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【闘病】頭痛で発覚した先端巨大症。手足が大きくなる・顔つきが変わる病気

 更新日:2023/03/27
【闘病】頭痛で発覚した先端巨大症。手足が大きくなる・顔つきが変わる病気

近年「熱中症」は身近になり、気温や湿度が高い日に頭痛を感じたら「熱中症では?」と考えてしまうこともあるのではないでしょうか。しかし、闘病者のGTさん(仮名)の頭痛は、脳の腫瘍によるものでした。そこから手足が大きくなったり、顔つきが変わったりする症状が現れたそうです。闘病者が患った「先端巨大症」とは、はたしてどんな病気なのか。話を聞かせてもらいました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年12月取材。

GTさん

体験者プロフィール
GT(仮称)

プロフィールをもっと見る

1985年9月神奈川県横浜市出身。介護福祉士の専門学校卒業後、福祉関係の仕事につく。2021年6月、頭痛の症状があり病院を受診。7月先端巨大症の診断を受けた。8月脳の下垂体腫瘍摘出術を受け、手術は成功。現在は、手術前の自分との違いに向き合いつつ、日常生活に戻ろうとしているところ。

村上 友太

記事監修医師
村上 友太
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

「このまま放置していたら早死にするでしょう」

「このまま放置していたら早死にするでしょう」

編集部編集部

最初に不調や違和感を感じたのはいつですか? どういった状況だったのでしょうか?

GTさんGTさん

2021年の6月頃、頭痛がありました。梅雨時で気温も湿度も高い日だったので「熱中症では?」と思いもしたのですが、病院には行かず、自宅で静養していました。でも、翌日も翌々日も頭痛が治らず、心配になって近所の脳神経外科に行きました。

編集部編集部

受診から、診断に至るまでの経緯を教えてください。

GTさんGTさん

脳神経外科クリニックでMRIを撮りました。結果、脳の下垂体というところに腫瘍が見つかったのです。それ自体は良性だったのですが、その腫瘍が脳の神経を圧迫して、頭痛が起きていたそうです。下垂体専門の名医がいる大きい病院への紹介状を書いてもらいました。

編集部編集部

大きい病院へ行って、どうなったのでしょうか?

GTさんGTさん

7月に母と叔母と3人で、そこの脳神経外科の先生のもとに行ったとき、先生から「手足が大きくなっていませんか?」「顔付きが変わったと言われませんか?」「身長が伸びたり、身体が大きくなっていたりしませんか?」「いびきが大きくありませんか?」などの質問をされました。改めて考えると全て当てはまっていました。近所の病院で撮ったMRI画像を見ながら先生は、「99%の確率で先端巨大症でしょう。指定難病です。GTさんが診察室に入って来て、一目で分かりました。このまま放置していたら、早死にしていたかも」と冷静に言われました。

編集部編集部

先端巨大症について、ほかにはどんな説明がありましたか?

GTさんGTさん

先生によると、この病気は10年くらいかけてゆっくり症状が進み、成長ホルモンが過剰に分泌するという非常に珍しい病気なのだそうです。身体の中に筋肉増強剤、つまりステロイドが過剰に出ているようです。さらに、「治療には手術が必要ですが、手術をすると筋肉がつきにくくなったり、疲れやすくなったりします。まずは、今月中に1週間ほど入院して、内分泌内科で検査をしましょう」と言われ、入院することになりました。入院中に負荷試験、MRI、CT、検便、採尿など様々な検査をしました。そして、退院する日に確定診断が出ました。

編集部編集部

どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?

GTさんGTさん

MRIを見る限り、手術をしても1回では取り切れない可能性があること、まずは1回サンドスタチン注射をして、腫瘍を小さくしてから手術をすること、放射線治療が必要かもしれないとのことでした。また、手術は開頭手術ではなくて経鼻手術と言って、左の鼻から内視鏡を入れて、下垂体の腫瘍を取り除く手術になると。加えて、手術後に抜け毛が1年ほど続いたり、太りやすかったり疲れやすかったりするなどの話もありました。

手術後の変化

手術後の変化

編集部編集部

先端巨大症が判明したときの心境について教えてください。

GTさんGTさん

まさか病気だとは思っていなかったので、ショックを飛び越えて、驚きでした。先生からの説明を聞いていても、その時は自分事とは思えず、上の空という感じでした。そこから少しずつ実感が出てきて、「有名人たちも完治しているという話もあるし大丈夫、大丈夫」と言い聞かせ、病気のことを受け入れることができました。

編集部編集部

治療や闘病生活の中で、大変だったことはありますか?

GTさんGTさん

手術後、膀胱に、尿を出すためのカテーテルを挿入しました。カテーテルに抵抗は無かったのですが、身体の清拭やオムツ交換はやはり恥ずかしかったです。尿道カテーテルは術後4日目くらいに外れたのですが、最初は尿意がはっきりせず、また普段よりトイレの回数や尿量が多くなり、昼間は1時間毎に行ってました。下垂体から出るホルモンが欠乏するために、薄い尿が過剰につくられる尿崩症という状態なのだそうです。夜間も2時間毎にトイレに起きていましたね。現在は尿崩症は落ち着いています。

編集部編集部

病気の前後で変化したことを教えてください。

GTさんGTさん

手術前に比べ、身体が非常に疲れやすく、太りやすくなりましたので、色々とコントロールが必要になりました。退院後、食事は宅配弁当を2週間に1回注文しています。栄養バランスも整っていますし、自炊だと最初は気をつけていても段々と偏りがちになりそうなので、助かっています。宅配弁当以外の日は、野菜やタンパク質中心のメニューで自炊しています。いまでは顔つきはシュッと引き締まり、身内からも「顔つきが良くなったね」と言われます。

編集部編集部

病気を振り返ってみて、後悔していることなどありますか?

GTさんGTさん

後悔はありません。6月の頭痛が無かったら病院には行っていませんでした。その時の頭痛が、身体からのSOSのメッセージだったと思っています。紹介状を書いてくれた脳神経外科の先生や、治療してくれた先生たちには感謝しています。

症状は身体からのメッセージ

症状は身体からのメッセージ

編集部編集部

現在の体調や生活はどうですか?

GTさんGTさん

体調は至って良好です。頭痛もないですし、視野も問題ありません。手術後から8ヶ月くらいは体が鉛みたいに重く非常に疲労感が強かったです。手術後1年はホルモンの数値を観察していくとのことで、毎月の通院と3ヶ月毎に検査入院(1週間)がありました。なので、仕事しても休みがちになってしまうので、1年間は仕事をしないで治療に専念&スポーツクラブに通い体力を戻すことを目標に決めていました。
(2022年7月1日、手術後1年経過し検査入院。検査内容はMRI、負荷試験でした。その結果、MRIを見る限り、腫瘍はなくなり成長ホルモンの数値もだいぶ下がりましたが、まだ少し高いとのことでした。今後は通院で臀部にサンドスタチン注射を打っていくとのことです。仕事は2022年8月から制限なく、再開してます。2022年9月現在では、体力が手術前の頃に戻り、ほとんど疲労を感じなくなりました)

編集部編集部

医療機関や医療従事者に望むことはありますか?

GTさんGTさん

コロナ禍で大変な状況のなか体調管理、状態確認、検査、手術などしていただきました。手術前に「手術で取り切れるかわからない」「2回目の手術や放射線治療が必要かもしれない」と言われていましたが、結果的に腫瘍も99%摘出できていると言われ、2度目の手術も放射線治療も必要なく今に至っています。医療従事者の方々には感謝しかないです。

編集部編集部

最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。

GTさんGTさん

体調不良など、何らかの症状が出たら身体からのメッセージだと思って、できるだけ早めに病院の受診することをお勧めします。早期発見し、早期に治療することが大事です。通常の健康診断だけだと病気によっては見つかりにくいものもあるので、1年ごとに人間ドックや脳ドック、MRIなどの精密検査をした方が良いと思います。

編集部まとめ

病気を治すための手術ですが、「手術後の身体が受け入れられず鬱病になるリスクがある」という場合もあるのですね。2度目の手術や放射線治療になる事なく腫瘍が摘出できて良かったです。また、症状が出て数日後に受診し、紹介された大学病院に言ったその日に「このまま放置していたら早死にするでしょう」と言われたとのことで、早期受診の大切さを感じました。GTさん、ありがとうございました。

この記事の監修医師