【体験記】リウマチの宣告で絶望も、10年で寛解することができたワケ
関節リウマチは、関節に炎症が起こり、軟骨や骨が破壊されてしまう病気です。2010年に関節リウマチを発症し、10年間の闘病を経験して、現在では長い闘病生活から解放され、ソフトボールなども楽しめるようになった梯美香さん。どのように発症し、寛解と言われるまでに回復できたのかを語ってもらいました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年12月取材。
体験者プロフィール:
梯 美香
神奈川県在住、1984年生まれ。夫と子どもの3人暮らし。第二子妊娠中(取材時)。2010年に関節リウマチを発症し、10年間、薬と痛みに苦悩する。2019年に肝臓の数値が悪化し入院する。その後薬を減らし、食生活の改善などに努め、半年後には寛解と診断された。今は、何の薬も飲んでおらず、治療もおこなっていないが、仕事、プライベートともに充実の日々を過ごしている。
記事監修医師:
柏木 悠吾
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
病気の発覚から不自由さを痛感
編集部
病気が判明した経緯について教えてください。
梯さん
当時、だるさと倦怠感があり、不安を覚えていました。早朝から、重労働の仕事をしていた為、腱鞘炎を疑っていました。病院を転々としましたが、医師も腱鞘炎だろうと言うので、それを鵜呑みにしていました。
編集部
いつリウマチだと発覚したんですか?
梯さん
1年ほど整形外科に通いましたが、一向に治る様子がなく、リウマチ科を受診したときです。血液検査をおこなって一発で関節リウマチと診断されたのです。
編集部
どのように治療を進めていくと説明がありましたか?
梯さん
「年齢も若く、病気に勢いがあるため強めの薬で調整し、経過をみながら治療を進めましょう」と説明を受けました。
編集部
病気が判明したときの心境について教えてください。
梯さん
衝撃でした。人生が終わったかのようで、死も意識しました。
編集部
発症後、生活にどのような変化がありましたか?
梯さん
指に力が入らないので、家事に時間がかかるようになりました。自分の事をするのも大変で、子どもの世話もままならず、泣いてばかりいました。パンツを降ろすことも時間がかかるんです。今まで、日常生活をなんの不自由もなく過ごしてきてたので、不自由さを痛感しました。
リウマチの治療はお金がかかる
編集部
どのような治療を行ったのですか?
梯さん
2010年から、エンブレルという皮下注射を打ち始めました。エンブレルはリウマチの勢いを止める注射です。この注射が高額で経済的に大変でした。高額療養費制度(一月にかかった医療費の自己負担額が上限の金額を超えた際、一定の金額分があとで払い戻される制度)を利用しました。
編集部
どれくらいの期間注射を打っていたのですか?
梯さん
約3年間使用していました。不妊治療をしていたこともあり、経済的に厳しく、途中でリウマトレックスという安価な薬に切りかえてもらいました。リウマトレックスは1日4錠内服を、約5年間継続していました。やがて、2019年に、急に肝臓の数値が悪化し、即入院となったんです。
編集部
それはなぜだったのでしょうか?
梯さん
1ヶ月の入院をしましたが、原因は薬剤性肝障害(薬やサプリメントなどが原因で起こる肝臓の炎症)でした。「中毒性」と「特異体質性」で分かれるのですが、私の場合、「中毒性」が該当したのです。そこでリウマチの薬を減らすことになりました。
薬を減らすことで体調が改善
編集部
リウマチの薬を減らすことになって大丈夫でしたか?
梯さん
そうですね。結果的に半年後には寛解(かんかい/病気が完治したわけではありませんが、症状が落ち着いた状態のことを指します)と診断されました。今は、リウマチに対しての治療は一切していません。
編集部
薬を減らしたら治ったということですか?
梯さん
薬を減らして治ったわけではありません。体質改善、食生活を改めました。まず、添加物を減らしました。調味料は無添加の物、遺伝子組み換えではない物、化学調味料を使っていない物、自然の物を選ぶようにしています。また、採りきれない栄養素はサプリメントから補うようにしています。
編集部
治療とは別の大変さがありそうですね。
梯さん
ツラかったと感じたことは、本当になくて、ただリウマチを治すんだという気持ちで生きていました。どん底からのリスタートなので、怖いもの知らずでしたね。
編集部
治療中の心の支えはありましたか?
梯さん
子どもですね。もう治らないと思っていたので、「この子のために生きるんだ」と思っていました。
編集部
もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか?
梯さん
「大丈夫、大丈夫。寛解という未来が待っている。今を乗り越えれば、明るく楽しい毎日がある。神様から与えられた試練ってだけだから」と伝えたいです。
現在は体調良好で活動的に生活している
編集部
現在の体調や生活などの様子について教えてください。
梯さん
関節リウマチを患う前より強くなった気がします。生活に何一つ不自由もなく、体調もすこぶる快調です。
編集部
あなたの病気を意識していない人に一言お願いします。
梯さん
関節リウマチは見た目では分かり難い病気です。ですが、国が定めた指定難病です。もし、周りに罹患者がいたら、少し気に掛けてあげてほしいです。「瓶の蓋を開けてあげる」「重い物を持ってあげる」「長い距離を歩かせない」などの気持ちが、助けになります。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
梯さん
私は「なんで私なの?」と思うことをやめ、関節リウマチを受け入れました。まず、自分の身体と向き合ってください。私は関節リウマチについて調べ、食生活も見直すようになりました。ぜひ、身体に必要な物を取り入れ、不必要な物を排除できる身体を作ってください。
編集部まとめ
リウマチが見つかった当初、人生が終わったと感じたそうですが、10年たった今、当時が嘘だったように「お友達とランチ」「お酒を飲む」「大好きなソフトボール」などさまざまなことを楽しまれています。「体を自由に使っても痛くないし、仕事にもやりがいを感じられるようになった」と話されていました。病気になったからといって悲観的にならず、自分自身を見つめ直すことも大切そうです。