【闘病】「フォーカルジストニア」を乗り越え、ピアノ演奏を再開した脳神経内科医のリハビリ体験記(2/2ページ)

再び演奏を楽しめる未来が訪れる可能性があることを伝えたい

編集部
同じ病気を抱えている人に伝えたいことはありますか?
青嶋さん
フォーカルジストニアについて調べると、確立した治療法はなく、難治であるという記事を目にします。私も発症からの10年間、一生ピアノは弾けないかもしれないという恐怖を感じていました。一時はピアノの音を聴くだけでも涙が出てくる状態でしたが、ジストニア克服経験のある先生方をはじめ多くの方々から頂いたヒントを基に、リハビリ方法の探求を重ね、長いトンネルを抜けて、ピアノの楽しさを10年越しに再び味わうことができています。どうか希望を捨てずにいてほしいです。今、改善のきっかけに出会えていなくても、今後の人生のどこかで遭遇することは十分に起こりうると思います。
編集部
医療従事者に望むことはありますか?
青嶋さん
音楽家のジストニアの研究開発には、医療従事者と音楽の専門家、ひいては医療機関と音楽の専門機関との連携が重要です。既に取り組まれている所もありますが、普及しているとは言い難く、今後の課題です。厄介なことに、医療や音楽の専門家であっても、ジストニアの症状の感覚やリハビリの工夫などは発症した当事者でないとわからない部分があります。医療従事者、各種セラピスト、研究者、演奏家、指導者などの多職種の連携に、ジストニア経験者を含めて、それぞれの知識やスキルを提供しあい、協力して治療や研究が行えるような場を作っていきたいと思います。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
青嶋さん
ジストニアを発症しても、症状を改善・克服できる可能性、再び楽しく演奏できる未来が訪れる可能性があるということを改めてお伝えしたいです。一人でも多くの患者さんにそれを経験していただけるよう、私の経験を活かし、今後もジストニアの診療と研究に尽力いたします。この記事が、当事者の方の症状改善のきっかけになりましたら幸甚です。皆さんの症状が良くなることを心よりお祈りします。
編集部まとめ
生涯の趣味になるはずだったピアノが弾けなくなり、絶望の淵に立たされた青嶋さんですが、自らアクションを起こし、様々な人たちと関わり情報収集をしていく中で、もう一度ピアノが弾けるまでになりました。同じ病気を抱える演奏家の方にとっては心強いお話だったのではないでしょうか。青嶋さんのお話を通じて、もちろん個人差はあると思いますが、希望を捨てず、正しい情報を得てリハビリに臨むことの大切さを実感しました。
なお、Medical DOCでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。





