療法もあるって本当?

バストの悩みは人に相談しにくく、陥没乳頭は「病気ではないのだから、保険適用では治療できないだろう」と思っている方も多いと思います。そんな、よく理解している人が少ない「陥没乳頭の治療法」について、保険適用の治療や手術以外の治療法などについて、乳腺専門医の田中義人先生(ソワカ乳腺・形成外科クリニック大阪院長)にMedical DOC編集部が話を聞きました。

田中 義人

監修医師
田中 義人(ソワカ乳腺・形成外科クリニック大阪)

プロフィールをもっと見る
2002年、関西医科大学を卒業し、同年関西医科大学 形成外科入局。その後、岡山大学病院形成外科や関西医科大学形成外科などで研鑽を積み、2014年には関西医科大学総合医療センター ブレストセンターの副センター長となる。2022年5月、乳腺外科と形成外科の専門的な治療を行う「ソワカ乳腺・形成外科クリニック大阪」を開院、院長となる。日本乳癌学会乳腺専門医、日本形成外科学会専門医、日本臨床皮膚外科学会専門医、日本がん治療認定医機構認定医。

バストトップが凹んだ陥没乳頭(陥没乳首)とはどんな乳首の状態? 埋没してしまう原因は何? 授乳障害などどんな影響がある?

バストトップが凹んだ陥没乳頭(陥没乳首)とはどんな乳首の状態? 埋没してしまう原因は何? 授乳障害などどんな影響がある?

編集部編集部

「陥没乳頭( 陥没乳首)」について教えてください。

田中 義人先生田中先生

「陥没乳頭」は、文字通り乳頭が内側に凹んでしまう状態のことです。

編集部編集部

どうして凹んでしまうのですか?

田中 義人先生田中先生

凹んでしまう原因はよくわかっていません。乳房の中に組織の引きつれや収縮が起こることによって引き起こされることが多く、乳房とそのまわりの組織のバランスが関係していると言われています。

編集部編集部

どういう症状が考えられますか?

田中 義人先生田中先生

外見的に気にされる方が多いこと以外には、「授乳ができない」「分泌物が溜まり乳腺炎や乳輪下膿瘍になりやすい」などの問題があります。また、凹んでしまう原因として、何か別の病気が隠れている可能性もあります。

編集部編集部

どんな病気が隠れているのですか?

田中 義人先生田中先生

もともと陥没乳頭の傾向がなかったのに次第に陥没してきたという方は、乳がんなどの病気が隠れている可能性があります。乳がんの早期発見につながる可能性もありますので、ある時期を境に陥没乳頭が生じてきた方は、一度医療機関に相談されることをお勧めします。

陥没乳頭(陥没乳首)の治し方を医師が解説 何科の病院でどんな手術になる? 切らない治療方法とは?

陥没乳頭(陥没乳首)の治し方を医師が解説 何科の病院でどんな手術になる? 切らない治療方法とは?

編集部編集部

陥没乳頭は治療できるのですか?

田中 義人先生田中先生

特に症状などがない場合は、必ずしも治療が必要ではありません。 ただし、先ほどの「乳輪下膿瘍」などがある場合は、早期の治療をおすすめします。それぞれの状態や症状に応じて検査や画像診断を行い、陥没の状態を特定し、適切な治療を行っていきます。

編集部編集部

陥没乳頭は何科に行けば良いのですか?

田中 義人先生田中先生

かかりつけの乳腺外科などがあれば、まずはそちらで相談しても良いと思いますが、手術となると、陥没乳頭治療を積極的に行なっている形成外科などが良いと思います。

編集部編集部

どんな治療法がありますか?

田中 義人先生田中先生

陥没の程度などにもよりますが、軽度なものであれば、吸引を加えて引き出すような形で手術をせずに治すことも期待できます。重症例ですと、吸引だけでは治らなかったり、一度はよくなっても、再陥没したりする可能性があります。

編集部編集部

では、手術についても教えてください。

田中 義人先生田中先生

一般的に、程度の軽い方には「難波法」、やや重度な方には「酒井法」が選択されます。「難波法」は手術損傷が比較的少なくて済みますが、重度の陥没乳頭だと結果が出にくい傾向にあり、「酒井法」は、重度の方にも効果が出やすい一方、ある程度の乳管の損傷が生じる可能性があるというメリット・デメリットがあります。また、当院のように、独自の手術法を開発している医療機関もあります。

陥没乳頭(陥没乳首)の治療は保険適用になる? 保険が使える条件について教えて

陥没乳頭(陥没乳首)の治療は保険適用になる? 保険が使える条件について教えて

編集部編集部

陥没乳頭の治療は、保険適用になりますか?

田中 義人先生田中先生

「陥没乳頭の治療には、保険は使えない」と思っている方も多いようですが、実は条件によっては保険が適用されることがあります。

編集部編集部

どんな条件があるのですか?

田中 義人先生田中先生

まずは「授乳困難」である場合です。例えば一人目のお子さんの授乳で苦労された方が、次の妊娠・出産に備えて手術を受けられるケースなどは保険適用になります。また、まだ授乳を経験していない場合でも、医師が「将来的に、授乳困難となり得る」とみなせば保険を適用できる可能性があります。ほかには、先ほどの「乳輪下膿瘍」がある方なども保険適用になる可能性があります。

編集部編集部

保険が適用されると、費用はどのくらいかかりますか?

田中 義人先生田中先生

3割負担の方ですと、片方が2万数千円なので、両側を手術したとしても5万円以下です。このほかにお薬代などがかかります。

編集部編集部

最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。

田中 義人先生田中先生

「陥没乳頭」自体に問題はありませんが、授乳時に困難が伴うと、お母さんもお子さんもストレスを抱えてしまうことになります。妊娠中は手術を受けることはできませんので、心配な方は、妊娠される前に手術の検討をお勧めします。手術を受ける場合は、手術内容を理解して、信頼できるドクターにお願いすることが大事です。整容面だけを重視せず、将来的な授乳のことまで考えて手術をしてくれる医療機関を選びましょう。ぜひ、陥没乳頭の治療を積極的に行っている医療機関を探して、一度相談してみてください。

編集部まとめ

「病気が隠れているケースもある」「授乳が困難になる」「乳輪下膿瘍などになりやすい」などと聞くと、やはり一度医療機関に相談してみると安心かと思いました。最近はホームページなどで、陥没乳頭治療に積極的に取り組んでいる医療機関もわかるので、悩んでいる方は一度、相談してみてはいかがでしょうか。

医院情報

ソワカ乳腺形成外科クリニック大阪

ソワカ乳腺形成外科クリニック大阪
所在地 〒540-0011 大阪府大阪市中央区農人橋1丁目1-22 大江ビル1F
アクセス 大阪メトロ谷町線・中央線「谷町四丁目」駅8番出口すぐ
京阪電車「天満橋」駅より900m
診療科目 乳腺外科、形成外科

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