「卵管閉塞(卵管狭窄)」の症状や原因など解説!妊娠との関係は?
卵管閉塞(卵管狭窄)とはどのような病気かご存じですか?本記事では卵管閉塞(卵管狭窄)について以下の点を中心にご紹介します。
・卵管閉塞(卵管狭窄)の症状や原因
・卵管閉塞(卵管狭窄)の検査と治療
・卵管閉塞(卵管狭窄)の過多の妊娠事情
卵管閉塞について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
監修医師:
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)
卵管閉塞(卵管狭窄)とは
卵管閉塞(卵管狭窄)はどのような病気ですか?
しかし、卵管が閉塞状態になると、この自然な受精の過程が中断される可能性が高まります。特に、受精した卵が子宮に到達するルートが遮断されると、異所性妊娠(子宮外妊娠)のリスクが高まります。異所性妊娠は、受精卵が子宮の外部で成長をします。受精卵が大きく育ち、破裂すると大量出血から命を落とす可能性のある重大な疾患です。
この卵管閉塞という状態は、子供を望む多くの女性にとって、非常に深刻な問題となり得ます。そのため、早期の発見と適切な治療が必要とされています。女性の生殖健康を維持するためには、このような問題に対する理解と対策が不可欠です。
卵管閉塞(卵管狭窄)の症状は何ですか?
以下に、卵管閉塞の主な症状について詳しく解説します。
卵管閉塞の最も一般的な症状として挙げられるのが不妊です。卵管は、卵子と精子が出会い、受精する場所であり、この卵管が閉塞または狭窄してしまうと、受精が難しくなります。このため、長期間妊娠しない場合、卵管閉塞の可能性を検査することが推奨されます。
一部の女性は、卵管閉塞に関連する腹痛や不正出血を経験することがあります。特にクラミジア感染症などの性感染症が原因で卵管閉塞が発生した場合、これらの症状が現れることがあります。
卵管に炎症が生じると、おりものの量や質に変化が見られることがあります。これは、卵管の炎症による可能性があります。
不妊や腹痛、不正出血などは卵管閉塞に限らず、他の婦人科的疾患でも見られることがあるため、症状が現れた場合や不妊の悩みがある場合は、医師の診察を受けることが重要です。
定期的な婦人科検診を受けることで、早期に発見し、適切な治療を受けられる可能性が高まります。健康な生殖器系を維持するためにも、定期的な検診の受診をおすすめします。
卵管閉塞(卵管狭窄)の原因は何ですか?
卵管周囲炎や子宮内膜症は卵管の周りの組織に炎症を引き起こすことがあり、その結果、卵管が閉塞することがあります。
性感染症も卵管閉塞を引き起こす原因として挙げられます。特にクラミジア感染症は、卵管閉塞の主な原因として知られています。この感染症は細菌が卵管に侵入し、炎症を引き起こすことで卵管閉塞を引き起こす可能性があります。
卵管水腫といって、卵管内の液体の蓄積によって引き起こされる状態が卵管閉塞の原因となることがあります。
虫垂炎やその他の炎症性の疾患も、卵管閉塞の原因となることがあります。
上記の原因に加えて、不明な原因による卵管閉塞も多いとされています。特定の原因が見当たらない場合や、複数の要因が組み合わさって卵管閉塞が発生する場合もあります。
卵管閉塞(卵管狭窄)の治療について
卵管閉塞(卵管狭窄)の検査方法はどのようなものですか?
子宮卵管造影検査は、保険適用の範囲内で行われる卵管の通過性を確認するための検査方法の一つです。この検査では、子宮の中に特定の造影剤を導入し、X線を使って卵管の状態や流れを詳しく観察します。造影剤が卵管を通過しない場合、それは卵管に何らかの閉塞や問題が存在することを示しています。この情報は、女性の生殖健康に関する重要な指標となり、検査結果によって適切な治療や対応策が決められます。
一方、自由診療の範疇で行われる検査として、超音波子宮卵管造影検査があります。この手法では、超音波を使用して造影剤の動きを追い、卵管の具体的な状態を把握します。
さらに、性感染症や子宮内膜症の影響で、子宮や卵巣の周りに癒着が発生することが考えられます。これらの癒着は、性交痛や不妊の原因となることがあるため、腹腔鏡を活用して癒着を取り除く手術、腹腔鏡下癒着剥離術が実施されることがあります。
多くの場合、卵管閉塞は明確な症状を示さないため、不妊治療を開始する際に初めてその存在が判明することが一般的です。そのため、上述の検査手法を駆使して、卵管の健康状態をしっかりと評価することが不可欠です。
卵管閉塞(卵管狭窄)の薬物療法について教えてください
薬物療法によって、卵管閉塞を直接改善するわけではありません。クラミジア感染症が卵管閉塞の原因として考えられる場合、抗生剤を使用します。クラミジアは性交渉によって感染するため、感染者のパートナーも同時に治療を受けることが必要です。これにより、再感染のリスクを低減させます。
卵管閉塞の治療は、原因や病状に応じた方法が選択されます。薬物療法は、特定の原因に基づいて行われるため、正確な診断が非常に重要です。クラミジア感染症などの性感染症が原因の場合、早期の治療が不妊のリスクを低減させる鍵となります。
卵管閉塞(卵管狭窄)の卵管通水法について教えてください
以下に、具体的な施術の流れを解説します。
患者さんは通常、仰向けの姿勢で検査台に横たわります。医師が患者さんの腟を清潔にし、子宮頸部を露出させるための器具を挿入します。子宮頸部に特殊なカテーテルを挿入し、そのカテーテルを通して液体(通常は食塩水や造影剤)を卵管にゆっくりと注入します。液体の流れを観察し、卵管の通過性を確認します。造影剤を使用した場合、X線下での観察が行われることもあります。
卵管通水法は侵襲性の低い手術とされていますが、以下のようなリスクが考えられます。
手術中に細菌が侵入することで、卵管炎や腹膜炎を引き起こす可能性があります。また、カテーテルの挿入時に出血が生じることがあります。液体の注入時に一時的な痛みを感じることがあります。
卵管通水法の注意点として、施術前には、感染症のリスクを減少させるための抗生物質の投与が推奨されることがあります。施術後は、痛みや出血、異常なおりものなどの症状が現れた場合は速やかに医師に相談することが重要です。卵管通水法後、一時的に妊娠しやすい期間が訪れることが報告されているため、妊娠を希望する方はこの機会を活用すると良いでしょう。
卵管閉塞(卵管狭窄)の卵管形成手術について教えてください
卵管形成手術では、カテーテルを子宮に挿入し、子宮の中から卵管の入口を探し、カテーテルが卵管に届いたら、内蔵のバルーンを卵管に通し、狭くなっている部分でバルーンを拡張することで卵管の通過性を回復させます。さらに、バルーン内側を通る外径0.6mmの子宮鏡で卵管内のひだ構造を観察でき、卵管の機能評価も同時にできることが特徴です。
卵管閉塞(卵管狭窄)と妊娠
卵管閉塞(卵管狭窄)は不妊の原因になりますか?
卵管閉塞(卵管狭窄)は自然妊娠は可能ですか?
体外受精を検討すべき場合を教えてください
35歳を超える女性には、手術よりも体外受精を優先的に検討することが一般的です。というのも、35歳以降、妊娠の確率は顕著に減少するためです。もし病状は進行しているものの、自然に妊娠したいという希望がある場合、腹腔鏡手術や卵管鏡下卵管形成術といった手術を選択することも考えられます。
結論として、体外受精は卵管閉塞による不妊の治療オプションとして重要です。特に35歳以上や、手術による改善が困難なケースでは、体外受精の方が適している場合が多いと言えます。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
卵管閉塞の原因や症状、治療方法については、専門家としっかりとコミュニケーションを取りながら、治療プランを選択してください。患者さんの身体や健康状態をよく知ることは、治療の成功に繋がります。
編集部まとめ
ここまで卵管閉塞(卵管狭窄)についてお伝えしてきました。卵管閉塞(卵管狭窄)についての要点をまとめると以下の通りです。
・卵管閉塞とは、子宮の左右両側にある卵管が詰まったり、狭くなったりする状態を指し、卵管周囲炎や子宮内膜症や性感染症などが原因であるとされているが、不明な原因によるものもある。
・卵管閉塞の治療法には、薬物治療や手術などがあり、患者さんの背景に合わせて治療法が決まる。
・卵管閉塞は不妊の原因の一つとして知られているため、不妊治療や体外受精が推奨される場合がある。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。