~実録・闘病体験~ まさか私が卵巣がんに。「子宮頸がん検査」は何度も受けていた
がんのなかでも初期症状がわかりづらいといわれる卵巣がん。闘病体験を語ってくれたこずえさんは、3か月おきに「子宮頸がん」の検査をしていたにもかかわらず、症状を自覚したときには、卵巣がんのステージ3と診断されました。その後どのような闘病生活を送ってきたのか、取材させていただきました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年10月取材。
体験者プロフィール:
こずえ
京都在住。1971年生まれ。夫、娘、息子、こずえさんの4人家族。病前は会社員をしていた。2018年夏に卵巣がんの疑いで採血やMRI、PET-CTを行ったのち、試験開腹術を受け、右卵巣切除を行う。検査の結果、漿(しょう)液性の卵巣がんステージ3と確定。その後は抗がん剤による治療(TC療法)を3クール実施。2018年冬には子宮、卵巣の全摘出、骨盤および傍大動脈リンパ節郭清、大網の切除という大きな手術を受けた。2019年1月から再び抗がん剤を3クール実施。その後は寛解となり仕事に復帰するも、2年後に再発。2021年の春に退職し、自宅療養に励んでいる。
記事監修医師:
楯 直晃(宮本内科小児科医院 副院長)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
子宮頸がんの検査はしていたのに…
編集部
卵巣がんと判明した経緯について教えてください。
こずえさん
はじめは下腹部に痛みを感じていました。しかし、3か月おきに子宮頸がんの検査をしていたので、まさか卵巣に異変が起こっているとは思わず、1か月弱ほど放置していました。すると、その後お腹が妊婦さんのように腫れ、おしっこにも頻繁に行くように。「さすがにおかしい」と思って、病院で検査を受けました。画像診断の結果、卵巣がんの可能性が高いと言われました。
編集部
はじめにカラダに起きた異変、初期症状は具体的にどのようなものでしたか?
こずえさん
寝転んだとき、下腹部に痛みと違和感を感じていました。違和感を覚えはじめたころから、妊婦さんのようなお腹の大きさになるまではあっという間でした。おしっこに行く回数も本当に多くなりました。
編集部
病気が判明したときの心境について伺ってもよろしいでしょうか。
こずえさん
なかなか受け入れることができなかったですね。「なんで私が? なんで?」と。また「不摂生な食事が卵巣がんの原因となる」という情報をよく見かけましたが、昔から食事には気を遣っていたのに」と思いました。ただただ、今の生活が失われるのが辛くて悲しかったです。
編集部
発症後、生活はどう変わりましたか。
こずえさん
毎週2泊3日で入院して抗がん剤治療を行っていたので、とにかく目まぐるしい毎日でした。上の娘が高校生、下の息子が中学生だったため、治療と並行して学校行事や家事をなんとかこなしていましたね。
現在の体調や生活
編集部
どのように卵巣がんの治療を進めていくと医師から説明がありましたか?
こずえさん
卵巣がんが腸と癒着していたので、まずは手術で右の卵巣のみを切除したのち、病理診断をするという説明を受けました。その後は抗がん剤(TC療法)を3クールして、腫瘍が小さくなったタイミングで広範囲を切除する大手術を行うと。腹膜への播種やリンパ節への転移も見られたので、術後再び抗がん剤を3クール行うと説明を受け、そのとおり実施しました。
編集部
現在薬の副作用などはありますか?
こずえさん
抗がん剤の副作用なのか、足裏の痺れは今も続いています。あと手術でリンパ節を取ったせいか、鼠径部から太ももにかけて今も強い痺れが残っています。痛いしとても不快です。
編集部
SNSを見ると、食事にすごく気を遣われていますね。意識していることがあれば教えてください。
こずえさん
私は昔から美味しい物を食べることが大好きで、現在は食事療法を取り入れています。いろんな制限がある中でも、いかに美味しく、楽しく食べられるかを大事にしています。キノコや海藻、野菜、果物、玄米など、カラダに良い栄養素をバランスよく取り入れるようにしています。
編集部
現在の体調や生活などの様子について教えてください。
こずえさん
体調はとても良いです。食事の効果は大便が証明してくれています。汚い話で恐縮なのですが、毎朝快便です。あまり人に大便の話をすることもないですが、今回は健康情報の発信ということなので、この機会にぜひ聞いて欲しくて。
少しでも違和感を覚えたら病院へ行ってほしい
編集部
治療中の心の支えはなんでしたか?
こずえさん
可愛い子ども達です。心のこもったお手紙をもらっていました。
編集部
もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか?
こずえさん
「もっと自分を大事にしないと体を壊すよ」「疲れを溜めてストレス抱える毎日の積み重ねが大きな病気に繋がるよ」「もう少し楽に生きたらいいんだよ」。この3点は伝えたいです。
編集部
卵巣がんを意識していない女性にひとことお願いします。
こずえさん
卵巣は「沈黙の臓器」といわれるほど自覚症状が出にくい部位です。お腹が痛い、腫れているなど、少しでも違和感を覚えたら、すぐに病院へ行くことをおすすめします。
編集部
医療従事者に望むことはありますか?
こずえさん
病院では標準治療を勧めるのはもちろんのことと思いますが、「もう少し患者が希望する治療のやり方も尊重してもらえたらなぁ」と思います。病気を治したいという気持ちは医者も患者も同じだと思うので。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
こずえさん
体には自然に治癒しようとする力があるので、病気に打ち勝つには自分の免疫を上げることも大事だと思います。主治医は医師と自分自身だと思うので。
編集部まとめ
「卵巣のがんは発見が遅くなりやすい」と言われていますが、まさか3か月ごとの子宮頸がん検査を受けていたのに発見が遅くなるなんて、こずえさん自身、思ってもいなかったでしょう。初期症状が出て、わずか1か月の間にステージ3まで進行する卵巣がんの恐ろしさを改めて痛感しました。「少しでも違和感を覚えたらすぐに病院へ行ってほしい」というこずえさんの叫びが一人でも多くの方に届いてほしいです。また、本記事の監修医(こずえさんの担当医ではありません)によると「卵巣がんとは症状やがん検診の内容も異なるので、子宮頸がんの検査をしておけば、卵巣の異常も見つかるというわけではありません」とのこと。つまり『だから安心』というわけではないようです。