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不妊検査の「卵管造影」は激痛と聞くけど、実際どうなの?【医師解説】

 公開日:2023/11/01
不妊検査の「卵管造影」は激痛と聞くけど、実際どうなの?【医師解説】

不妊治療の疑問や不安は誰にでも聞けるものではないかもしれません。かといって、不安を抱えたまま治療したくはないのが心情だと思います。子宮卵管造影検査もまた、痛みなどのイメージが先行し、不安で躊躇する人がいるようです。そこで卵管造影検査に伴う痛みや検査内容について、産婦人科医の市山卓彦先生(torch clinic院長)にMedical DOC編集部が話を聞きました。

市山 卓彦

監修医師
市山 卓彦(torch clinic)

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2010年、順天堂大学医学部卒業後、不妊治療施設「セントマザー産婦人科医院」にて生殖医療に関わる臨床及び研究に従事。 特に着床不全の研究が評価され、海外の生殖医学会での表彰や、招待講演なども経験する。2019年4月、順天堂大学医学部附属浦安病院リプロダクションセンター副センター長に就任。培った技術を踏襲し、同センターにおいて良好な臨床成績を獲得するとともに、癌生殖、生殖心理の分野でも研鑽を積む。2022年5月、東京都渋谷区にtorch clinicを開院、院長に就任する。

不妊検査の「卵管造影」ってどんな検査?

不妊検査の「卵管造影」ってどんな検査?

編集部編集部

「卵管造影」とは何ですか?

市山 卓彦先生市山先生

正式には「子宮卵管造影検査」と言われる検査で、女性の生殖器官である子宮と卵管の状態を確認するための検査です。卵管の通過性や形状を評価することで、不妊の原因や異常があるかどうかを確認します。女性不妊症の診断に用いられる検査で、自然妊娠が望めるかを確認する上で必須の検査と言えます。

編集部編集部

もう少し詳しく教えてください。

市山 卓彦先生市山先生

「子宮」は女性の内部生殖器の一つで、胚や胎児が成長する場所です。月経周期ごとに内膜が成長して、受精卵が着床できる状態を整えています。「卵管」は、卵子が卵巣から子宮へと移動する通り道であり、受精する際の精子の通り道です。これらが通り道としてきちんと機能していないと不妊の原因となってしまうため、視覚的にその確認をするのが子宮卵管造影検査です。卵管の「通り道」としての機能のことを「卵管疎通性」と言います。

編集部編集部

検査を受けることで、どんなメリットがあるのですか?

市山 卓彦先生市山先生

卵管が詰まっていたり狭まっていたりしないか、子宮の中にくっついている箇所がないか、そのほかの病変はないかを調べることができます。また、卵管に造影剤を通過させることで妊娠率が上昇することも知られています。

「卵管造影検査は痛い」と言われるのはなぜ?

「卵管造影検査は痛い」と言われるのはなぜ?

編集部編集部

卵管造影検査は、具体的にどのように行われるのですか?

市山 卓彦先生市山先生

患者さんには腟からカテーテルを挿入し、子宮内に造影剤を注入します。その後、レントゲン撮影や透視下で造影剤の流れを観察して、卵管の形状や疎通性を評価します。

編集部編集部

ちょっと痛そうに聞こえます。

市山 卓彦先生市山先生

卵管造影検査は卵管の通過性や形状を直接確認するため、その特定の状態や問題を明らかにすることができますが、造影剤を入れるときなどに、痛みや不快感を訴える方がいらっしゃるのも事実です。特に、卵管が閉塞や狭窄している方などは、強い痛みを伴うことも考えられます。

編集部編集部

痛みを和らげるための工夫などはないのでしょうか?

市山 卓彦先生市山先生

例えば当院では、検査前に鎮痛剤を内服していただいています。これだけでかなり痛みは軽減されますが、そのほかに検査の際にも三つの点に意識しています。一つ目は、カテーテルを挿入する際、子宮や卵管の形状に沿って入れていくこと。人によって、どちらかにゆるくカーブしていることがありますので、事前に確認し、無理のないように入れていきます。二つ目は、造影剤を注入する際、できるだけ不必要な加圧をしないことです。わかりやすく言うと、子宮に入る分以上の造影剤が入らないよう、少しずつゆっくりと注入していきます。

編集部編集部

いろいろな工夫があるのですね。

市山 卓彦先生市山先生

そうですね。三つ目は、当院の場合の話になりますが、検査中、私がほぼずっと患者さんと雑談をしています。これは、患者さんが検査そのものに意識が向かないようにして、リラックスしていただく目的があります。その甲斐もあってか、「え?もう終わったんですか?」「痛みどころか、何も感じなかった」と驚かれる方も多いですね。

卵管造影検査の流れや費用が知りたい 所要時間はどれくらいかかるの?

卵管造影検査の流れや費用が知りたい 所要時間はどれくらいかかるの?

編集部編集部

卵管造影検査は、どんな人でも受けられるのですか?

市山 卓彦先生市山先生

どんな人でも可能というわけではありません。造影剤を使うため、造影剤のアレルギーがある場合は検査を受けられませんし、造影剤の使用によって甲状腺機能の低下を来すことがあるため、予め甲状腺の機能に異常がないことも確認する必要があります。あとは、クラミジアの抗原検査が陽性だった場合や、すでに妊娠している場合も、検査を受けることができません。

編集部編集部

結構受けられない条件はあるのですね。

市山 卓彦先生市山先生

そうですね。特に妊娠している場合、造影剤が赤ちゃんに影響を及ぼしてしまうので、絶対に妊娠していない時期に行う必要があります。月経10日目頃が理想的ですが、検査を行う月経周期の排卵日までに行うことが一般的です。

編集部編集部

検査時間や費用も教えてください。

市山 卓彦先生市山先生

検査にかかる時間は約15分で、費用は保険適用の場合、3割負担の方で1万2000円、自費診療の場合は3万円です。このほかに、初診料や再診料、画像診断料などがかかります。

編集部編集部

最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。

市山 卓彦先生市山先生

「卵管造影は激痛」というイメージをお持ちの方は多いと思いますが、検査者の技術や工夫次第で、痛みをほとんど感じずに検査することができます。自然妊娠ができるかの確認には必須の検査であり、また検査そのものが妊娠率を向上させることも知られています。自然妊娠を望む方は、ぜひお近くの医療機関に相談してみてください。

編集部まとめ

医師の技術力はもちろんのこと、痛みを感じさせないように、医院によってさまざまな工夫もあるようです。自然妊娠を望んでいる方は、お近くの医療機関に相談してみてはいかがでしょうか。

医院情報

torch clinic

torch clinic
所在地 〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿4-3-14 恵比寿SSビル8F
アクセス JR「恵比寿」駅東口より徒歩1分
診療科目 婦人科、産婦人科

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