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腰痛は温泉で改善するのか 悪化する可能性もある? 理学療法士が解説

 公開日:2023/07/18
腰痛は温泉で改善するのか 悪化する可能性もある? 理学療法士が解説

「腰が痛い時に温泉に入ったら治るのでは?」と思われたことはありませんか? 温泉に入り血流を改善させることで、腰痛は改善しそうに思えますが、温泉に入ることで「悪化してしまう可能性のある腰痛」もあるといいます。今回は、腰痛は温泉で改善する可能性はあるのか、理学療法士の小原さんに解説していただきました。

小原 綾介

監修理学療法士
小原 綾介(理学療法士)

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九州中央リハビリテーション学院卒業後、回復期リハビリテーション病棟に7年間勤務。2022年からWebライターとしても活動開始し、2023年3月にWebライターとしてフリーランスに。医療領域を中心に活動している。

全ての腰痛に温泉は効果的ではない! 知っておきたい腰痛の種類を解説

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編集部編集部

温泉は腰痛を和らげる効果はあるのでしょうか?

小原 綾介さん小原さん

温泉には腰痛を和らげる効果がある場合もありますが、温泉に入ってはいけない腰痛もあります。そもそも腰痛は「慢性腰痛」「急性腰痛」と2種類あり、「慢性腰痛」のみ温泉で腰痛を和らげる可能性があります。「急性腰痛」は炎症が起きている可能性があるため、温泉に入ることで腰痛を悪化させてしまう原因となるので、注意が必要です。

編集部編集部

慢性腰痛とはどんな腰痛ですか?

小原 綾介さん小原さん

慢性腰痛とは、3ヶ月以上腰痛が続いているものを指します。長い間腰痛が続いているので、温泉に入って体をしっかり温めることで血液が循環し、腰痛の改善に繋がる可能性があります。また、精神的なストレスから腰痛を発症する場合もあるので、温泉に入って心からリラックスすることで腰痛を和らげる効果もあります。

編集部編集部

急性腰痛とはどんな腰痛ですか?

小原 綾介さん小原さん

急性腰痛は「ぎっくり腰」や「急性腰椎椎間板ヘルニア」など、痛みが出てから日が経っていない腰痛を指します。急性腰痛の場合、腰に炎症が起きているので、温めてしまうことで痛みを誘発する物質が出るのを促進してしまい、腰痛が悪化してしまう可能性があります。急性腰痛の場合は、腰を冷やすことで改善する可能性があります。

編集部編集部

急性腰痛では自宅のお風呂にも入らない方がいいのでしょうか?

小原 綾介さん小原さん

自宅のお風呂でも湯船につかれば腰を温めてしまうため、腰痛を悪化させてしまう原因になる場合があります。3日~1週間ほどは、腰が温まらないようにシャワーで済ませることをおすすめします。腰に熱感がある場合などはできるだけ温まらないように対処しましょう。

腰痛を和らげる温泉の入り方・ポイントを紹介 注意点も併せて解説

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編集部編集部

腰痛に効く温泉の入り方はありますか?

小原 綾介さん小原さん

腰痛に効く入り方のポイントは“38~40度ほどのお湯に10~15分ほど長めに入る”ことです。理由は、ゆっくり温泉に入ることで体が芯から温まって硬くなった筋肉がほぐれるからです。慢性腰痛の場合、腰回りの血行不良が起きている可能性があるため、温泉に長めに入ることで血行不良が改善されることがあります。

編集部編集部

腰痛改善をより効果的にするポイントはありますか?

小原 綾介さん小原さん

腰痛改善をより効果的にするポイントは、“上がった後、体が冷えないように保温すること”です。なぜなら、全身にすぐに体を冷やしてしまうと、血流の流れは悪くなってしまうからです。腰痛を改善させるためには体を長く温めることが大切ですので、温泉から上がった後に体が冷えないように、しっかり保温するようにしましょう。

編集部編集部

腰痛を悪化させないような注意点についても教えてください。

小原 綾介さん小原さん

腰痛を悪化させないための注意点は2つあります。1つ目は、“急性腰痛の場合は腰を温めないこと”です。急性腰痛かどうか判断が難しい場合は、近くの整形外科を受診することをおすすめします。2つ目は、“慢性腰痛でも熱すぎるお湯は控えること”です。熱すぎるお湯は刺激が強いため、体の負担になります。また、体の深部まで温まっていない可能性もあるため、38~40度ほどのお湯に長めに浸かることをおすすめします。

編集部編集部

サウナに腰痛を改善する効果はありますか?

小原 綾介さん小原さん

サウナも慢性腰痛に効果があると言われています。理由は温泉と同じで、全身の血行が改善するからです。しかし、過度に長い時間入ったり、サウナ後の水風呂が長かったりすると体に負担がかかるため、腰痛を悪化させてしまう原因となる場合があります。また、急性腰痛の場合はサウナにも入らないようにしましょう。

腰痛にならないための生活習慣を理学療法士に聞く 何に注意して生活すればいいのか

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編集部編集部

急性腰痛にならないために、注意しておくことはありますか?

小原 綾介さん小原さん

急性腰痛にならないためには、前かがみでの作業や重いものを持つのは避けるといいでしょう。なぜなら、急性腰痛を発症してしまう原因は、前屈みの姿勢が続いたり、重いものを持ったりした時がほとんどだからです。腰は前かがみになるだけでも多くの負担がかかっています。例えば、立っている時の腰にかかる負担が100だとすると、前かがみの姿勢になるだけで腰の負担は150になります。また、座っている状態で前かがみになると腰の負担は185にまで大きくなります。さらに重いものを持つと負担が大きくなるため、前かがみでの動きは避けるようにしましょう。重いものを持つ場合は、しゃがみ足の力を使うと腰の負担を減らすことができますよ。

編集部編集部

慢性腰痛の原因と改善する方法はありますか?

小原 綾介さん小原さん

慢性腰痛の原因は座っている時間が長かったり、運動不足だったりによるものが多いですね。また、ストレスなどによる精神的なものから腰痛を発症してしまうケースもあります。しかし、ほとんどの慢性腰痛で腰周りが血行不良になっていることが多いため、ストレッチやウォーキングなどの軽めの運動、温泉やサウナなどで体を温めて血流を改善することで慢性腰痛を改善できる可能性が高くなります。

編集部編集部

腰痛にならないために、普段からやっておいた方が良いことはありますか?

小原 綾介さん小原さん

急性腰痛や慢性腰痛にならないために、“運動習慣”をつけておくといいでしょう。なぜなら、運動をしておくことで血行不良を避けることができるからです。また、普段から筋肉を使っておくことで、急性腰痛となる確率を下げることにもつながります。まずは、無理のない範囲で1日20~30分の運動を週に3回程度から始めるといいでしょう。また、ウォーキングやストレッチでも腰痛予防になるので、ぜひ実践してみてください。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

小原 綾介さん小原さん

腰痛があっても温泉で効果が得られる「慢性腰痛」と悪化してしまう可能性がある「急性腰痛」があります。きちんと見分けてから温泉やお風呂に入ることをおすすめします。どちらかわからない場合は、整形外科を受診し、対処することが望ましいでしょう。また、日頃から運動習慣をつけておくことで、腰痛予防になります。ストレッチやウォーキングなどの軽めの運動から行ってみましょう。

編集部まとめ

腰痛と温泉について解説していただきました。腰痛には急性腰痛と慢性腰痛があり、慢性腰痛のみ温泉に効果がある可能性があるとのことでした。急性腰痛の場合は、腰に炎症が起きている可能性が高く、腰痛を悪化させてしまう原因となる場合もあります。急性腰痛と慢性腰痛をしっかり見極めて温泉を利用することが好ましいですね。また、急性腰痛と慢性腰痛、どちらか判断できない場合は、整形外科へ行って相談してみましょう。

この記事の監修理学療法士