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【闘病】「病気を親のせいにしたことを後悔」遺伝性で治療法もない脊髄性筋萎縮症とは(2/2ページ)

 更新日:2025/07/25
~実録・闘病体験~ 「病気を親のせいにしてしまったことを後悔」遺伝性で治療法もない脊髄性筋萎縮症とは

進行性なので、今できることも失われていきます

進行性なので、今できることも失われていきます

編集部編集部

現在の体調や生活はどうですか?

木明 翔太郎さん木明さん

大学卒業とともに行政書士事務所を開業し、現在6期目を迎えたほか、各種法人役員などを務め、経営者として学びながら一人の人間として自分の人生を謳歌しています。体にムチを打ちながら日々生きていますが、ムチを打ちすぎてお医者さんには怒られています(笑)。

編集部編集部

とてもアクティブですね。

木明 翔太郎さん木明さん

自分自身が病気であるという現実を知ったとき、自分にはできないことが多すぎると自覚し絶望しました。今の現実を見ても自分一人で出来ることが人より少ないのに、進行性の病気であり、今できることもこれから失われていくという現実が目の前にありました。そこで諦めるか、乗り越えようと努力するか、選ぶのは自分です。決断を迫られたとき、努力の方を選ぶと決めました。

編集部編集部

「諦めない」ということでしょうか。

木明 翔太郎さん木明さん

もちろん現実的に全て諦めないというのは無理でした。例えば、働くことひとつ取っても、体を使う仕事で人に勝る道は諦めました。代わりに知識で勝てる道を選びました。同様に、体を動かすことで友人との時間を楽しむことは諦め、お洒落をほかの人と楽しむ道を選びました。友人とショッピングを楽しんだり、モデル活動もしたりしています。けっこう車イスでお洒落を楽しむことを諦めがちな人が多いんですよ。もちろん簡単な道ではなかったですが、「病気だからこれはできない」と投げ捨てるより、多少努力が必要でもその努力が時に辛くても、しがみつく大切さを学びました。

編集部編集部

医療機関や医療従事者に望むことはありますか?

木明 翔太郎さん木明さん

生命体として生きるためにも医療技術は必要ですが、自分たち難病患者は基本的に一生その難病と付き合って生きていかなきゃいけません。一定の医療、療養生活が終わったあと、社会生活を送る上では、病気とうまく付き合いつつ生活していかなくてはならないのです。プライベートな話にはなりますが、この患者さんは普段どんな仕事をし、どんな趣味があって、どんな友達や恋人がいるのだろうかという、その患者を取り巻く社会生活にも注目してもらえたら嬉しいです。

編集部編集部

最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。

木明 翔太郎さん木明さん

このようなメディアを、私も病気を発症した当初に知ることができていれば、もっと早くに自分自身の病気を受け入れられていたかもしれないと思います。私自身、病気を受容するのに悩んでいる時期に、「こんな風になりたい」と思える憧れの対象がいなかったのを覚えています。なので今は、逆に自分がそういう対象になることができるよう日々奮闘中です。少しでもこのようなメディアの発信、皆様の情報共有を通じて闘病中でも人生を楽しむことができる仕組みと気持ちづくり、社会づくりをお手伝いすることができればいいなと思います。

編集部まとめ

さまざまな葛藤を経て、「一人の人間として自分の人生を謳歌する」ことを選んだ木明さん。「病気の受容で悩んでいる人の憧れの対象になりたい」という思いに、優しさと強さを感じました。貴重なお話をありがとうございました。

この記事の監修医師