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「人工甘味料は体に悪い」は本当なのか 砂糖との比較やメリット・デメリットを管理栄養士が解説

 更新日:2023/04/28
「人工甘味料は体に悪い」は本当なのか 砂糖との比較やメリット・デメリットを管理栄養士が解説

人工甘味料」という言葉を聞いた方の中にはどんな甘味料なのか、よくわからないという方も多いと思います。砂糖やオリゴ糖など日常的に使用している甘味料とは違い、人工甘味料は加工品やダイエットを目的とされる方に使用される傾向が強い甘味料です。今回は「管理栄養士」の竹内さんに、人工甘味料について解説していただきました。

竹内 寿美恵

監修管理栄養士
竹内 寿美恵(管理栄養士)

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聖徳栄養短期大学卒業後、保育園勤務をしながら一般受験で管理栄養士試験合格。その後有名スポーツチーム、選手のスポーツ栄養士として活動し国立病院に就職。現在は幅広い指導経験を活かしフリーランスとして栄養指導を中心に活動している。

そもそも「人工甘味料」とは何なのか 砂糖との違いを解説

そもそも「人工甘味料」とは何なのか 砂糖との違いを解説

編集部編集部

そもそも人工甘味料とはどんなものですか?

竹内 寿美恵さん竹内さん

人工甘味料とは、文字通り科学的に合成された甘味料です。主に糖アルコール、合成甘味料と言われるのは人工甘味料にあたります。人工甘味料が使われているのは、清涼飲料水やカロリーオフの商品で、砂糖の代替として使用されていることが多いですね。

編集部編集部

糖アルコールはどんなものですか?

竹内 寿美恵さん竹内さん

糖アルコールではキシリトールが有名です。むし歯予防の商品などに使用されており、パッケージなどでキシリトールの文字をみたことのある方も多いかと思います。合成甘味料ではアスパルテームサッカリンなどですね。主に漬物・乳酸飲料・ダイエット食品などに使用されています。

編集部編集部

人工甘味料と砂糖ってどっちが体にいいのでしょうか?

竹内 寿美恵さん竹内さん

人工甘味料は、ダイエットや体重増加から起こる生活習慣病の予防や改善に役立ちます。自然由来の砂糖と違い「人工的」という名前から体に全て悪いと思っている方も多いですが、使い方や使用頻度などを調整することで、甘いものを食べたいのに体重が気になる方はストレスコントロールにつながります。人工甘味料か砂糖かどちらがいいかは人によって異なりますが、人工甘味料は必要な方にはメリット・デメリットを知った上で食事の中に取り入れる事が大切です。

人工甘味料のメリット・デメリットを紹介 体にはどのような影響があるのか

人工甘味料のメリット・デメリットを紹介 体にはどのような影響があるのか

編集部編集部

人工甘味料はなぜ危険をという声もあるのでしょうか? 発がん性の噂について教えてください。

竹内 寿美恵さん竹内さん

人工甘味料と聞くと「発がん性」があるというイメージの人も多いでしょう。これは1960年代に人工甘味料のサッカリンが、「動物実験の結果、発がん性リスクが高まる」という研究からきています。ですが、その後発サッカリンを作る途中で生成される不純物に発がん性があり、サッカリン自体には発がん性はないということがわかっています。

編集部編集部

ちなみに人工甘味料のデメリットはあるのでしょうか?

竹内 寿美恵さん竹内さん

人工甘味料は食後の血糖値の上昇が起こらないため、脳の満足感が少なくなり食欲増加してしまうと考えられています。また、人工甘味料は砂糖よりも非常に微量で甘さを感じられる甘味料のため、日常的に使用し続けると甘味に対する感覚が鈍ってきてしまう可能性もあります。

編集部編集部

では、逆にメリットはありますか?

竹内 寿美恵さん竹内さん

最も大きい効果はカロリーが低いということですね。砂糖をたくさん使用することなく、微量で砂糖と同じ甘さになるのがメリットです。また、血糖の上昇が起こらないため糖尿病の患者さんなどで血糖値の上昇を抑えたい方などには効果的なものとなっています。

人工甘味料を摂取する際の注意点を解説 1日の摂取目安量はどのくらい?

人工甘味料を摂取する際の注意点を解説 1日の摂取目安量はどのくらい?

編集部編集部

人工甘味料の1日の摂取量の上限はありますか?

竹内 寿美恵さん竹内さん

毎日一生涯にわたって摂取しても健康に悪影響がないと判断される量のADIという1日の摂取許可量というものがあります。内閣府食品安全委員会で設定された内容ではサッカリンですと「3.8mg/kg体重/日」です。また、JECFAではスクラロース・アセスルファムカリウムを「0-15mg/kg体重/日」、アステルパームを「0-40mg/kg体重/日」と設定しています。

※参照:厚生労働省「令和元年度 マーケットバスケット方式による 甘味料の摂取量調査の結果について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000920072.pdf

編集部編集部

では実際に私たちが食べている、1日の人工甘味料の摂取量はどのくらいですか?

竹内 寿美恵さん竹内さん

1日の摂取量を調査した甘味料の調査報告では、サッカリンですと「0.144mg/人/日」、スクラロースですと「0.752mg/人/日」、アセスルファムカリウムですと「1.779mg/人/日」、アスパルテームですと「0.055mg/人/日」と、どの人工甘味料もADIと比較して大きく下回っています。多少個人差はありますが、過剰摂取をするような危険な量を日常的に食べているわけではありません。

編集部編集部

摂取する時の注意点はありますか?

竹内 寿美恵さん竹内さん

低カロリーと思い、たくさん使いすぎてしまうことは注意が必要です。人工甘味料は血糖値が上がらないという特性があるため、人によって使うタイミングなどで、血糖が下がりすぎてしまうことも考えられます。運動中の低血糖はパフォーマンス低下につながるため、激しい運動などを日常的におこなう場合の水分補給などには注意しましょう。人工甘味料が中心の場合は、ご自身の体の状態に合わせて人工甘味料を使い分けると良さそうです。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

竹内 寿美恵さん竹内さん

健康意識が近年ますます高まる中、様々な天然甘味料や人工甘味料を使用した商品が発売されています。魅力ある食品がとても多いですが、人工甘味料・天然甘味料をしっかりご自身の体で必要か、しっかり理解して選ぶ必要があります。健康な体を維持するには天然・人工という括りではなく、自分の体にとって必要な甘味料や食材はどれかという視点も必要です。

編集部まとめ

人工甘味料の体への影響や取り入れる注意点について詳しく解説していただきました。体に悪いイメージだけ決めつけるのではなく人工甘味料のメリット・デメリットをしっかり理解した上で、利用する側がしっかり効果を活用できる使い方をする事が大切ですね。私たちの生活環境にはたくさんの甘味料があるので自分自身に合っているかどうか、というポイントを考えていきたいと思いました。

この記事の監修管理栄養士