【闘病】「視神経脊髄炎」 眼が疲れると思っていたら歩けなくなり入院に…(1/2ページ)

闘病者の松本さん(仮称)は、2020年11月に視界に異常を感じた後、吐き気を催し、座っている事もできなくなりました。原因は視神経脊髄炎という病気でした。その後、入院や治療を経て、現在は病状も回復し、薬の服用もなくなったといいます。病気の発症から現在まで、どのような経過を辿ってきたのか、松本さんに詳しく話を聞きました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2022年4月取材。

体験者プロフィール:
松本さん(仮称)
東京都在住。1995年生まれ。診断時の職業は会社員。2020年11月に視神経脊髄炎を発症。1か月の入院で治療し、3か月かけて仕事に復帰。現在も1か月に1回通院しながら断薬に至る(取材時)。

記事監修医師:
村上 友太(東京予防クリニック)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
景色が追い付かないという感覚の違和感

編集部
視神経脊髄炎とはどのような病気ですか?
松本さん
視神経脊髄炎は、視神経炎により視力低下、運動麻痺や感覚障害などの症状が起こる病気です。女性に多く発症する傾向があり、 重症化すると失明や歩行できない状態にいたることもあるそうです。
編集部
病気が判明した経緯について教えてください。
松本さん
2020年11月頃から、歩いていると視界の両端の見え方に違和感がありました。振り向いて見た景色が、遅れて見えてくるような感じです。また、仕事中も夕方になると目がかすみ、PCが見えづらくなってくるので、仕事をセーブしながら眼鏡をかけて生活していました。コンタクトが合わないのか、目の疲れのせいだと思っていました。
編集部
その状態で生活に困難はなかったのでしょうか?
松本さん
2020年12月頃、視界の悪化に伴って、まっすぐ歩くことができなくなりました。ネットで症状について調べると「自律神経」や「三半規管」などについての記載内容がヒットしたので、近所の耳鼻科に行ってみました。ところがそこでは特に問題は見つからず、耳鼻科の先生と相談し、ストレスが原因であれば仕事のない年末には治るだろうと、様子を見ることにしました。
編集部
その結果どうなりましたか?
松本さん
年末には、目を開けると世界が揺れていて、嘔吐が止まらない状態になっていました。LINEでメッセージすら打てなくなっていました。2021年1月3日、頭痛が激しくなり、熱も出たので改めて病院に行くことにしました。なんとかタクシーに乗り、以前お世話になった大きい病院へ向かいました。
編集部
病院に向かうのも一苦労だったと思います。
松本さん
そうでしたね。その時期はコロナ禍だったので、病院に着いても熱があるため入口からは入ることができず、ベンチで待つことになりました。 座っているのがしんどくなりベンチで横になったところ、ストレッチャーで院内に運ばれました。
編集部
どのような診断を受けましたか?
松本さん
院長先生から「やはり耳が原因だと思うが、よくなる薬があるから大丈夫」と言われて安心したのを覚えています。検査をすることになり、CTを撮りました。そこで、耳ではなく脳に異常が見つかりました。
視神経脊髄炎の確定診断を受ける

編集部
まだ確定診断にはいたっていないということですか?
松本さん
はい。そこの病院では診られないので、転院先を見つけることになりました。ただ、コロナで、転院先がなかなか見つからない状況でした。帰宅はできないので、その病院に入院を続けることになりました。やがて、転院先が見つかり、救急車で搬送してもらえました。
編集部
検査は多かったのでしょうか?
松本さん
転院先では様々な検査を受けていましたが、何回か吐いた記憶以外にほかのことはあまり覚えていません。その後、改めて造影剤を使ったMRIを受けて、白い靄が複数箇所に見つかり「多発性硬化症」と仮診断されました。
編集部
多発性硬化症の診断ですか? お聞きした病名と違いますね。
松本さん
はい。腰椎穿刺で抗MOG抗体の検査をしたのですが、髄液の圧がすごく高いと看護師さんが驚くほどの結果でした。 医師からは「頭痛の大きな原因は、髄液が脳を強く圧迫していたからだ」と説明を受けました。そこからステロイドパルス療法をスタートしたのですが、これが、とても効果がありました。
編集部
では、視神経脊髄炎の診断はどのように?
松本さん
3週間後、髄液の検査結果が送付先の大学病院から返ってきて、改めて抗MOG抗体は陽性、「視神経脊髄炎」であると診断されました。
編集部
どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?
松本さん
ステロイドパルス療法を少なくとも2クール行って炎症の様子を見ていくこと、歩行が困難で呂律が回っていないためリハビリを併行して続けていくことを説明されました。病名は変わったのですが、ステロイドパルス療法は変わりませんでした。
編集部
実際の入院や治療の内容を教えてください。
松本さん
入院期間は1か月間でした。治療は、ステロイドパルス療法3クールを2回実施しました。退院してからは、プレドニンを服用しています。歩行訓練や発音のリハビリを行い、2021年8月、経過観察として3日間の検査入院をしました。




