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~実録・闘病体験~ 働き働き盛り、AYA世代の女性に降り掛かった胃がん

 更新日:2023/03/27
胃のあたりを手で押さえる女性

30代女性の胃がんは珍しいものではありません。闘病者の川田さんは、胃がんの告知を受けた時、小学1年生と4歳の子どもがいました。そんな時期に過ごした闘病生活。子育てが大変な時期に、家族と共に乗り越えた経験や当時の心境などについて、話を聞かせてもらいました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年11月取材。

川田さん

体験者プロフィール
川田さん

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岐阜県在住、1985年生まれ。夫、息子、娘の4人家族。診断時は歯科衛生士として総合病院勤務。2020年10月、職員健診にてピロリ菌の陽性が判明し、同年11月に勤務先にて胃カメラを受ける。検査時の生検で、胃がん発覚。その後大学病院へ紹介される。幽門側胃切除術を受けた後、2週間の療養を経て、仕事復帰。子育て中であることもあり、時短勤務。現在は薬の服用はなく、半年に1度受診し、採血と造影CTの撮影をおこなっている。

マイマイテイリ イマム

記事監修医師
マイマイテイリ イマム(新宿アイランド内科クリニック 院長)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

いざ自分がなってみると死がよぎりました

いざ自分がなってみると死がよぎりました

編集部編集部

病気が判明した経緯について教えてください。

川田さん川田さん

2020年11月に職場の健康診断で、ピロリ菌の陽性が判明し、胃カメラを受けました。また、生検も受けた結果、胃がんが発覚し、その後大学病院を紹介されました。そこで大腸カメラ、バリウム検査をおこない、術前検査も経て、12月にESD(内視鏡的粘膜下層はく離術)の治療を受けました。その後の病理結果から、大きさが3cm以上の低分化腺がん(悪性度の高いがん)だと判明したので、消化器外科にて幽門側(ゆうもんそく)胃切除術を受けました。

編集部編集部

どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?

川田さん川田さん

胃カメラを受けた消化器内科の医師からは、外科的手術をするしかないと言われました。

編集部編集部

病気が判明したときの心境について教えてください。

川田さん川田さん

医療現場で働いていたので、がんがすぐに命に関わる病気ではないことは知っていました。でも、いざ自分がなってみると、一番に死が頭をよぎり、子どもを残して死にたくないと思いました。

AYA世代のがん患者さんとの交流

AYA世代のがん患者さんとの交流

編集部編集部

発症後、生活にどのような変化がありましたか?

川田さん川田さん

自覚症状は特になかったので、生活に変わりはありませんでした。ただ精神的ショックが大きかったです。ネットでひたすら胃がん患者の体験記を探して読みました。Instagramにも闘病用アカウントを作り、AYA世代(Adolescent and Young Adult/思春期~30代ぐらいの世代)のがん患者さんとの交流を開始しました。

編集部編集部

どのような交流をSNSでされたのですか?

川田さん川田さん

とにかく病気に関しての情報がほしかったので、「#胃がん、#幽門側胃切除」などのハッシュタグを使って検索しました。検索することで、同世代に胃がんの方がたくさんいることを知りました。ほかにも、同じ手術をした方数名にメッセージを送ったこともあります。皆さん親切に術後のことを教えてくださり、不安な気持ちに共感していただき、救われました。

編集部編集部

SNSでつながった仲間が励ましだったんですね

川田さん川田さん

そうですね。手術前の不安な気持ちを投稿したときも、励ましのコメントをいただき、前向きな気持ちになれました。先に手術された方が投稿された術後の経過を読んで、「自分も何日後かには元気になれる」と見通しを持てたのもよかったです。私もほかの方の役立てればと、自分の術後経過も投稿しました。ただ、メッセージをやりとりした方が亡くなられたときは落ち込みました。

編集部編集部

治療中の心の支えはなんでしたか?

川田さん川田さん

家族です。子どもたちはまだ幼いのですが、入院が長期にわたるため、病気の説明をしました。コロナ禍で、入院中は一度も面会できませんでしたが、夫や両親の助けもあり、子どもたちは学校にもいつもどおり行くことができました。子どもたちの頑張る姿に励まされ、早く会いたくてリハビリを頑張りました。両親は、がん封じの御守りをいくつも用意してくれました。心配をかけていることを申し訳なく感じ、絶対元気にならなければと思いましたね。

忙しい世代でもがん検診を受けてください

忙しい世代でもがん検診を受けてください

編集部編集部

もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか?

川田さん川田さん

「早めにピロリ菌検査を受けて。 自分を大切に」と伝えたいです。

編集部編集部

現在の体調や生活などの様子について教えてください。

川田さん川田さん

食べすぎたり、早食いしたりすると腹痛や下痢になるので、食事には気を使います。退院後はよく失敗して寝込んでいました。現在は薬を服用していませんが、術後は胃切除による鉄欠乏性貧血を防ぐための鉄剤を服用していました。今では食事のペースを掴むことができたので、ほぼ術前と同じ生活に戻れています。いまは日常が続く幸せをかみしめています。

編集部編集部

医療従事者に望むことはありますか?

川田さん川田さん

感謝しかありません。入院中はコロナ禍の影響もあり、面会ができなかったので、スタッフの方々の温かさにたくさん支えられました。毎日の何気ない会話が楽しかったです。医療従事者自身も体を大切にしてほしいです。

編集部編集部

最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。

川田さん川田さん

繰り返しになりますが、「とにかく検診を受けてほしいです。がんは早期発見すれば治ります」と伝えたいです。30代でもがんは他人事ではありません。忙しい世代ですが、どうか自分を大切に、がん検診を受けてください。

編集部まとめ

職場での検診を受けたからこそ早期発見につながった川田さんの胃がんのケース。働き盛りのAYA世代のみなさんも、他人事ではありません。ピロリ菌の感染から胃がんにつながってしまうことも。大切な家族との時間を守るためにも、あなたが若い世代だったとしても、毎年の検診は必ず受けるようにしてください。

この記事の監修医師