【闘病】前立腺がんとの共存と、無症状でも検査を受ける重要性(2/2ページ)

普段から自身の健康を気にして、定期的に検査を

編集部
治療中の心の支えとなったものは、何でしたか?
齋藤さん
手術では妻には大変心配をかけましたし、今も検査結果をすぐに知らせないと怒られるぐらい、気にかけてもらっています。職場では病気休暇や時間休暇などで対応していただき、不安はありませんでした。また、治療や副作用で精神的に不安定になった時は、がん相談支援センターに相談していました。
編集部
もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしたいですか?
齋藤さん
かつての私は、がんについて他人事のように全く興味がありませんでした。「ある程度の年齢になったら、がんの基礎知識くらいは勉強しておけ。検診を受けたおかげで早期に発見できてよかったな」と言いたいです。
編集部
現在の体調や生活などの様子について教えてください。
齋藤さん
手術と放射線治療においては後遺症等もなかったのですが、2018年5月にホルモン治療を始めた直後からQOL(生活の質)の低下を感じました。副作用と仕事の両立について、がん相談支援センターにいろいろと相談して、治療を継続できています。
編集部
前立腺がんを知らない方に一言お願いします。
齋藤さん
前立腺がんは男性特有のがんであり、男性の部位別罹患者数が第1位です。一般的に生存率が高く、予後の良いがんと言われますが、治りやすいという意味ではなく、長い期間、がんと共存し治療が続くため、精神的、経済的な不安を抱えている方もたくさんいます。他人事ではなく多くの男性にこのがんに興味を持っていただきたいですね。
編集部
医療関係者に望むことはありますか?
齋藤さん
男性はちょっとした苦痛を我慢したり、精神的な不安などを相談せず抱え込んだりすることが多いと思います。「こんなこと相談してもいいのかな」ということでも、気軽に相談できるよう今後もがん相談支援センターを中心に、患者に寄り添っていただきたいと思います。また、このがんは将来的にホルモン治療が効かなくなったり、骨に転移したりする可能性があるため、がんと共存しながらQOLを維持して生活できる新薬開発を期待しています。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
齋藤さん
早期の前立腺がんは、自覚症状がほとんどありません。検診による早期発見が重要になってきます。PSA検査は血液検査だけです。ぜひとも男性の方には前立腺がんに興味を持っていただき、50歳を過ぎたら、検診を受けてほしいですね。
編集部まとめ
今回は、人間ドックで幸いにも前立腺がんを早期発見できた斎藤さんから、経緯と治療について伺いました。治療法を自分で調べて決めることや、治療によるQOLの低下など、患者にとって心理的・精神的に負担が大きい部分もありました。情報が溢れる中で、正しい情報を発信することの大切さを感じました。




