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膝が痛いときに行く病院・治療方法の選び方とは?

 更新日:2023/03/27
膝が痛いときに行く病院・治療方法の選び方とは?

膝の治療も進化し続けており、保存療法や再生医療、手術といった様々な治療方法があります。自身の膝の状態に適した治療を受けるために、どのような病院を選び、どのような治療方法を選択すると良いのでしょうか。「自分に合った治療」という点に着目しつつ、医療法人社団淳英会Jメディカルおゆみの院長である小林洋平先生にお話を伺いました。

小林 洋平

監修医師
小林 洋平(医療法人社団淳英会Jメディカルおゆみの)

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1980年生まれ、千葉県出身。2005年に順天堂大学卒業、2007年に順天堂大学整形外科学講座入局。一般整形外科・膝関節外科やスポーツ診療(ジェフユナイテッド市原・千葉チームドクター)の傍ら、バイオセラピー(再生医療)の基礎研究と臨床に従事、2016年に大学院修了および博士号を取得。2022年に医療法人社団淳英会Jメディカルおゆみの院長に就任。(順天堂大学整形外科非常勤助教併任)日本整形外科学会専門医、医学博士、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。

膝の診療における課題

膝の診療における課題

編集部編集部

膝の痛みで外来診療に来られる患者さんに、特徴のようなものはありますか?

小林 洋平先生小林先生

日本人の特性かもしれませんが、我慢強いがゆえに痛みがあっても何とか耐えて生活を続けがちです。痛いと感じたタイミング、我々医師が受診するのに適切と考えるタイミングより遅い時期に受診される人が多いように思います。あまり効果を実感できていないにもかかわらず、湿布やサプリメント、痛み止め薬、ヒアルロン酸注射などの保存療法を漫然と続けている人も多いですね。

編集部編集部

脚の形が変形していたり、痛そうにして歩いていたりする人を街で見かけることもあります。

小林 洋平先生小林先生

そうですよね。しかし、治療には様々な段階があり、その人がその時に必要な治療を受けることが最も重要です。極論を言えば、どんなに軟骨が擦り減って、脚の形が変形しているような人でも、湿布を貼ることで普段通り生活ができていて手術を希望しないような人であれば、それで良いと思います。また、ヒアルロン酸注射をして痛みが軽減し、症状が良くなる人もそれで良いと考えています。手術に関しても同じで、必要な人が必要なタイミングで行えば良いと思うので、脚の形が変形しているからといって必ずしも手術というわけではないと思います。

編集部編集部

「サプリメントを飲み続けて膝の痛みが良くなった」などという話も聞いたことがあります。

小林 洋平先生小林先生

サプリメントに関しては、軟骨が再生するという医学的根拠が無いと考えられており、患者さんにも伝えていますが、サプリメントで症状が改善するのであれば否定はしません。しかし、何かの症状で生活に困っているのに我慢してしまったり、困っているのに必要な治療を受けられていなかったりするという人は何とかしたいと思います。そこには医療側の課題もあると感じています。

編集部編集部

医療側にはどのような課題があるのでしょうか?

小林 洋平先生小林先生

例えば、入院や手術をできない病院やクリニックであれば、保存療法(湿布や痛み止め薬、ヒアルロン酸注射など)が基本的な治療方針になる場合が多いと思います。人工膝関節置換術などの手術が必要であっても、その施設で行うことができない手術を勧める確率が減るということがあるかもしれません。反対に、大学病院などの大きな病院では、治療方針として手術を選択することが多いため、保存療法で症状が改善する可能性がある人でも早めに手術が選択される場合があるかもしれません。これは医療制度が影響している部分があると思います。

治療方法の選択

治療方法の選択

編集部編集部

治療方法の選択はどのように行えば良いのですか?

小林 洋平先生小林先生

保存療法を行うことで「症状が改善」する人は保存療法が適していると考えて良いと思います。一方で膝の痛みによって生活が制限されるため手術を希望されるという人は、手術が適しているのだと思います。

編集部編集部

再生医療に関してはいかがですか?

小林 洋平先生小林先生

再生医療は、保存療法と手術の中間に位置する治療方法だと考えています。理想は、医師が保存療法から再生医療、手術まで、必要な人に必要なタイミングで患者さんの希望に応じて提供できることだと思います。

編集部編集部

様々ある治療の中から、患者さん一人ひとりに適した治療を選択する必要があるのですね。

小林 洋平先生小林先生

その通りです。まさに個別化医療が重要であると思います。まずは患者さんの訴えや症状を聞き、その後、数値化して目に見える形で症状・体の構造・機能を詳細に評価して診断、病態を把握します。これを治療の前後で行うことで、改善の程度が目に見える形で患者さんにも伝わります。例えば、当院はクリニックでは珍しい動作解析装置を使用して体の機能の「見える化」を目指して治療前後の評価を行っています。

編集部編集部

先生のクリニックにはどのような人が再生医療を求めて来院されるのですか?

小林 洋平先生小林先生

もともと膝が痛くてクリニックにかかっていた人もいますし、法人内の病院や連携している病院からの紹介や、実際に再生医療を受けた人からの紹介で来院される人が多いと思います。まだ、再生医療に関する情報があまり世の中に出ていないように感じますし、膝の痛みを感じて通院する年代の人は、SNSやネットニュースなどはあまり見ない世代だと思いますので、最新の情報を広めるということには課題を感じます。

病院選びの方法

病院選びの方法

編集部編集部

病院を選ぶ際にどこに行けば良いか困ることがあります。

小林 洋平先生小林先生

保存療法を行うクリニックと手術ができる病院との連携の仕組みが構築されていることが重要です。状況や希望する治療方法に応じて適切な病院を紹介してくれるクリニックを選ぶのがよいと思います。

編集部編集部

何か病院選びのアドバイスなどはありますでしょうか?

小林 洋平先生小林先生

手術が目的であれば、行っている手術の内容や手術件数は一つの目安になるかもしれません。クリニックは様々ですので選ぶ基準は難しいと思いますが、ホームページを見て病院の雰囲気や医師の人柄、治療の考え方などが見える部分があると思いますので、通院する前に確認すると良いかもしれません。

編集部編集部

ほかには何かポイントはありますか?

小林 洋平先生小林先生

個別化医療の時代において治療方針が病院の特性や診察する医師の知見や経験に委ねられている部分もあると思いますので、一概にどこのクリニックが良いと言うことは難しいですが、治療の選択肢が多い病院であるかということも一つの重要なポイントだと思います。

編集部編集部

患者さん側も治療に関する情報を知る必要がありますね。若い世代の人が、自分の両親に情報を提供することも大事なのかと感じました。

小林 洋平先生小林先生

そうですね。病院や治療法を選択する上で、ある程度の情報を知っておくことは大事かもしれません。しかし、何より重要なことは、生活に支障が出ている症状を我慢し続けず、病院にかかって、その時、その人に適した評価・治療をしてもらうことだと思います。

編集部まとめ

保存療法、手術だけではなく再生医療が登場し、治療法の選択の幅が広がっているのだと学びになりました。治療方法が増えたからこそ「自分に合った治療」を選ぶ難しさがあるのだと認識しました。そのためにはどのような治療があるのか、それぞれのメリットやデメリットについて相談して選択できるクリニックを選ぶことが重要だと感じました。

この記事の監修医師