【医師解説】「二人目不妊」かも… 治療は何をどう始めればいい?
赤ちゃんが産まれた喜びも束の間、幸せながらもバタバタと慌ただしい日々が続き、気付けば産後2年。「あれ? いつまでも妊娠しないのはなんでだろう?」と感じている人も少なくないのでは? そこで、いわゆる「二人目不妊」について産婦人科医の市山卓彦先生(torch clinic院長)にMedical DOC編集部が話を聞きました。
監修医師:
市山 卓彦(torch clinic)
そもそも「二人目不妊」って何? いつからが二人目不妊になるの?
編集部
「二人目不妊」とは何ですか?
市山先生
「二人目不妊」はすでに子どもを出産した女性が、その後二人目以降の妊娠が難しい状態を指す言葉です。とくに、一人目の妊娠・出産が比較的スムーズに成功したにも関わらず、その後の妊娠が難しい場合によく使われます。
編集部
具体的に、いつ頃からが「二人目不妊」なのでしょうか?
市山先生
一人目が生まれ、母乳期間を終了してから避妊をせずに夫婦生活を続けているにも関わらず、妊娠に至らない状態が1年以上続くと、「二人目不妊」だと言えます。
編集部
結構きちんと定義されているのですね。
市山先生
ただし、「二人目不妊」は正式な医学用語ではなく一般用語で、医学的には「続発性不妊」と言います。また、必ずしも二人目である必要はなく、二人産んだあと、三人目がなかなか授からないという場合も同様の状態であると言えます。
「二人目不妊」「続発性不妊」の原因は?治療はできる?
編集部
どうして「二人目不妊」や「続発性不妊」が起こるのですか?
市山先生
二人目不妊・続発性不妊の原因として最も多いのは、加齢です。そのほかには、生殖器の健康状態、ホルモンバランスの変化などが関連していることが多いようです。
編集部
二人目不妊になる人は多いのですか?
市山先生
二人目不妊に悩む方の正確な数や割合は分かりませんが、みなさんが思っているより多いと思います。不妊治療をしている方の中には「第二子で初めて治療をした」というケースも多く、比較的多くの方が「二人目不妊」に悩んでいると言えます。
編集部
「二人目不妊かな?」と思ったら、どうしたら良いのですか?
市山先生
やはり、医療機関に相談するのが一番だと思います。前回の妊娠・出産のときに問題がなくても、数年の間に体の状態が変わっていることも考えられるので、現在の体の状態をチェックし、妊娠できる状態なのかを確かめることが必要です。
編集部
いわゆる「一人目不妊」と「二人目不妊」で、治療は異なるのですか?
市山先生
※タイミング法→人工授精法や、人工授精法→体外受精や胚移植など
「二人目不妊の方が妊娠しにくい」ってホント?
編集部
一人目よりも、二人目不妊の方が妊娠しにくいのでしょうか?
市山先生
女性は年齢を重ねると妊娠率が下がっていきますが、不妊の原因は人それぞれであり単純な比較はできないというのが実状です。二人目を望む方の中には「一人目を授かれたので、二人目も大丈夫だろう」と過信し、受診が遅れてしまうケースが考えられます。決してそんな保証があるわけではありませんので、「あれ?」と思ったら、できるだけ早く、専門医療機関に相談することをお勧めします。
編集部
男性側も検査は必要ですか?
市山先生
一人目、二人目に関わらず、夫婦の不妊の4割が、男性側に原因があるとされています。一人目の時には問題がなくても、その後に問題が生じていることもあるので、ぜひ一緒に来院していただき、検査することをお勧めします。別の観点としては、例えば排卵日に合わせて性交渉をしていただく「タイミング法」が、男性側の負担になっているケースも少なくありません。妊娠の手段は性交渉だけではありませんので、そういった意味でもご相談いただけたらと思います。
編集部
最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。
市山先生
女性は年齢を重ねると、妊娠率が下がっていきます。一人目の時は問題なく授かれたとしても、二人目を考え始めたときはそこから数年経っており、状況が異なるので、二人目を考え始めた時点で専門機関で検査していただくことをお勧めします。受診する際は、普通の産婦人科ではなく、生殖医療の専門医へ相談していただいた方が結果も出やすいと思いますので、ぜひお近くの生殖医療専門医を探してみてください。
編集部まとめ
不妊の原因は人それぞれですが、やはり、一人目と比べて年齢が上がっていることが、一つの大きなポイントとなっているようです。二人目を考えている方は、「不妊」の定義でもある「1年以上」という期間を待たずに、一度専門医に相談してみると良いかもしれません。
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