【介護福祉士監修】床ずれ防止用のクッションを選ぶ際のポイントを解説
床ずれを起こさないために、どのようなクッションを選ぶべきか悩んでいる人は多いでしょう。床ずれ防止のクッションは使用用途により、購入する形状や素材が異なります。今回は床ずれができないようにするクッションの選び方や床ずれが起こる要因について、介護福祉士の青木さんに伺いました。
監修介護福祉士:
青木 直士(介護福祉士)
床ずれが起こる原因と対策は?
編集部
床ずれとはどのような状態を指すのでしょう?
青木さん
床ずれとは同じ姿勢で寝ていて、皮膚が床や布団に触れたまま長時間圧迫されることで、圧迫された部分に損傷が発生した状態を言います。主に寝ている時に体重がかかり骨の突出している仙骨部、大転子部、かかと、肩甲骨、肘などに発生します。
編集部
床ずれが起こってしまう要因を教えてください。
青木さん
床ずれが起きる要因はさまざまです。長時間の圧迫や汗や尿などの皮膚の汚れ、摩擦などの外力、栄養状態の低下などが挙げられます。
編集部
多くの要因があるのですね。どのように対策すればいいのでしょう?
青木さん
要因によって異なるので、それぞれ説明しますね。まず長時間の圧迫ですが、ベッド上であれば適時体位変換、車いす上であれば除圧クッションを使用するといいでしょう。皮膚の汚れは、汗をかきやすい方の場合、掛物の調整や重ね着の防止などを心がけてください。寝たきりの場合、特に下痢を起こした際は普段より丁寧に清拭を行うようにしてください。
編集部
摩擦などの外力についてはいかがでしょうか?
青木さん
主にマットレスや車椅子などと皮膚がこすれることで生じます。摩擦から発生する床ずれを防止するためには、小さなしわに注意が必要です。シーツや衣類などの小さなシワにより床ずれが発生するので、ベッドメイキング時や着衣介助をする際、シワに注意して行いましょう。
編集部
最後に栄養状態の低下についてです。
青木さん
栄養状態が低下していると、皮膚に栄養が行かないまま、圧迫されている部分の皮膚が死んでしまうので、床ずれが発生しやすくなります。タンパク質、ビタミン、ミネラルなどをバランスよく摂取し、水分を多めに摂取するようにしましょう。食事の摂取量が低下している場合は、栄養補助食品などで補うといいと思います。
床ずれを防止できるクッションの選び方
編集部
床ずれ防止でクッションをおすすめされたのですが、どのようなクッションを選べばいいかわかりません……。
青木さん
介護用のクッションは必須アイテムとされていますが、種類も多くてどのクッションが入居者様に合うか判断が難しいですよね。床ずれを防止できるクッションの選ぶ際のポイントは3つあるので、選び方を間違えなければ大丈夫です。
編集部
どのようなポイントがあるのでしょう?
青木さん
1つ目のポイントはクッションの形です。床ずれ防止とされているクッションは長方形・筒形・三角型・車椅子用の4つがあります。クッションの形状は使用用途がそれぞれ異なりますので、注意してください。
編集部
それぞれの使用用途を教えてください。
青木さん
長方形・筒形のクッションは背中全体を支えるために使用します。三角形の場合、仙骨や大転子部の床ずれ防止に効果的です。体位変換の際に身体の下に入れて安定させるように使用します。車椅子用は座面が薄い車いすで快適に過ごせて、座り疲れを軽減する効果があります。
編集部
続いて、ほかのポイントについて教えてください。
青木さん
2つ目はクッションに使用されている素材です。弾力性があるポリエステル、身体を支える力が強く安定感がある低反発素材、使用する方の体格に合わせて形状を変えられるビーズなどが使われていますね。これらの特徴ごとに、使用用途にあった素材を選ぶといいでしょう。
編集部
最後のポイントはなんでしょうか?
青木さん
クッションの肌触りです。高齢者は皮膚を守る機能が低下しているため、乾燥や蒸れている状態の場合、クッションによる擦れで床ずれを起こしてしまうこともあります。なので、床ずれ防止クッションを購入する際はできるだけ肌触りの良いクッションを選ぶようにしましょう。
編集部
肌触りが良いクッションとはどのようなものですか?
青木さん
コットン素材がおすすめです。また、購入したクッションは必ずカバーをかぶせておくようにしましょう。クッションカバーの予備も必ず用意しておくと、尿や便により汚染しても洗濯中に不足する心配もありません。
クッションのお手入れ方法
編集部
購入する際は、クッションが汚れた時のことも考えて洗濯の有無も確認した方がいいですか?
青木さん
そうですね。お手入れ方法に対応したクッションを用意することで破損の防止や長く使用できるようになります。
編集部
どのようなお手入れ方法のクッションがいいですか?
青木さん
基本的には、丸洗いできるクッションがおすすめです。丸洗いができないクッションだと皮脂汚れが付着したまま、ダニが繁殖する原因となります。
編集部
クッションカバーについてはどうでしょう?
青木さん
クッションカバーも本体と同じように洗濯できるカバーを購入するといいでしょう。私たちが普段使用している枕カバーと同じように、クッションカバーも月に2回ほど洗濯することで清潔を維持する必要があります。
編集部まとめ
床ずれは栄養状態の低下から皮膚の状態が悪くなり発生しやすくなります。清潔保持や除圧を適時行うことが大切です。
床ずれを防止するクッションも販売されているため、素材やサポート力・形状によりクッションの使用用途が異なるため、購入する前に介護職員にどのクッションが適しているか尋ねてから、購入すると良いでしょう。