美容クリニックの「ノンサージェリー」ってどんな治療? 「手術」との違いは?
美容クリニックの治療というと、メスを使った「切る手術」を思い浮かべる人も多いと思います。しかし、最近はメスを使わない「ノンサージェリー」というスタイルの治療も出てきて、顔から体までの様々なメニューが用意されています。一体、ノンサージェリーと手術の違いはなんでしょうか。効果を考えると、どちらを選ぶべきなのかも気になります。今回は「自由が丘クリニック」の佐藤先生に解説していただきました。
監修医師:
佐藤 英明(自由が丘クリニック 院長)
北里大学医学部卒業後、同大学の形成外科に入局。その後、北里大学北里研究所病院形成・美容外科部長や美容医学センター長など経て、2017年に自由が丘クリニックの院長に就任。美容外科手術だけでなく、ボトックス・ヒアルロン酸注入やレーザーなど、幅広い施術に精通。日本で数名しかいないボトックス・ヒアルロン酸の注入指導医でもある。日本形成外科学会専門医、日本臨床皮膚外科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医、アラガンジャパン注入指導医など資格多数。
メスを使わない美容医療「ノンサージェリー」とは?
編集部
まず、ノンサージェリーについて教えてください。
佐藤先生
簡単に言うと、ノンサージェリーはメスを使わない美容医療のことを指します。通常の手術は、メスで切ったり糸で縫ったりしますが、ノンサージェリーはメスを使わないのが特徴です。昨今、手術を避けたいというニーズをもつ人が増えたという背景にあって、徐々に広まってきました。
編集部
メスを使わずに、効果を引き出すのですか?
佐藤先生
はい。基本的にメスは使いません。糸を刺入して引き上げたり、レーザーや光を照射したり、ヒアルロン酸などの注射を使用します。また、皮下組織などに超音波を照射するハイフ(HIFU)や高周波を用いた治療をおこなうこともあります。
編集部
ノンサージェリーで、どんな治療を受けることができますか?
佐藤先生
治療の内容は多種多様です。例えば、シミを取ったり、しわやたるみを除去したりする治療がありますし、リフトアップやほくろの除去などにもノンサージェリーが用いられます。さらに顔だけでなく体に対しても、余分な脂肪を冷却させて脂肪細胞を破壊する施術や脂肪を溶解する注射などのノンサージェリーが人気です。
編集部
ノンサージェリーには、どのようなメリットがあるのですか?
佐藤先生
切ったり縫ったりしないので、ダウンタイムが少ないのが最大のメリットだと思います。通常の手術だと、傷跡が回復するまでにある程度の時間が必要です。その間は、メイクができないといった日常生活が制限されることもありました。しかし、ノンサージェリーは一部の治療を除き、そういった制限期間がなく、すぐに日常生活を送ることができます。また、手術をしないので、体への負担が少ないのもメリットですね。
ノンサージェリーと手術、どっちを選べばいい?
編集部
代表的なノンサージェリー施術について教えてください。
佐藤先生
例えば、しわやたるみの改善に人気が高いのが、ヒアルロン酸の注入です。もともとヒアルロン酸は体内にあるもので、肌の保水力やハリなどと深く関係しています。しかし、加齢に伴い、骨や脂肪などが減少すると、しわやたるみが出てきます。そこにヒアルロン酸を注入して、若々しい顔を目指していきます。
編集部
ヒアルロン酸の効果は、どれくらい持続するのですか?
佐藤先生
だいたい1年程度、長くて2年程度と言われています。以前は深い溝を埋めてしわの治療をしていましたが、リフトアップや輪郭の修正などにも効果を発揮する治療法です。また、「ハリを持たせる」、「潤いを与える」などの肌質改善も可能となってきました。なお、ヒアルロン酸の種類は様々であり、使用する部位や目的によっても使い分けます。
編集部
ノンサージェリーではなく、手術をすることでしわやたるみの改善を目指す方法もあるのですか?
佐藤先生
あります。例えば、皮膚の下にある表情筋筋膜(SMAS)を用いて、引き上げの効果を強くする「フェイスリフト」の手術が挙げられれます。
編集部
ノンサージェリーでも手術でも、しわやたるみを解消することができるのですね。ノンサージェリーか手術か、どのように選択すればいいのでしょうか?
佐藤先生
医師によって様々な考えがあると思いますが、「できるだけ一度で治療を終えたい人」は手術、「定期的にメインテナンスしながら美しさをキープしたい人」はノンサージェリーを選ぶのがいいと個人的には考えています。また、両者を組み合わせるのが適している場合もあります。例えば、ほうれい線やマリオネットラインを解消するには手術だけでは難しく、ヒアルロン酸や脂肪を足して、凹みを治していきます。このように、場合によってはノンサージェリーと手術のハイブリッドをおすすめすることもあります。
編集部
なるほど、手術とノンサージェリーのハイブリッドもあるのですね。
佐藤先生
はい。また、手術後の定期的なメインテナンスは、ノンサージェリーでおこなう患者さんも多くいらっしゃいます。ノンサージェリーか手術かの二者択一で考えるのではなく、両者を組み合わせるという選択肢もあるので、まずはカウンセリングで医師に相談して方針を決めていきましょう。
ノンサージェリーを受ける際の注意点は?
編集部
ほかには、どのような施術がありますか?
佐藤先生
当院で人気が高い施術には、「ボツリヌストキシン」があります。ボツリヌストキシンは、目尻や眉間、おでこなどにできるしわを解消するための治療法です。食中毒の原因として知られるボツリヌス菌が作るタンパク質を注射することで、筋肉の収縮が局所的に抑えられ、しわやエラの張りなど顔に関する悩みの解消を目指します。また、顔だけでなく、ふくらはぎに注射して足を細く見せたり、肩に注射して首を長く見せたりすることもできます。
編集部
ボツリヌストキシンの効果は、どれくらい持続するのですか?
佐藤先生
効果の持続期間は4~6カ月程度で、効果は徐々に弱まってきます。個人差がありますが、しわに関しては、術後4日〜1週間で効果を感じる人が多いようです。エラや肩、ふくらはぎは、痩せてくるまで時間が少々かかるので、効果が現れるまで大体1カ月程度と考えてください。
編集部
「ボツリヌストキシンを打ちすぎて表情が無くなってしまった」という話を聞きますが、本当なのでしょうか?
佐藤先生
たしかに、ボツリヌストキシンにより表情が出にくくなってしまう人もいらっしゃいます。しかし、施術の前にしっかりとプランニングして、働きを止める筋肉の部位や、ボツリヌストキシンを打つ量を見誤らなければこうした失敗は防ぐことはできます。こうしたリスクをできる限りなくすためにも、カウンセリングをしっかりおこなうクリニックを選ぶようにしましょう。
編集部
ノンサージェリーをする際、注意すべきことはなんですか?
佐藤先生
手術に比べてハードルが低いため、ノンサージェリーを受ける人はとても増えています。しかしその一方で、最新の美容医療の技術を駆使していることもあり、医師の技量やセンスに左右される施術であるということに注意しなければなりません。カウンセリングや治療方針、リスク、ほかの選択肢などを細かく説明してくれて、治療の前に不安を解消してくれる医師を選ぶことが大切です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
佐藤先生
ノンサージェリーに興味はあるけれど、注射が怖いという人もいます。その場合は、ハイフやレーザーなどからはじめてもいいでしょう。さらに効果を望みたいと思ったら、注射や糸での施術をおこなうなど、ノンサージェリーの施術には選択肢がたくさんあります。また、「高額の化粧品を買ってもなかなか効果が出ない」と悩んでいる人は、一度、美容クリニックにご相談してみてはいかがでしょうか。
編集部まとめ
結局のところ、ノンサージェリーでも手術でも、目指す目的やゴールは一緒とのことでした。また、不安や疑問は治療前のカウンセリングで解消するのが重要です。ご自身の状態や希望に合った治療法を提案してくれるようなクリニックを選ぶようにしましょう。
医院情報
所在地 | 〒152-0023 東京都目黒区八雲3-12-10パークヴィラ2F・3F・4F |
アクセス | 東急東横線、東急大井町線「自由が丘駅」徒歩10分 東急東横線「都立大学駅」徒歩10分 |
診療科目 | 美容外科、美容皮膚科、美容内科 |