【闘病】きっかけは手荒れ・痒み。やがて筋力も低下していった《皮膚筋炎》(1/2ページ)

闘病者の遠藤芹奈さんは、2020年頃に皮膚の異常(痒み・変色など)がはじまり、やがて2021年6月に皮膚筋炎(強皮症も併発)と診断されました。その間、入院や治療を通して感じた気持ちの変化や、遠藤さんが気付いたことなどを教えてもらいました。闘病者の想いを知ることにより、私達ができることも明らかになります。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年10月取材。

体験者プロフィール:
遠藤 芹奈
徳島県在住。28歳。父・母・姉・義理兄・甥・姪と7人家族。診断時は、IT企業でカスタマーサクセス業務を担当していた。2020年秋頃から皮膚科を数軒受診後、2021年6月23日、皮膚筋炎と診断され入院。現在、病気により減少した筋力・体力はまだ戻り切ってはいないが、健康な状態の時と大差はない状態まで回復。CK(クレアチンキナーゼ)も正常範囲。ステロイド服用による副作用で、以前と比べ見た目の変化などはある状態(ムーンフェイスや中心性肥満など)。

記事監修医師:
村上 友太
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
診断がなかなかつかず、病院をはしご

編集部
皮膚筋炎が判明した経緯について教えて下さい
遠藤さん
2020年秋頃になかなか手荒れが治らず、肌の赤みや痒みが気になりだしました。皮膚科で診てもらい、保湿剤などを処方してもらっていましたが、それでも治らず、むしろ悪化しているような状況でした。複数のアレルギーがあることもわかり、ひとまずアレルギー薬を飲むことになったものの、症状は治まりませんでした。
編集部
なかなか病名が判明しないと不安でしたね。それからどうされましたか?
遠藤さん
ネットで調べていたところ、膠原病の強皮症の症状と似ていることが分かり、皮膚科の先生に相談しました。そしたら血液検査を受けることになり、結果、著しく悪い数値はなく、症状などは膠原病と似ていることから、膠原病を取り扱っている病院の内科を紹介してもらいました。
編集部
やっと専門医の受診にたどり着いたのですね。専門医からはなんと言われましたか?
遠藤さん
再度血液検査をしていただきましたが、膠原病(筋炎)と診断を下すほど悪い数値ではないとのこと。皮膚科の先生も同じような回答でしたね。その病院で内科と皮膚科を定期的に受診して様子を見ましょうということになり、月に1回ペースで受診することになりました。
編集部
その間の治療はどうされていたのですか?
遠藤さん
アレルギー薬と塗り薬を処方してもらっていましたが、特に皮膚症状が改善されることはなく、毎月受診を行っていく中で、だんだんと筋力の低下なども感じられたため、その旨を伝えたところ、再度、血液検査を実施することになりました。その結果、CK(クレアチンキナーゼ)という数値がかなり上昇していることがわかり、すぐに筋炎専門の先生に紹介状を書いてくださいました。
編集部
検査値CKの値はいくらでしたか?
遠藤さん
最初は3365でしたが、5日後には3631まで上昇していました。CKの基準値は女性で30~180程度です。紹介先の病院を翌日受診したところ、皮膚筋炎の症状が出ているとのこと、このままでは筋力が戻り切らなくなる可能性があるため、即入院したほうがいいと伝えられました。
筋力低下と入院中の葛藤

編集部
診断がおりて良かったですね。皮膚筋炎とはどんな病気ですか?
遠藤さん
皮膚筋炎は自己免疫疾患という病気で、膠原病の一つです。自己免疫が異常を起こし、自分自身を攻撃することにより筋肉が炎症し、筋力や体力が低下する病気です。
編集部
どのような症状がありましたか?
遠藤さん
階段を登ることや腕を肩より上にあげることが困難になり、ベッドからも補助なしでは起き上がれませんでした。首を枕から持ち上げることも困難になりました。また、手の皮膚症状も酷かったため、ペットボトルの蓋やプルタブを開けることすらもできなくなっていました。
編集部
それは辛かったでしょうね。皮膚の症状はどうでしたか?
遠藤さん
皮膚の症状は、特によく動かす部分に症状が現れます。手の甲にはゴットロン丘疹というゴツゴツしたものができ、顔には 蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)という赤みが現れます。肌も全体的に赤らんでいる状態でした。私は強皮症も併発していたため、爪上皮出血点も特徴的な症状でしたね。また、保湿をどれだけ行っても改善されることはありませんでした。
編集部
主治医からはなんと説明されましたか?
遠藤さん
「CKが1000を切るまでは安静にするように」と言われていました。そして入院後は治療を始める前に全身を検査し、何か別の病気がないかを調べるとのことでした。ステロイド治療を始めてしまうと、本当の原因がわからなくなってしまうこともあるので、治療前に検査をする必要があるとのことでした。皮膚生検、筋電図、神経伝導速度検査、心電図、心エコー、筋生検、婦人科検診、胃カメラ、大腸カメラ、骨密度検査などを受けました。
編集部
検査後、どのような治療をされましたか?
遠藤さん
ステロイド服用により自己免疫を下げ、CKの数値を下げていくとの説明でした。最大量のステロイドを服用し続けることは副作用が大きいため、いち早くステロイドの服用量を下げる必要があると。私の場合、ステロイド服用だけでは思うようにCKの数値が下がらなかったため、免疫グロブリン療法を5日間行いました。



