「全粒粉」は体に良い? 悪い? 健康効果やダイエットへの影響を管理栄養士に聞く
最近、スーパーやコンビニなどで全粒粉入りのパンやパスタ、お菓子などを見かける方も多くいらっしゃると思います。健康に良いと言われ注目されている全粒粉ですが、実際にどのようなものがご存知でしょうか。そこで今回は全粒粉の栄養素や、メリット・デメリットについて、管理栄養士の鈴木さんにお話を伺いました。
監修管理栄養士:
鈴木 ともみ(管理栄養士)
目次 -INDEX-
そもそも全粒粉とは何なのか 小麦粉との違い・栄養価を解説
編集部
全粒粉とはどんなものでしょうか?
鈴木さん
全粒粉は、小麦を丸ごと粉にしたものです。胚芽や表皮を取り除かず粉状にするので、茶褐色になるのが特徴です。一方、小麦粉は胚芽と表皮を取り除いて製粉したもので、全粒粉に比べると白くなり、栄養素も異なります。
編集部
全粒粉と小麦粉では、栄養価やカロリーはどう違うのですか?
鈴木さん
皮や胚芽部分も粉にするため、小麦粉に比べてビタミンB群や食物繊維、鉄分、ミネラルなどが豊富に含まれています。また、100gあたりのエネルギー量を比較してみると、小麦粉(1等薄力粉)では349Kcal、全粒粉では少しエネルギーが低く317Kcalです。
編集部
ほかにはどのような違いがありますか?
鈴木さん
全粒粉は香ばしい風味が特徴で、噛みごたえがしっかりしています。そのため、スポンジケーキなどソフトな生地には向きません。全粒粉の風味を楽しむクッキーなどがおすすめです。また、全粒粉で作ったパンは小麦粉で作ったパンと比べて、多少パサパサの食感を感じることがあります。
全粒粉のメリット・デメリットまとめ 体に良い・悪いと2つの意見が出るのはなぜ?
編集部
全粒粉のメリットについて教えてください。
鈴木さん
先ほどお話ししたように、全粒粉は小麦を丸ごと粉にしているので、小麦に比べて栄養素が豊富に含まれています。ビタミンB1は糖質の代謝に関与していて、食物繊維は血糖値の急激な上昇を抑えてくれ、便秘解消につながります。また、食物繊維を多く摂取することで動脈硬化の予防になります。
編集部
ほかにはどんな健康効果が期待できますか?
鈴木さん
日々の生活に取り入れていると、2型糖尿病や肥満の改善に役立ちます。全粒粉で作ったパンや、パスタはよく噛んで食べる必要があるため、満腹中枢が刺激され食べ過ぎを防ぐことができます。
編集部
全粒粉のデメリットはあるのでしょうか?
鈴木さん
よく耳にするのが、「フィチン酸」が含まれているからです。フィチン酸は、小麦や米糠、豆類に含まれているのですがミネラルの吸収を阻害してしまい体に悪影響を与えてしまう場合があります。また、酸化しやすく保存しにくいという特徴があります。一般的な小麦粉は未開封ですと1年程度保存できますが、全粒粉は1~2か月程度しか日持ちしないので注意が必要です。
全粒粉の正しい選び方・食事への取り入れ方を学ぶ
編集部
全粒粉にはどんな種類がありますか?
鈴木さん
全粒粉100%のもののほかに、強力粉を加えてあるパン用、薄力粉を加えてあるお菓子用など用途別にさまざまな種類が販売されています。配合によって食感や、風味が違いますので好みに合わせて選ぶと良いでしょう。全粒粉の含有量が多いものを選ぶと、栄養素が多く含まれているのでおすすめです。
編集部
どれくらい摂取するのが良いのでしょうか?
鈴木さん
1日に90g(全粒粉パン3切れ・全粒粉シリアル90g相当)の全粒粉の摂取で、冠動脈疾患や心血管疾患、糖尿病などの死亡率を低下させたという研究結果があります。まずは日々の食事の中で全粒粉を使ったものを取り入れてみましょう。
編集部
どのように取り入れたら良いでしょうか?
鈴木さん
普段使っている小麦粉の代わりに、全粒粉を使ってみるのも良いでしょう。料理をするのはちょっと苦手という方は、コンビニやスーパーを見てみると全粒粉入りの商品が増えてきて手軽に購入できるので試しに食べてみてはいかがでしょうか。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
鈴木さん
食習慣を少し変えるだけで、生活習慣病などさまざまな病気の予防につながります。ご自身の体調や気分に合わせて全粒粉を日々の生活に取り入れてみてください。
編集部まとめ
全粒粉には、小麦の外皮や胚芽が含まれているため食物繊維が豊富に含まれており、ほかにも体内で必要なビタミン・ミネラルが豊富に含まれていることがわかりました。普段の食事に、全粒粉を使用した食品を取り入れることで便秘予防や体質改善に役立ちます。