卵が”完全栄養食”と言われる所以を管理栄養士が解説 どのような栄養成分・健康効果があるのか
「卵は栄養がたくさんはいっている」と聞いたことがある方も多いと思います。最近では卵の栄養が身近に摂れる完全栄養食と注目されています。しかし、卵を食べることでどのような健康効果があるのか、具体的に知っている方は少ないのではないでしょうか。そこで今回は、食材としても様々な料理に使いやすく、栄養価も高い卵の魅力や素朴な疑問を管理栄養士の竹内さんに教えてもらいました。
監修管理栄養士:
竹内 寿美恵(管理栄養士)
目次 -INDEX-
卵に含まれる栄養成分と健康効果を解説 白身・黄身ごとの違いを併せて紹介
編集部
卵が完全栄養食と言われるのはなぜでしょうか?
竹内さん
卵が完全栄養と言われるのは、アミノ酸スコアという私たちの体では作り出すことのできないアミノ酸9種類は全てバランスよく含まれているためです。さらに、体にとっての必要な5大栄養素である、炭水化物・脂質・タンパク質・ミネラル・ビタミンも含まれています。
編集部
健康効果はどのようなものがありますか?
竹内さん
タンパク質が豊富な食品のため筋肉量増加や基礎代謝アップにつながります。その結果、痩せやすい体作りのサポートになります。また、ビタミンやミネラルもバランスよく同時に摂取することができるため、コーラーゲンや髪の毛を健康的に保つことができます。
編集部
卵の白身は栄養成分の違いなどあるのでしょうか?
竹内さん
卵の白身には主に良質なタンパク質が豊富です。白身自体は低脂質なのでダイエット中の方に適していますね。海外ではホワイトオムレツといって白身だけでオムレツを作る事もあります。
編集部
では黄身はどうでしょうか?
竹内さん
卵の黄身にはエネルギーの代謝を助けるビタミンB群・ビタミンA・ビタミンD・ミネラルなどが主に含まれています。カロリーは白身より黄身のほうが高く、味も濃くあるのが特徴です。
卵は調理法によって栄養価が変わる? それぞれの特徴を聞く
編集部
卵は加熱と生では栄養成分は変わってしまいますか?
竹内さん
生の卵と加熱した卵の栄養成分の変化はほぼありませんので、加熱でも生でも問題はありません。栄養成分には変わりがないのでどちらを選ばれても問題はありませんが、ゆで卵などは形状も硬いので、かみごたえ・満足感があり間食やダイエットなどに活用できますので、ご自身の目的に合わせて選ぶのがベストです。
編集部
その他、加熱によって栄養以外に変化はありますか?
竹内さん
賞味期限に違いがでてきます。生卵の中にはリゾチームという成分があり、加熱することでリゾチームは力を失ってしまいます。加熱したほうが長もちしそうなイメージがあるのですが、実際は生卵のほうが日持ちします。
編集部
では、調理方法で吸収率の違いはありますか?
竹内さん
はい、卵は調理方法の違いで吸収率には差があります。生卵は熱に弱いビタミンB群をそのまま取り入れることができ、加熱は油と一緒に調理することで脂溶性ビタミンA・D・Eなどを効率よく吸収することができます。
編集部
中間の温泉卵や半熟卵はどうでしょうか?
竹内さん
卵の調理の中では最も吸収率が高いと言われています。消化もスムーズにできるので、風邪などで胃や腸の調子が優れない時にはよい調理方法です。
卵の食べ過ぎに注意しよう! 1日の適量と管理栄養士おすすめのレシピを紹介
編集部
卵が体にいいということはわかりましたが、コレステロールが心配です。卵は1日何個まで食べていいのでしょうか?
竹内さん
卵はコレステロールの多い食品のイメージがありますよね。実際にコレステロールが多い食品だから卵を食べるのを迷っているという方もいらっしゃるでしょう。卵自体は完全栄養食品であり、タンパク源としてとても手軽に食べることのできる食材です。1日1、2個程度であれば食べていただいて問題ありません。手に入りやすくアミノ酸スコアも高い優秀な食材なので、ご自身のペースで上手に取り入れてみましょう。
編集部
ですが、実際毎日卵を食べたらどうなるのですか?
竹内さん
卵を毎日食べたらコレステロールが多くなってしまうのでは? と思われる方も多いでしょう。ですが、私たちの体は肝臓でも毎日コレステロールが合成されています。食事と肝臓から合成されたコレステロールが血液検査の結果となります。卵を毎日食べたからといって、それが原因で急激にコレステロールが上がるということはありません。ですが1日1、2個程度を目安としましょう。極端に大量の摂取をすれば、もちろんコレステロール値が高くなるので、大量摂取には注意が必要です。
編集部
竹内さんのおすすめするレシピや食べ方などあれば教えてください。
竹内さん
おすすめのメニューは小さな子どもでも食べることができる、ゆで卵・茹でブロッコリー・茹でじゃがいもや人参をマヨネーズで軽く和えたサラダです。卵はとてもバランスのよい食材ですが、唯一ビタミンCが不足しています。そのビタミンCを一緒に補う役目をしてくれるのがブロッコリーやじゃがいも、人参です。マヨネーズで和えることで脂溶性ビタミンも吸収率がアップするため、おすすめです。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
竹内さん
お子さんから高齢者まで幅広く料理に活用できる完全栄養の卵は日々の食事のメニューの中に取り入れて効率よく体の栄養源がとれます。調理方法も生、半熟、ゆで卵とあるので食べる時の体調の変化や目的に合わせて使用しましょう。
編集部まとめ
卵の栄養や健康効果について詳しく解説していただきました。完全栄養食である卵の効率の良い調理方法からレシピまで知ることができました。卵は栄養価も高いため1日の適度な量を守りながら健康な体作りに役立つ食材です。お料理はちょっと苦手という方も、加工品やコンビニでも卵の商品は多いので外食などの組み合わせも活用できそうですね。