【闘病】前立腺がんとの共存と、無症状でも検査を受ける重要性(1/2ページ)

前立腺がんは気づきにくく、ゆっくり成長するがんです。自覚症状もほとんどありません。闘病者の齋藤浩哉さんは、無症状のうちに人間ドックでがんが見つかりました。そんな齋藤さんに、前立腺がん発見の経緯から治療、治療後の副作用、当時の生活などについて話を聞きました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年10月取材。

体験者プロフィール:
齋藤 浩哉
北海道深川市在住、1963年生まれ。長女は結婚し男児の母、長男は就職し同市内在住、現在は妻と二人暮らし。診断時の職業は団体職員/部次長。2015年10月、当時52歳で前立腺がんの告知を受ける。同年12月に全摘出手術、2016年9月から放射線治療、2018年5月からホルモン治療、2020年10月から副作用緩和のためホルモン治療を休止し間欠療法に移行。現在は3か月ごとのPSA検査を続け、ホルモン治療による副作用(倦怠感、手指の痛み、関節痛)と共存しながら診断前と同様に仕事をしている。

記事監修医師:
今村 英利(いずみホームケアクリニック)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
無症状のまま人間ドックで発見される

編集部
はじめに病気が判明した経緯について教えてください。
齋藤さん
きっかけは2015年7月の人間ドックでしたね。当時52歳で、何かで50歳を過ぎたら前立腺がん検診が推奨されているのを見て「受けた方がいいかな」と思い、受診しました。PSA(前立腺特異抗原)検査の結果は、基準値を少し超えたグレーゾーン。保健師さんからは、まだ若く基準値を少し超えただけですが、3か月後に再検査を受けましょうと言われました。
編集部
再検査ではどのように調べたのでしょうか?
齋藤さん
前回と同じくPSA検査を受けました。再検査でさらに数値は上昇し、その上昇幅が大きいため、その場でエコー検査と触診をされました。医師から「がんの可能性もあるので、念のために生検を」と言われ、思いもよらない「がん」という言葉にショックを受けました。生検を受け2週間後、医師から「細胞を12本取りました。その1本から極少量ですが、がんが見つかりました」とあっさりとしたがん告知を受けました。
編集部
病気が判明したときの心境はどうでしたか?
齋藤さん
結果を一緒に聞いた私も妻も「えっ」と絶句したことを覚えています。実は、その年の2月に娘が耳下腺の良性腫瘍摘出術、8月に母親が大腸がんの摘出術をしており、私が家族で3人目でした。ただ、生検結果が出るまでの2週間、前立腺がんについての情報を調べていましたし、最初にPSA値がグレーゾーンと言われていたので、がんの可能性もあると、それなりに覚悟していました。
自分でがんについて調べ、治療法を選択

編集部
治療について、どのような説明がありましたか?
齋藤さん
告知の後、治療には全摘出手術、放射線治療、ホルモン治療、化学療法があること、それぞれにメリットとデメリットがあることなどを説明されました。ネットで詳しく調べることもできるので「治療方法は自分で選択してほしい」とも言われましたね。
編集部
治療を自分で決めるのは大変ではなかったですか?
齋藤さん
がんを告知された患者がその治療法を調べて選択することは、精神的にかなり酷だと思いましたね。患者自身が納得して治療方法を選択することはすごく大事なことだと思いますが、もっと患者に寄り添ってほしいと思います。自分自身は全く想像もしてなかっただけに、とても不安でした。ネット上には怪しい情報がたくさんあります。私は国立がん研究センターの「がん情報サービス」を参考にしていました。
編集部
治療開始後、生活にどのような変化がありましたか?
齋藤さん
ホルモン治療開始後にホットフラッシュ、倦怠感、疲労感、手指のこわばりという副作用の症状が現れました。漢方薬では改善しなかったので2020年10月から、副作用症状の緩和のため一時的にホルモン治療を中止する間欠療法に変更しました。PSAが上昇する心配があったのですが、今後3か月ごとに経過観察します。
編集部
お仕事にも影響が出ましたよね?
齋藤さん
術後は体力低下等により職場には半日勤務など配慮してもらいました。その後の治療では、大きな後遺症や副作用がありませんでしたので、今は術前同様に仕事しています。




