【闘病】再検査を受けていれば… 3年後「特発性血小板減少性紫斑病」に(1/2ページ)

難病の「特発生血小板減少性紫斑病」は、何らかの理由により血小板数が減少し、出血しやすくなる病気です。20〜40歳台の女性や60〜80歳台の年配の方に多いと言われています。Akiさん(仮称)が特発性血小板減少性紫斑病と診断されたのも、そのレンジ内の28歳のときでした。日頃から体調を崩すことはなく、健康には自信があったAkiさんがどのようにしてこの病気に気づき、これまで向き合ってきたのか、話を聞きました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2022年7月取材。

体験者プロフィール:
Akiさん(仮称)
1993年生まれ、東京都在住。母、姉と同居。2021年5月、特発性血小板減少性紫斑病と診断される。診断時の職業は歯科衛生士。発症から3カ月後、血小板数が著しく低下したため休職し、2カ月の入院治療に専念した。ステロイド治療を受けながら経過観察中(取材時)。2022年1月から歯科衛生士として復職。Instagramで同じ病気を抱える人への情報発信も行っている。Instagram: @itp___63

記事監修医師:
原田 介斗(東海大学医学部血液腫瘍内科)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
健康には自信があった私が難病になるなんて

編集部
まず初めに、「特発性血小板減少性紫斑病」とはどのような病気なのでしょうか?
Akiさん
原因不明の血液疾患です。血液中にある血小板という血を止める働きを持つ細胞が何らかの理由によって脾臓(ひぞう)で破壊されてしまい、血小板の数が減少する難病です。血小板が少ないとケガをしたときに血が止まりにくくなったり、少しぶつけただけでアザができたりしてしまいます。最悪の場合、頭をぶつけて脳出血を起こすこともある病気です。女性の場合は出産にもリスクがあり、へその緒を通じて赤ちゃんに抗血小板抗体が移行してしまうこともあるそうです。
編集部
病気が判明した経緯について教えてください。
Akiさん
2021年3月、勤務先で健康診断を受けた翌日に、すぐに大きい病院を受診するよう再検査の連絡がありました。そこで精密検査を受けた結果、特発性血小板減少性紫斑病であることが判明しました。今思えば、学生時代に毎日のように鼻血が出たり、ぶつけていないのに大きなアザができていたりしていたので、思い当たる節はありました。
編集部
過去にも健康診断で再検査となったことがあるそうですね。
Akiさん
病気が判明する約3年前の健康診断でも、大きな病院を受診するよう言われたものの、その際は様子を見てしまいました。これはきっとなにかの間違いなんだと思ったからです。特に不調なくそれまで過ごしてきたので、様子見でも問題のない範囲だろうと、自己判断をしてしまいました。今考えると、とんでもないことだと後悔しています。
編集部
特発性血小板減少性紫斑病はどのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?
Akiさん
まずはピロリ菌感染有無を調べて、陽性であればピロリ菌除去を行い、陰性であればステロイド治療で血小板が破壊されるのを抑えると説明がありました。ただし、ステロイド治療で血小板を維持できない場合には、トロンボポエチン受容体作動薬を服用することになり、場合によっては脾臓摘出手術になることもあるが、脾臓摘出で寛解となる確率は約60%程度だと説明を受けました。ピロリ菌の検査結果は陰性だったので、ステロイド治療を行うことになりました。
家族が悲しい思いをしてしまわないか、それだけが心配だった

編集部
病気が判明したときの心境について教えてください。
Akiさん
なってしまってからはポジティブに、選ばれし者なのだと思うようにしていました(笑)。ただ、私が病気になったことを、私を産んでくれた母親が「自分のせいで」と責任を感じてしまわないか、悲しい思いをさせてしまうのではないか、とそればかりが心配でした。
編集部
発症後、生活にはどのような変化がありましたか?
Akiさん
これといった変化はありませんでした。強いて言えば、同じ病気の方の力になれればと思い、Instagramで病気用のアカウントを作成したことぐらいですね。
編集部
病気に向き合う上で、心の支えになっているものを教えてください。
Akiさん
その病気用のInstagramアカウントです。同じ病気でも症状や治療法は人それぞれで、いろんな方の体験談やアドバイスを聞くことができました。また、私の病気を理解してくれている家族をはじめ、友人、そして職場の方々にも支えられています。私の周りにいる方全てが私にとって心の支えです。何より1番の支えは、主治医の先生です。とても優しく、私の気持ちに寄り添ってくださる先生に出会えてよかったです。
編集部
昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか?
Akiさん
はじめに健康診断で指示を受けた時点で、すぐに大きな病院を受診するよう助言したいです。思い返せば、歯科衛生士の専門学生時代には毎日のように鼻血を出していたので、その時点で身体の異変に気づいてあげられていたらと思います。


