血圧計は腕と手首どっちのタイプがおすすめ? 購入する際のポイントや正しい測り方を紹介!
血圧計には手首式と上腕式があることをご存知でしょうか? 血圧チェックを行うことは、健康管理の第一歩です。今回は、血圧計を購入する際のポイントを家庭での正確な血圧の測り方とあわせて「看護師」の吉村さんに話を伺いました。
監修:
吉村 真佐美(看護師)
神奈川県立衛生短期大学卒業後、県立こども医療センターに就職。結婚後は産婦人科クリニックでの勤務や産業看護師として企業の健康管理業務に従事。現在は看護師として働きながら、医療ライターとしても活動中。
血圧計は腕と手首どっちのタイプがおすすめ?
編集部
病院では、腕で測定する上腕式がおすすめと聞きました。
吉村さん
血圧は、上腕で測定するのが一般的です。日本高血圧学会が発行している高血圧治療ガイドラインでも、上腕式の血圧計が推奨されています。理由は、(1)上腕は心臓に近いため、より正確な値が得られる(2)手首は心臓と距離があるため、測定結果に差が生じる(3)手首では、動脈の圧迫が十分にできず正確な値が得られない可能性がある、などがあげられます。
編集部
では、手首式の血圧計は購入しない方がいいのでしょうか?
吉村さん
手首式は簡単に巻くことができ、衣服の着脱をせずに測れる手軽さがあります。心臓と同じ高さで測定すれば、上腕式と大差ない数値が得られる場合もあるので、大まかな血圧を知りたい方のファーストチョイスとしてはいいのではないでしょうか。高血圧家系の方、検診で血圧が高かった方、医師から家庭血圧を測るよう言われた方は、家庭用に上腕式を、手首式は持ち運び用として購入するのもお勧めです。
編集部
血圧計の購入時に注意するポイントはありますか?
吉村さん
カフ(腕に巻く帯)が腕の太さに合っているかの確認が重要です。カフがきつすぎたり、緩すぎたりすると、正確な結果が得られません。腕が太い人用、細い人用のカフを別売しているメーカーもありますので、事前に腕の太さを測っておくといいでしょう。なお、手首式も手首の形状に合わないと不正確になる場合があります。どちらの場合も、家電量販店などで事前に試すことをお勧めします。
家庭で血圧を測るべき理由
編集部
血圧についても教えてください。
吉村さん
血圧とは、血管にかかる圧力のことをいいます。心臓から送られる血液量(心拍出量)と血管の弾力性(硬さ)が関係します。収縮期血圧(最高血圧)は、心臓が収縮し勢いよく血液が出ていく時の血圧で、拡張期血圧(最低血圧)は、心臓が拡張し血管への圧力が低くなった時の血圧のことを指します。
編集部
家庭血圧が大切と言われるのはなぜですか?
吉村さん
家庭血圧は、診察室血圧だけでは分からない、様々な生活場面での血圧を知ることができるためです。特に脳卒中などの可能性が高くなる、早朝高血圧は家庭で測らないと分かリません。したがって、高血圧の診断や治療をする際にも家庭血圧は重視されるのです。
編集部
家庭血圧の基準値を教えてください。
吉村さん
家庭血圧での高血圧の基準は135/85㎜Hg以上です。ただし、正常血圧は115/75㎜Hg以下となっています。それより高いと、「正常高値」や「高値血圧」に分類され、将来高血圧に移行する危険性があるとされています。
編集部
病院で血圧が高くても家庭血圧が正常値なら問題ないのでしょうか?
吉村さん
病院で測る時だけ血圧が高くなるのを「白衣高血圧」と言います。このような方は、正常な血圧の人に比べ、将来、高血圧に移行したり、脳卒中や心筋梗塞などを発症したりする可能性があります。そのため、医師の指示に従って注意深く経過観察することが大切です。
正確な家庭血圧の測り方
編集部
1回目と2回目の測定結果に差がある場合、どちらを記録すればいいのでしょうか?
吉村さん
日本高血圧学会が発行している高血圧治療ガイドラインによれば、血圧は2回測り平均値をみますが、測定結果はすべて記録することをすすめています。1度に測る回数は2回までで、多くても3回までが目安です。
編集部
左腕と右腕どちらで測ればいいのですか?
吉村さん
基本的には、どちらでも構いません。ただ、左右の血圧にはわずかですが差が生じます。大動脈の構造上、右の腕の方が若干高くでる可能性があります。日常的に測定する腕を、左右どちらかに決めて測るようにしましょう。
編集部
朝と夜に測定するのはなぜでしょうか。
吉村さん
日内変動や朝晩の差を見ることで脳血管疾患のリスクが予測できるからです。朝は起床してトイレの後、すぐに測ります。夜は就寝前に測りましょう。夕食後や飲酒後、入浴後は避けてください。正常な血圧は日中高く、夜になると低くなります。就寝前も血圧が下がらない、就寝前の血圧は正常だけれども早朝血圧との差が大きい場合は、脳血管疾患を引き起こす可能性が高いと言われています。
編集部
血圧が安定してる場合は、日常的に測らなくても大丈夫でしょうか?
吉村さん
血圧は日常的に測ると年齢や季節による変動を把握することができるので、動脈硬化の進み具合や治療の目安になります。家族に高血圧や脳血管疾患の人がいる人は、継続的に測ることをおすすめします。また、血圧の治療で病院に通っている人は、医師のアドバイスに従ってください。
編集部まとめ
上腕式の血圧計の方が正しい数値を測定できるため、推奨されていることが分かりました。また、家庭血圧は脳血管疾患などのリスクを予測できるため、正しい測定方法を守り、継続的に記録することも大切のようです。