【闘病】「まさか自分が!?」 健康自慢を襲った心臓病
児玉尊文さんは、2020年12月に特発性拡張型心筋症(指定難病)を発症されました。実はその半年ほど前から身体の異変には気づいていたものの、健康には自信があったため、「まさか自身が心臓病になるとは思っていなかった」と言います。そんな児玉さんに、病気の発症から現在に至るまでの話を聞きました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2022年6月取材。
体験者プロフィール:
児玉 尊文
京都在住。1972年生まれ。2020年12月に特発性拡張型心筋症を発症し、10年前からパートナーと同居。息子は離れて暮らしている。仕事は某国際空港でシステム監視および設備メンテナンス業務を行っている。
記事監修医師:
前田 敦雄(昭和大学藤が丘病院救命救急科)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
半年以上前から感じていた違和感
編集部
特発性拡張型心筋症とはどのような病気ですか?
児玉さん
心臓は全身に血液を送るポンプの役割をしていますが、心臓を収縮させる筋肉の低下により心臓が拡大してしまう病気です。重篤なうっ血性心不全や治療抵抗性の不整脈を起こす予後不良の疾患と言われています。女性に比べ男性は2.6:1の発症率で、呼吸困難、胸部圧迫感、身体を動かしている時の動悸、疲れやすいなどの症状が表れます。重度化すると運動も控えなければなりません。
編集部
病気が判明した経緯について教えてください。
児玉さん
診断された半年以上前から、お腹に張りがありました。ひどい倦怠感や、横になるとしんどいと感じていたため、夜間はベッドで座っていることが多くなりました。何をするにもしんどく感じて、まずは近所の消化器内科に行ってみました。近所の消化器内科では、胃薬を2週間分処方され、様子を見ることになりました。
編集部
その後どうなりましたか?
児玉さん
ますます倦怠感がひどくなり、別の内科へ行くことにしました。胸部レントゲンの結果から腹水らしきものが見つかり、大きな総合病院を紹介してもらうことになりました。総合病院でも検査を受け、その時たまたま救急室にいた循環器の先生が胸部レントゲン写真を見て心拡大を発見してくれました。
編集部
医師からはどのような説明がありましたか?
児玉さん
総合病院の検査結果は芳しくなく、心不全も疑われましたが、循環器内科の心臓エコーでは左室壁運動の低下があり、特発性拡張型心筋症による慢性心不全と考えられ、精査加療のため即入院となりました。投薬による経過観察をするとも説明を受けました。
病気で自分を見直す機会ができた
編集部
病気がわかった時の心境を教えてください。
児玉さん
健康には自身があったので、まさか自分が大病するとは思いませんでした。職場の環境から、コロナウイルスの感染による心筋症も疑いましたがそれは大丈夫でした。
編集部
発症後、生活にどのような変化がありましたか?
児玉さん
絶対忘れぬよう服薬を続けています。利尿剤として「ダイアート錠30mg」「セララ錠12.5mg」、β遮断薬「ビソプロロールフマル酸塩錠1.25mg」、その他薬剤「イグザレルト錠15mg」「エンレスト1mg」を内服しています。また、食事の塩分コントロール(1日6g以下)もなるべく守るように意識しています。
編集部
入院や治療の内容を教えてください。
児玉さん
入院は今のところ病気が発覚した時の約2週間のみです。治療は血液検査やエコー、カテーテル検査をおこなって、投薬による治療と食事制限がありました。現在は、2ヶ月ごとに外来で通院、検査をして、薬を処方してもらっています。あとは、月2〜3回のリハビリを行っています。
編集部
現在の体調について教えてください。
児玉さん
治療の甲斐もあって、特に自覚症状は無く、運動などもできています。仕事復帰は通勤に片道2時間かかり、夜勤もあるため心配でしたが、倦怠感もなく普通の生活を送ることができています。
規則正しい生活の重要性を再確認
編集部
治療中の心の支えはなんでしたか?
児玉さん
たくさんの人が心配してくれましたが、入院時の2020年1月は、コロナ禍で入院時の面会もできず、寂しい状況でした。ですが、LINEや電話でパートナーと息子に支えてもらいました。
編集部
あなたの病気を意識していない人に一言お願いします。
児玉さん
具合が悪くなったら、我慢せずに病院へ行くようにしてほしいです。私もそうでしたが、大丈夫と思って先延ばしにする人が多いと思います。早期発見と早期治療が運命を分けることがあるので、できるだけ早く医療機関にかかってほしいですね。
編集部
医療従事者に望むことはありますか?
児玉さん
病気の発見と適切な治療をしてもらい感謝しかありません。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
児玉さん
病気になったからといって、すべてが終わりではありません。むしろ、結果として自分の生活を見つめ直す良い機会になったと感じています。これからも前向きに元気に生きていきたいです。
編集部まとめ
健常者は「自分は病気にならない」「自分には関係ない」と考えてしまうことも多いでしょう。そうした考えから発見が遅くなってしまう場合もあるのです。児玉さんの体験は、検査や病院受診の大切さを教えてくれています。インタビュー時点では、心臓エコー検査では心拡大が改善している所見がみられているとのことでしたこのまま順調に改善されることを願っています。