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甘酒の健康効果を管理栄養士が解説 「飲む点滴」と言われる所以とは?

 更新日:2023/03/27
甘酒の健康効果を管理栄養士が解説 「飲む点滴」と言われる所以とは?

甘酒は発酵食品の一種で、健康や美容に効果が期待できる栄養素がたくさん詰まっていることから「飲む点滴」といわれています。こうした呼び方もあり、「甘酒は体に良い」というイメージが定着してきましたが、そもそもどんな栄養素が含まれているのでしょうか。今回は、管理栄養士の佐野さんに甘酒の栄養や上手に取り入れるコツを解説していただきました。

佐野 未来

監修管理栄養士
佐野 未来(管理栄養士)

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鎌倉女子大学家政学部家政学科管理栄養士専攻(現・管理栄養学科)卒業。大学卒業後、日清医療食品株式会社に入社。その後、2007年から東京都内の大学病院に入職。個人栄養相談、集団栄養指導、入院患者の栄養管理業務に従事。現在はフリーランスのウェブライターとして、栄養や健康に関する情報を正確かつ分かりやすく伝えることをモットーとしている。

原材料によってさまざまな甘酒がある

原材料によってさまざまな甘酒がある

編集部編集部

そもそも、甘酒はどうやって作っているのですか?

佐野 未来さん佐野さん

甘酒の主な原材料は、米麹酒粕の2種類です。米麹の甘酒は、蒸したお米に麹菌を繁殖させて作ります。出来上がりはゆるめのお粥のような形状で、とてもシンプルな仕上がりになるのが特徴です。一方の酒粕の甘酒は、米麹にさらに酵母菌を追加して発酵させて作ります。2種類の菌で作るため、栄養価が非常に高いのが特徴です。砂糖を加えて作るため、しっかりとした甘さがあります。

編集部編集部

ほかにも甘酒の材料になるものはありますか?

佐野 未来さん佐野さん

紅麹玄米古代米を使った甘酒もあります。紅麹の甘酒は、ほんのりピンクがかった見た目が特徴で、血行改善などの効果が期待できます。玄米の甘酒は、香ばしさを感じる独特な香りが印象的で、玄米に含まれる食物繊維やミネラルが豊富に含まれており、整腸作用が期待できます。古代米の甘酒は、米麹の甘酒に黒米や赤米を足して作ったものです。ビタミンや必須アミノ酸など、さまざまな栄養素を含む甘酒で人気が高まっています。

編集部編集部

甘酒にアルコールは含まれていますか?

佐野 未来さん佐野さん

酒粕の甘酒はアルコールを含みますが、米麹の甘酒はアルコールを含んでいません。ちなみに、市販の甘酒で「ノンアルコール」と表記されていても、含有アルコール量が1%未満の場合には「ノンアルコール」と記載していいことになっています。アルコールを含まない甘酒を飲みたい場合には、米麹を使ったものを選ぶか、「アルコール度数0.00%」と明記されているものを選びましょう。

甘酒が「飲む点滴」と呼ばれる理由

甘酒が「飲む点滴」と呼ばれる理由

編集部編集部

甘酒にはどんな栄養が含まれていますか?

佐野 未来さん佐野さん

米麹の甘酒には、発酵過程で作られたビタミン類が豊富です。お米に含まれているデンプンをブドウ糖やオリゴ糖に分解するため、ナチュラルな優しい甘味があります。クセが少ないので飲みやすく、甘酒の栄養を無理なく継続して摂りたい方におすすめです。酒粕の甘酒には、たんぱく質やアミノ酸、菌由来のβ-グルカン、葉酸など多彩な栄養素が含まれています。酒粕独特の風味が強いですが、より多くの栄養素を効率的に摂りたい方、甘さを利用して間食の代わりに飲みたい方におすすめです。

編集部編集部

甘酒を飲むことでどんな効果が期待できますか?

佐野 未来さん佐野さん

発酵食品である甘酒は、製造段階で糖の分解が活発に行われ、ブドウ糖が多く作られます。ブドウ糖は脳のエネルギー源として使われるため、勉強や仕事の前に飲むと効率が上がることも期待できます。また、ビタミンやミネラル、オリゴ糖など、体内のサイクルや腸内環境の改善に役立つ栄養素も豊富です。便秘や下痢の予防、肌のターンオーバーの促進、スタミナアップなどの効果も期待できます。

編集部編集部

甘酒と一緒に摂るといい食材はありますか?

佐野 未来さん佐野さん

甘酒は、甘さと風味を活かしたちょい足しレシピにも使い勝手が良い食品です。体を温めたい時には、すりおろしたしょうがを入れてもいいでしょう。また、冷やした甘酒に柚子など柑橘系の香りが立つ食材を入れると、すっきりとした風味でリフレッシュできます。また、牛乳や豆乳、ヨーグルトといった乳製品と一緒にスムージー風にしてもおいしくいただけます。乳製品には適度な脂質が含まれて腹持ちが良いため、間食の代わりに飲むのもおすすめです。

甘酒を上手に取り入れるためのコツ

甘酒を上手に取り入れるためのコツ

編集部編集部

1日のどのタイミングで飲むのがいいですか?

佐野 未来さん佐野さん

特に決まっていないので、好きな時に飲んで構いません。朝に飲めば、ブドウ糖をチャージして1日のスタートダッシュに効果的です。昼や夜に飲めば、ビタミンなどの栄養素で疲労回復を図ることもできます。また、就寝前にあたたかい甘酒を飲むことで眠りをサポートすることも期待できます。就寝前に飲む場合には、比較的低カロリーの米麹甘酒がおすすめです。

編集部編集部

甘酒はどうやって保存すればいいですか?

佐野 未来さん佐野さん

ペースト状で売られている甘酒は、冷蔵庫保存が基本です。パッケージの賞味期限にしたがって、早めに使い切るようにしましょう。たまにしか飲まない場合には、1回分ずつ小分けにして冷凍保存も可能です。解凍するときは自然解凍か冷蔵庫解凍でじっくり戻すと、甘酒の風味や栄養を損なわずにいただけます。手間をかけずに飲みたい方は、1回分ずつに個包装されている商品や、紙パックに入っていて牛乳感覚で手軽に飲める商品を選びましょう。

編集部編集部

甘酒の適量についてはどうでしょう? たくさん飲んでもいいですか?

佐野 未来さん佐野さん

甘酒の適量は、どの種類でも1日にコップ1杯程度が目安です。エネルギーチャージに効果的なブドウ糖は、裏を返せば非常に吸収が早く、飲みすぎることで急激に血糖値を上げることにつながります。栄養価が高い甘酒ですが、飲めば飲むほど良いわけではありません。

編集部編集部

甘酒を避けた方がいい人がいれば教えてください。

佐野 未来さん佐野さん

アルコールを含む可能性がある酒粕甘酒は、車の運転が必要な方や妊娠中・授乳中の女性、お子さんには不向きです。アルコールの含有量をよく確認してから飲みましょう。また、糖尿病で治療中の方は、どの種類の甘酒でも血糖値の急上昇を起こす可能性があります。特に、経口血糖降下薬の内服やインスリン治療を行っている方は、必ず医師や管理栄養士に相談してから飲むようにしてください。

編集部まとめ

発酵食品である甘酒には、日々の健康をサポートできる多くの栄養素が入っています。また、原材料によっても含まれる栄養素が違い、個性豊かな食材でもあります。あたためても冷やしてもおいしくいただけますし、手軽に飲める市販品も徐々に増えてきています。健康や美容のケアに力を入れたい方は、甘酒も選択肢に入れてみましょう。

この記事の監修管理栄養士