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ナッツ類が体にいいのはどうして? 効果的な摂取方法を教えて!

 更新日:2023/03/27

ナッツ類は健康や美容にいいと注目が集まっている食材です。しかし、なぜナッツ類は体にいいのか、詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。今回はナッツの成分と働き、どのように取り入れると効果的なのかという部分について「管理栄養士」の川島さんに伺いました。

川島尚子

監修
川島 尚子(管理栄養士)

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管理栄養士として料理教室講師、メニュー開発に従事。その後パティシエに転向し、現場でのお菓子製造や商品開発に従事。現在はフリーランスの管理栄養士兼パティシエとしてアレルギー対応やグルテンフリーなども含めた幅広いレシピ提案やオーダーメイドのスイーツ制作に携わっている。

ナッツ類が体にいい理由

ナッツ類が体にいい理由

編集部編集部

「ナッツは体にいい」とよく聞きますが、なぜ体にいいのですか?

川島尚子川島さん

ナッツ類はビタミンやミネラル、良質な脂質など栄養素が豊富なので、体にいいと言われています。代表的なものは「ビタミンE」「食物繊維」「不飽和脂肪酸」などですね。

編集部編集部

それぞれの栄養素について教えてください。まずはビタミンEからお願いします。

川島尚子川島さん

ビタミンEは、脂溶性ビタミンという水に溶けず脂肪や肝臓に蓄えられるビタミンです。私たちは酸素を使って生きていますが、その酸素が体の中で使いやすい形の活性酸素という物質に変化しています。この活性酸素が体の中で増えすぎてしまうと酸化が起こり、細胞を傷つけてしまいます。酸化はがんや動脈硬化など生活習慣病の原因や、シミやしわといった老化の原因になります。ビタミンEにはこの酸化から体を守ってくれる「抗酸化作用」があり、若返りのビタミンとも呼ばれています。

編集部編集部

食物繊維にはどのような働きがありますか?

川島尚子川島さん

食物繊維は水に溶けやすい水溶性食物繊維と水に溶けにくい不溶性食物繊維に分かれています。このうちナッツ類には不溶性食物繊維が豊富に含まれています。不溶性食物繊維の働きとしては水分を吸収して腸の中で膨らむことにより、便のかさを増やしてくれます。それによって腸が刺激され、便通がスムーズになります。また、腸の中の細菌によって発酵や分解がされることに加え、有害な物質を吸着して排出してくれる働きもあるので、腸内環境の改善が期待できます。

編集部編集部

不飽和脂肪酸とはどのようなものでしょうか?

川島尚子川島さん

脂肪を構成する脂肪酸は2種類ありますが、そのうち動物性の脂に多く含まれるものを飽和脂肪酸、魚や植物の脂に多く含まれるものを不飽和脂肪酸と言います。飽和脂肪酸は摂りすぎると動脈硬化や脂質異常症をはじめとした生活習慣病の原因となりますが、不飽和脂肪酸には体にいい効果がたくさんあります。アーモンドなどに多く含まれるオレイン酸にはビタミンEと同じく抗酸化作用があり、クルミなどに多く含まれるα-リノレン酸には動脈硬化の改善などが期待できます。また、いずれも悪玉コレステロールを下げる働きがあります。

編集部編集部

その他に注目する栄養成分はありますか?

川島尚子川島さん

クルミに多く含まれているポリフェノールは植物が持つ苦みや色みの成分のことで、強い抗酸化作用があります。また、カシューナッツには不足しがちな亜鉛が多く含まれ、味覚障害や薄毛などの予防につながります。

ナッツ類の効果的な食べ方とは

ナッツ類の効果的な食べ方とは

編集部編集部

ナッツ類を食べるべきタイミングについて教えてください。

川島尚子川島さん

ナッツ類には食物繊維と不飽和脂肪酸が豊富に含まれていることから腹持ちがいいので、小腹が空いてしまった時に間食として食べるのがおすすめです。そうすると、そのあとの食事で食べ過ぎを防ぐことができます。また、ナッツ類はどれも食感がしっかりしていて食べる際によくかまなければならないので、間食の食べすぎを防ぐ効果も期待できます。

編集部編集部

おすすめの食べ方はありますか?

川島尚子川島さん

ナッツ類の効果的な食べ方はローストしたものをそのまま食べる方法です。ナッツ類にはチョコレートや砂糖で加工されているものや、おつまみとして味つけされているものも多くありますが、そういったものよりも、シンプルにナッツの栄養素を効果的に摂るにはローストされただけの「素焼き」などの表示があるものを選ぶことをおすすめします。

編集部編集部

料理に活用する方法はありますか?

川島尚子川島さん

ナッツは食感がしっかりしているので、お料理のアクセントとしても優秀です。砕いたナッツはサラダやパスタのトッピングや、肉や魚のソースのアクセント、揚げ物の衣の一部などに使うと風味と食感を楽しむことができておすすめです。また、マカダミアナッツオイルやヘーゼルナッツオイルなど、ナッツ類のオイルも売られており、それぞれ風味が豊かなもの、シンプルなものがあり、こちらも手軽に料理に取り入れることが出来ます。

ナッツ類を食べる時に気をつけたいこと

ナッツ類を食べる時に気をつけたいこと

編集部編集部

ナッツ類を食べる時に注意することはありますか?

川島尚子川島さん

気をつけなければならないのは加工品です。甘いお菓子に加工されているものはわかりやすいのですが、おつまみ用のようなシンプルな加工品は気がつきにくいので注意が必要です。おつまみ用として売られているものの多くが塩や油で味付けされているため、食べ過ぎてしまうと健康効果以上に生活習慣病のリスクが高まってしまいます。また、食べ過ぎたときにニキビができると言われるのも加工品の油が原因になりますので、選ぶときには表示をよく見るようにしましょう。

編集部編集部

体にいいことがたくさんあるならできるだけたくさん食べた方がいいのでしょうか?

川島尚子川島さん

ナッツ類の適正量は1日ひとつかみ程度(約25g)と言われています。これは豊富に含まれている食物繊維と不飽和脂肪酸によるもので、これらは消化しにくい特徴があるため、食べ過ぎてしまうとお腹が緩くなってしまうこともあるので注意が必要です。

編集部編集部

毎日取り入れやすいように自宅にたくさんストックしておきたいのですが、気をつけることはありますか?

川島尚子川島さん

ナッツ類に含まれている脂肪酸は酸化しやすい特徴があるので、あまり大量に購入することはおすすめできません。ストックするときは空気に触れないように密閉容器に入れて冷凍庫など暗くて温度の低い場所で保管すると比較的長持ちします。オイルについてもコンロの近くなどに置きがちですが、熱と光で酸化が進むのでできれば冷暗所に置くことをおすすめします。

編集部まとめ

ナッツ類に含まれている栄養成分や健康・美容効果についてご紹介しました。ナッツ類は手に入りやすく、手軽に取り入れやすい食材です。そして含まれる栄養素はどれも毎日少しずつ継続して摂取することが大切なので、きちんと選んで、ぜひ日々の生活に取り入れてみてください。

この記事の監修管理栄養士